福岡伸一『新版動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』を読んで

ここ読んで、脳内でいかづちくらった。

p63〜64
ヒトの目が切り取った「部分」は人工的なものであり、ヒトの思考が見出した「関係」の多くは妄想でしかない。さらに、私たちの脳は、比例で変化する現象は比較的うまく扱えるが、対数的に増えていくもの、振動しているもの、変化しながら動くものをうまく捉えることが苦手なようにできている。
確かに、進化は私たちにバイアスをかけ、一定の規制を敷いた。しかし同時に、可塑性、すなわち自由への扉も開いてくれている。私たちは自ら生物学的規制の外側へ思考を広げることができるのである。
よく、私たちは、脳のほんのわずかしか使っていないなどと言われるが、実は、それは世界のありようを「ごく直感的にしか見ていない」ということと同義語だ。世界は私たちの気づかない部分で、依然として驚きと美しさに満ちている。
このことから、私たちは重要な箴言を引き出すことができる。「直感に頼るな」ということである。つまり私たちは、直感が導きやすい誤謬を見直すために、あるいは直感が把握しづらい現象へイマジネーションを届かせるためにこそ、勉強を続けるべきなのである。それが私たちを自由にするのだ。

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