ERP会計:5-2 ERPで売上アップ 受注業務の効率化(フロント・サイド)

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 第2回は、「受注業務の効率化(フロント・サイド)」について考えよう。

 営業担当者が介在する受注プロセスでは、「営業担当1人あたりの売上」を次の式で表すことができる。

#(案件数)× $(単価)× %(受注確度)/ Time(案件リードタイム)

 つまり、売上を増やすためには、案件数、単価、受注確度を上げるか、案件リードタイムを下げる(短くする)しなければならないということだ。

 適切なタイミングで適切なプロセスを踏むことで、受注確率を上げ、案件リードタイムを短縮するために、CRM(SFAとも呼ばれる)システムが用いられることが多い。

 翻ってERPは、この局面で貢献できる要素は無いのか? 筆者は、むしろERPなくして、本当の意味での営業活動の効率化は期待できないと考える。

 まずは顧客対応(フロント・サイド)の効率化だ。顧客から、引き合いがあった際に、どれだけ迅速に対応できるかが、受注確度アップの鍵となる。売り物が在庫品であれば、販売可能在庫の有無確認、在庫切れや特注品の場合には、いつまでに調達・生産が可能かを、どれだけ早く回答できるかだ。

 在庫の有高は常にリアルタイムで把握されているというところをスタートポイントにしよう。たとえば、A商品の在庫が現在20個あるという具合だ。このとき、得意先XからA商品15個の引き合いが来た。担当営業は、この引き合いを受ける(受注する)ことができるだろうか?

 当然、Yesと思いがちだが、正解は「わからない」だ。在庫20個のうち、10個は得意先Yから受注済で、今日にも出荷予定という場合、得意先Xからの注文に応えるには、残り5個を追加調達する必要がある。

 現物の受け払い情報だけを見る仕組みでは、このようなケースに柔軟に対応するのは難しい。

 ERPであれば、受注(機能によっては引き合い)の段階で、在庫商品に引当をおこない、出荷予定の管理をおこなうことで、実際に受注可能な数量を常に把握することが可能となる。先の例で、たとえば得意先Yへの出荷予定が1週間先で、それまでに5個の入荷予定があるならば、得意先Xからの注文を受け、先に出荷するということも可能となる。

 倉庫別の移送に要する日数や、商品ごとの再調達や生産にかかる日数を組み入れておけば、即納はできないが、何日後だったら納品が可能かを、即座に回答することができる。顧客にとっての「できる」営業パーソンの誕生だ。

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