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オープン戦を総括!各チームの長所と課題は?〜セリーグ編〜

 オープン戦が終わり、開幕まで残すところ3日となりました。今回は、セリーグの各球団の長所や課題についてオープンの順位ごとに書いていきます。

オープン戦1位タイ:中日
(10勝5敗5分 勝率.500)

 オープン戦で1位に輝いたのは中日。投手、野手のスタッツを見てみると、

 試合数:20(1位)
 打率:.216(10位)
 得点:50(8位タイ)
 本塁打:6(6位タイ)
 盗塁:7(9位タイ)
 防御率:1.97(1位)
 失点:43(4位)
 失策:12(9位)

 と、打撃は昨季からあまり改善されなかったものの他を投手力で圧倒。広い本拠地を生かし、勝ち試合では守り抜く野球を徹底しました。

長所:投手力

 やはり今年も中日の投手力は流石の一言に尽きます。チーム防御率は12球団唯一の1点台で圧巻の1位。3月に入ってからのオープン戦で4失点以上した試合は驚異の1試合20試合を行なっての数字ですから、シーズンでも大崩れする試合はかなり少なくなりそうですね。

 特に、チーム最多タイの登板数である8試合に登板した勝野昌慶選手は、8回を投げ失点0の防御率0.00。今年も勝ちパターンでの活躍が期待されています。
 先発では、涌井秀章選手が抜群の安定感。開幕第2戦での先発が予想されている右腕はオープン戦中3試合に登板、11回を投げ防御率0.82という成績を残しました。

 なにより、特筆すべきは相手を完封で抑えた試合の数の多さ。引き分けを含め5試合で相手打線を0点に抑えており、投手が代わっても変わらない安定感をチーム全体で生み出していました。

短所:接戦での勝負弱さ

 投手陣は心配することが無さそうな一方、野手陣には更なる奮起が求められます。

 立浪監督も

 バンテリンドームでやる時は、どこのチームもそんなに点を取れない。点が取れないのに去年はミスから失点してしまって試合を落とすケースが多かったので、やっぱり失点は少なく、しぶとく1点を取れる野球を目指そうということで走塁や進塁打、バント、エンドランも含めて昨年の秋からスタートしてやっています。

東スポWEB  2024年3月10日 11:00配信の記事より一部抜粋。

 と語るように、バンテリンドーム ナゴヤでプレーする選手たちはその広さゆえになかなか点を奪うことができません。そのため、1点を大事に大事に守り抜く野球を徹底してきているそうですが、イーブンとなってからの決定打に欠ける印象があります。

 1点差以内で勝つことができなかった試合は、20試合中7試合。その内引き分けこそ5試合ありましたが、引き分けということはシーズン中なら延長戦、タイブレーク始まりということになってきます。
 より1点が重くなってくる展開となり、投手陣への負担も大きくなってくるため、なんとかあと1点をもぎ取る試合を増やしていきたいですね。

オープン戦3位:ヤクルト
(9勝6敗2分)

 前年5位に沈んだヤクルトは、オープン戦を3位で終了。

 試合数:17(6位タイ)
 打率:.230(6位)
 得点:54(5位タイ)
 本塁打:9(4位)
 盗塁:11(5位)
 防御率:2.95(7位)
 失点:52(8位)
 失策:5(1位)

 チーム成績はこのようになっており、目立った項目は少ない中、高い順位でオープン戦を終えることができました。

長所:隙の無さ

失策5という数字にも表れている通り、今年のヤクルトは守備に隙がありません。5つのエラーのうち3つがファンブル、1つが後逸、1つが悪送球とどうやらゴロ処理に課題が残っているようですが、それでも他チームよりも失策数が少ないことに変わりはありません。

 ファインプレーが多いというわけではないものの、今年のヤクルトの、取れるアウトを確実に取るプレースタイルは、野球において最も大事な基礎です。
 シーズン143試合を戦うペナントレース、優勝できるチームはやはり基礎がしっかりしているチームです。守備の際にも見ていて安心できるチームはやはりいいですよね。

課題:救援力

 一方で、ヤクルトは投手の中でも特に中継ぎ投手に課題が残りました。
 毎年先発投手の頭数が足りないと嘆きの声が聞こえる燕軍団ですが、本当に深刻なのは中継ぎ問題なのかもしれません。

 オープン戦で敗戦した6試合のうち、中継ぎ投手が失点したことにより負けとなったのは半分の3試合
 もちろん先発投手の複数失点によって負けた試合もいくつかありましたが、終盤で相手に勢いで競り負けるという展開が多い印象でした。

