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「プラダを着た悪魔」の鑑賞メモ

今年はちゃんと小説以外の分野にも手を伸ばそうと思い、映画でも見ようと視聴したのがこちら、「プラダを着た悪魔」。ネタバレもあると思うので、ネタバレ嫌いな方はご注意ください。

あらすじと基本情報

2006年にアメリカで公開された映画で、ローレン・ワイズバーガーの小説が原作になっているそう。日本での公開も同年。

筆者は当時高校生で、一に部活、二に部活、三、四も部活で、五も部活、みたいな生活をしており、当時の流行やカルチャーについてはほとんど記憶にないし接触もしていないのです…が、この映画、名前は知っていました。

ストーリーは、いわゆるサクセスストーリー。

主人公であるアンドレア・サックスは、ひょんなことから『ランウェイ』編集長・ミランダのアシスタントに就職する。ファッション業界ならだれもが憧れる仕事であるにもかかわらず、もともとジャーナリスト志望のアンドレアは、ファッションには1ミリも興味がない。

とにかく無茶ぶりばかりのミランダのもと、「ここで一年がんばれば、ジャーナリストとしての道が開けるのだから」と奮闘するものの、どんなにがんばっても認められず、挙句、ハリケーン接近中の日にミランダの航空券を手配できなかったというなんともめちゃくちゃな理由で怒られる。

せめて努力だけでも認めてほしい…と嘆くも、「あなたはひとつも努力していない」と、もっさりした芋臭い外見を指摘されるアンドレア。これが転機となって、外見を改善したアンドレアはどんどん仕事で認められていくが…というのが大筋。

視聴者の声・ざっくり感想

すごくよかった!という声もある一方で、彼氏振り回しまくりで浮気しちゃうアンドレアや、そりゃただの意地悪じゃん…と思えるミランダが、どうしても気になってしまうという評価も。

が、個人的にはめちゃおもしろかった!よかった!というのが、すなおな感想です。

たしかにツッコミどころも多々あるのですが、キャラクターやストーリーはある程度デフォルメされたものですからね。

それよりも、「ファッション」がいかなるものなのかが鋭く描かれてたという点と、劇中で示された「ファッション」という概念への考察に普遍性を感じたところに、私はぐっときました。

なぜ、似たようなベルトで悩まなければならない?

私が最も気に入ったシーンのひとつが、ラン・スルーのための衣装選びのシーン。

ミランダはこれもちがうあれもちがうと眉をしかめ、まともなラン・スルーはできないのと苦言を呈し、他のスタッフたちはたじたじ。ようやっと、このドレスがいいんじゃないのという雰囲気になっところで、びみょう~~~にかたちは違うけど色はほとんど同じベルトを「まるで違うタイプで…私には選べません」というスタッフに、アンディがププッと吹き出してしまう。

凍り付く空気…。

「なにかおかしいかしら?」とガチギレ数秒前のミランダ。

いえ、なんでもなくって、そんなつもりじゃn…と、慌てるアンディ。

そして、アンディの着ている"ブルー"のセーターを見つめながら、あなたが何気なく選んだそのブルーのセーター、それだって、ただのブルーじゃないのよ…と、とつとつと語りだすミランダ。

"However, that blue represents millions of dollars and countless jobs."
(そのブルーは、巨額のお金と、あまたの労働の象徴なの。)

(余談ですが、ここ、韻も踏んでて気持ちいい…)

そうなのだ。少なくとも私だって、ふだんなにも考えず、特別な思いなどなく、服を選んで着ている。今日は寒いからマフラーを巻こう。暑いからTシャツにしよう。靴?とりあえず歩きやすいこれでいいや。しかし、そうやって選んで身に付けた衣服たちは、市場にでまわって私たちの手元に届くわけで、じゃあその市場をつくったのは、市場を動かす潮流を生み出したのは、波及させたのは、いったい誰だと思う?それは、私たちなのよ。そう、ミランダは言いたいのだろう。

自分の仕事に対するものすごい高いプライドと、そして、自分が潮流を生み出すものの一人である、という重たすぎるほど重たい自負。

そもそも、別に最先端じゃなくっても、食べて寝て生きていくだけじゃなだめなのか?ただ幸せに生きていくためだけだったら、そんなふうに仕事をする必要なんてない。でも、ミランダの価値観は違う。自分たちが最先端になり、潮流をつくらなければならない。それはなぜか?つくられた潮流が、実は多くの人の選択を決めているからだ。

you’re wearing a sweater that was selected for you by the people in this room…from a pile of stuff.
(あなたが着ているセーターだって、この部屋にいる人たちが選んだの。こんなものの中からね。)

"stuff"は字幕では「こんなもの」と訳されていましたが、「価値のないもの、がらくた」という意味も含まれた語です。もとは、ガチギレ寸前のミランダに睨まれたアンディが「や、ちょっとまだ私、それについては勉強中だから…」と取り繕うところで、大量の衣服や装飾品を指して"stuff"と、思わずぽろっと言ってしまうのだ(I’m still learning about this stuff and,…)。

たしかに、洋服や、ましてオシャレ・ファッション・流行なんて、生きていくためになんの価値があるんだろうと思ってしまう。でもそのファッションが、私たちの選択を決めているのだとしたら…。そして、選択させられていることに、私たちが気づいていないのだとしたら…。

「目を覚ませ!」と冷たい水をぶっかけられるようなミランダの台詞に、目が覚める。

ファッションに限らず、文化や芸術、あるいはもっと他の分野でも、最先端を目指すこと・いちばんであることの意味に、はっとさせられる。

余談ですが…よかったものたち

まず、主人公・アンディのファッションたち!

とにかくかわいい。かっこいい。そりゃあこの映画、女子に人気でしょう、そうでしょう。こんなにかわいくてかっこいいなら、誰でも憧れちゃうでしょうよ。感化されちゃうでしょうよ。

それから、主人公の浮気(?)相手・クリスチャン

登場時からめちゃ怪しいのですが(アンディが極秘情報の鞄を持ちながらカクテル飲んでるところに登場するの、ぜったいコイツ鞄盗むやん!って思ってしまうのはアクション映画・スパイ映画の見過ぎ…)、終始なんともいえないかっこよさ!セクシー!

私がアンディだったら、秒でクリスチャンと浮気して彼氏と破局、けっきょくその後捨てられてボロボロ、メンヘラ化するパターンだと思います。ごめんなさい。

ちなみに、クリスチャン役のサイモン・ベイガーさんは、米ドラマ「メンタリスト」でたくさん見られますね!

そして最後に、作中曲

冒頭に流れる"Suddenly I See"にはじまり、どれも心地よくのれる。そして歌詞も明るい、わくわくするフレッシュなかんじ。

また時間を置いて見たいですね!そして、今年は映画たくさん見よう~!

作品視聴について

Blu-ray/DVD

原作小説

原作小説は、もともと作者が編集者にいた頃の体験をもとに書かれたものだそうで、ストーリーや人物の設定などまたちょっと違うみたいです。

そして、続編が出ていることから、映画も続編があるんじゃないかと言われていましたが…。

メンタリスト

サイモン・ベイガーをたくさん見たい方はこちら…。


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