光男の枠下人生〜第十章〜富士そば光男
光男は今年こそ夏のアバンチュールに向けてあれこれ策を練っていた、とりあえず下見とばかりに向かった先は何故か秋葉原だ、とはいえ光男は現在の秋葉原が一部を除き大きく様変わりしてしまったことをまだ知らない、現在の秋葉原は国の政策で再開発が更に進み鉄道路線が複数重なったことでサブカルチャーの街から巨大ビジネス街へと変貌を遂げつつあったのだ、そのため地価も高騰したことでショップなどは店舗を維持出来なくなってしまったのである、ド平日に有休を取った光男は期待に胸を膨らませながらアキバへ向かった、気合が入り過ぎて5:45の始発に乗った、7:30秋葉原へ到着、当然店のほとんどは開店前である、スーツ姿のサラリーマンがあくせくと歩いているだけだ、光男はとりあえずそんな秋葉原の街を彷徨うことにした、案の定、街は変貌を遂げつつあり、エヴァンゲリオンみたいなやつや萌えアニメ的要素が激減しているように見えた、そしてアイドルカフェなんだかキャバクラなんだかコンセプトが初見では理解不能な看板が立ち並んでいる、これはかつてヲタク文化、サブカルの街と言われたそれとは似て非なるものを光男は感じずにはいられなかった、、ここはもうかつての秋葉原では無いのかもしれない、、小腹が空いた光男は富士そばに入りかき揚げうどんを食べた、とりあえず電気屋さんが開店していたが全く用は無い、帰ろう、、帰りの電車の中で光男は落胆していた、今日という日は一体なんだったのだろう、真夏のアバンチュールの下見というのは、始発でわざわざ秋葉原くんだりまで出向き、富士そばを食べるだけという奇行の事だったのだろうか?
寂しさが一気に押し寄せてくる、光男が本当に望んでいるのはオッパイやオシリ以上に、寂しさを共感してくれる人なのだろうか?ただただこの朝の殺風景な街並みを一緒にみてくれる存在、そんなすっとんきょうな相手が居てくれるのであれば苦労はしないだろう、
そりゃしゃあない、普通の神経の人間で有ればちゃんと目的があって、ディズニーランドだったり、イベントだったり、グルメ、買い物だったりするわけだから、「じゃまーる」とかでそういう人を粘り強く募っていればそういう機会もあったかもしれない、
しかし光男は「早朝の秋葉原からお茶の水を散歩してセンチメンタルな気分になった後、富士そば食べた後にラブホテル行きませんか?」をしたいわけであって、そんな募集をかけたところで掲載すらされないだろう、だので臨場感だけでも味わおうと思って来たまでだ、そして別に秋葉原じゃなくても、ただただニコニコしながら誰かと2人で歩きたかっただけなのかもしれない、昼過ぎの14時、光男は既に帰宅していた、今日は「地味子がインタビューされながら陵辱されるシリーズ」のエロビデオにしよう、エヘヘ、、
今年の夏もきっと何も無いだろう、いや、ビデオショップには夏の新作が並ぶだろうし、とりあえずそういった面ではちゃんと光男にも夏は約束されてはいるのだ、別にクラブに行って「アレじゃん?パコっちゃうじゃん?」みたいなナンパを無理してやらなくてもいいのだから楽だ、、でも待てよ、そうか、、クラブか、、「東京子供倶楽部」という昔やっていた謎CM位に光男にとってはクラブも倶楽部も謎過ぎだ、ただなんとなくそこに行けばセックスチャンスには恵まれそうな気はする、「オムツ倶楽部」というエロ雑誌なら知っているし、、ならば念の為練習しておこう、、光男はクラブでかかっていそうなMCハマーを部屋にかけながら「ハァイ、君たちコギャル?孫ギャル?とりあえずキメ部屋でキメパコしちゃうカンジ?それかオムツ?になりけり?」
という、光男のありったけの想像上のクラブの世界観でのキメ台詞をサラリと言えるように練習を始めた5月の終わりであった、
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