 ただその中でも、新戦力のホセ・エスパーダ選手や嘉弥真新也選手、現有戦力でも大西広樹選手や清水昇選手など5試合以上に登板し無失点でオープン戦を終えた中継ぎ投手もいます。
 この辺りの選手がシーズンでもブルペン陣を引っ張っていってくれることに期待したいですね。

オープン戦6位タイ:DeNA
(7勝6敗5分)

 最終カードの対日本ハム三連戦を勝ち越しで締め、勝率5割越えでオープン戦を終えたDeNA。

 試合数:18(3位タイ)
 打率:.270(1位)
 得点:61(2位)
 本塁打:12(2位)
 盗塁:24(1位)
 防御率:2.26(1位)
 失点:42(1位)
 失策:10(7位タイ)

 スタッツは以上のように素晴らしい内容を収めましたが、順位が比例せず6位に落ち着きました。

長所:機動力

 今季オープン戦のDeNAは例年とは一味も二味も異なっていました。ドラフトで新たに入団してきた度会隆輝選手や石上泰輝選手をはじめ、林琢真選手や西巻賢二選手らがレギュラーを脅かす存在としてとにかく走りまくりました

 それはもちろん数字にも表れており、盗塁数は2位の日本ハムに6個差をつけてダントツの1位、走塁面でも二塁から浅いワンヒットで還ってくるというシーンもしばしばありました。
 石上選手に関してはオープン戦盗塁王を獲得するなど、佐竹学アナリストの組閣によってDeNA全体が大きく変わってきている気がします。

課題:劣勢時の得点力

 走塁改革の進んでいるDeNAですが、負ける時はすんなり負けてしまうところが課題だと筆者は考えます。

 今季の3月以降のオープン戦で先制を許してから引き分け以上に持ち込んだ試合はわずか1試合のみ。先制された試合は高確率で敗戦しました。先制しても追いつかれたり逆転される試合も散見され、こういう試合で勝負強くならないと昨季のように優勝や2位を逃してしまうかもしれません。

 勝つ試合は複数得点、完封リレーと完璧な試合が多いのですが、負ける時はずるずると劣勢のままゲームセットまで進んでしまうのが現在のDeNA。コンスタントに勝ち星を積み上げられるようにしていきたいですね。

オープン戦9位タイ:巨人
(7勝8敗1分)

 阿部新監督の元スタートした新生巨人の初年度オープン戦は負け越しで終了。最終戦の逆転負けが響く形となりました。

 試合数:16(9位)
 打率:.229(7位)
 得点:57(4位)
 本塁打:7(5位)
 盗塁:7(9位)
 防御率:2.85(6位)
 失点:49(6位タイ)
 失策:9(5位タイ)

 チーム成績はご覧の通り。可もなく不可もなくといった内容で終わりました。

長所:野手力

 やはり今年の巨人の強みはなんといっても野手だと思います。昨年のドラフトで入団した、優れたバットコントロールを持つ社会人ルーキー・佐々木俊輔選手が1番を張っており、2番には小技の効く門脇誠選手。
 クリーンナップに関しては言うことありませんし、下位打線にも大城卓三選手らが座るなど強力な打線を形成します。

 さらに、守備も華麗です。一塁・岡本和真選手、二塁・吉川尚輝選手、三塁・坂本勇人選手、遊撃・門脇誠選手と打球を外野に抜かせない絶望的な布陣が完成。今季は内野全員ゴールデングラブ賞も夢ではありません。
 1つだけではなく、複数の項目で突出したものを持っている今季の巨人野手、投手と絡めば一気に優勝が見えてきます。

課題:救援力

 しかし、巨人の課題は今季も中継ぎ投手に。先発投手が2番手以降で投げていた試合はまだ失点シーンが少なかったのですが、中継ぎ専門の投手が投げるようになると昨季と同じような歯痒さを覚えた巨人ファンの方も多かったのではないでしょうか。
 特にそれが顕著に現れたのは最終戦。楽天との試合で5回終了時まで5-1とリードしていたのですが、馬場皐輔選手やカイル・ケラー選手が乱調。それぞれ3四球ずつ与え、計6失点で逆転を許しました。

 序盤で自慢の野手陣により大量リードをすることができても、中盤以降から中継ぎ投手が崩れ、逆転されるようでは意味がありません。
 先発陣の層の厚さから中継ぎスタートとなった即戦力ルーキーの西舘勇陽選手や、中継ぎエースとしての活躍が期待される中川皓太選手らにきっちりとイニングを締め切ってもらいたいですね。

オープン戦10位:広島
(6勝8敗5分)

 キャンプ中に怪我人が続出した広島は負け越しでオープン戦を終了。

 試合数:19(2位)
 打率:.211(12位)
 得点:54(5位タイ)
 本塁打:10(3位)
 盗塁:8(7位タイ)
 防御率:2.59(4位)
 失点:58(10位)
 失策:19(12位)

 12球団中2位の19試合と多くの実戦経験を積みましたが、打率や守備が奮いませんでした。

長所:先発力

 やはり広島の先発力は今季も健在です。他の球団であればエースを張れるような投手が3番手、4番手にいることも当たり前である広島の開幕ローテ競争は今年も激化。
 開幕投手を勝ち取った九里亜蓮選手は登板すれば7〜8回まで投げ切ってくれるタフネスの持ち主であり、開幕戦でもイニングイーターとして活躍してくれそうです。

 九里選手の他にも床田寛樹選手や現在離脱してしまった森下暢仁選手大瀬良大地選手など一線級の投手を揃える広島は、先発投手ではどの球団にも引けを取らないでしょう。
 これらの選手の他にも開幕2戦目の先発が新たに決まった黒原拓未選手や6枠目を勝ち取ったアドゥワ誠選手など若い戦力もどんどん出てきているのがいいですね。

課題:守備力

 一方で、開幕前最大のミッションとして、守備力の改善があります。オープン戦19試合を戦った広島ですが、失策数はまさかの19。試合数と同数であり、ペナントレースであればシーズン143失策換算になります。

 悪送球やファンブルなどの出塁を許すミスはもちろん、後逸などの塁をさらに進められてしまうミスや暴投などの記録に残らないエラーも多くしてしまった広島。
 この辺りの精彩を欠いてしまうとシーズンではどうしようもなくなってしまいます。投手を助けるためにも、チームが勝つためにもまず基本的な守備の動作をこの期間に再確認したいところですね。

オープン戦12位:阪神
(3勝14敗1分)

 昨年日本一に輝いた阪神はまさかの首位と8ゲーム差での12位。オープン戦九連敗を喫するなど岡田監督の顔はなかなか上向きませんでした。

 試合数:18(3位タイ)
 打率:.225(8位)
 得点:50(8位)
 本塁打:5(9位)
 盗塁:6(11位)
 防御率:3.61(12位)
 失点:76(12位)
 失策:15(11位)

 と分かる通り、攻撃面も心配なところはありますがなにより守備面の改善が急務となっています。

長所:終盤力

 勝利した3試合のうち、2試合は終盤(7回以降)からの逆転勝利。オープン戦ながらも球場を埋め尽くすほどの観客の声援に後押しされるのか、7回以降にできた得点圏での打率は平常時よりもかなり上がっていました。
 阪神の終盤での勝負強さには数字にできない精神的なものが大きく関わっていると思います。シーズンに入れば、案外簡単に得点を取るのかもしれません。

 負けた試合でもチャンスさえ作れば得点自体は入っていたので、あとは序盤からどれだけチャンスを作っていけるか、終盤のもう1点が欲しい時にダメ押しができるか、というところにかかってくるのではないでしょうか。

課題:控えの突き上げ

 昨季の阪神は開幕からほとんどスタメンを固定、安定感の生まれた選手が混ざり合い、リーグ優勝と日本一を勝ち取りました。
 しかし、今季はそれが足枷になっているように筆者は感じます。

 そういうわけではないとは思いますが、昨季からスタメンを引き継いでいる選手に余裕が生まれたあまり、二軍の若手の突き上げが少ない気がします。特に野手ですね。
 良くも悪くも2023年オフの阪神は選手の入れ替えをあまり行っておらず、良い意味では選手の安定した継続的起用があるものの、悪く捉えるのならばそれは停滞を意味します。

 初めの方こそ福島圭音選手野口恭佑選手らフレッシュな選手が帯同していましたが、日にちが経つに連れ徐々に昨季と同じようなメンツになってきました。
 これらの選手が一軍の戦力に足るというような判断をしてもらえるまでのアピールをし切れなかった、というのが全てですが、停滞は即ち衰退を意味します。早いうちに新戦力のアピールが見たいですね。

まとめ

 今回はセリーグのオープン戦の総括を行いましたが、パリーグと比べると平均的な順位が少し低かったですね。オープン戦の順位なので特に気にすることはありませんが、やはり順位は高いに越したことはないですよね。
 次回はパリーグ6球団のオープン戦総括をします。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

出典・画像引用元

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