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9月21〜23日 阪神vs横浜16〜18回戦

◯5ー3、◯6ー3、0ー4●。ようやっている。ようやっているけど、本気で巨人をまくる気ならこれじゃ駄目なんだろうな…。

一戦目、型通りの逆転勝ち。しかも打つべき人が打って抑えるべき人が抑える理想的な展開。

今年初登板の先発岩田は危ないシーンもあったが運もありベテランの技もありで五回を3点で凌いで試合を作る。オースティンの深い右中間への一発には驚かされたがソロで良かった。試合にさえ出れればよく打つ人だ。

打線は初回からサンズが先制タイムリー。追い込まれてから振り回さずにしぶとく打てたのも含めていつも通りの点の取り方だ。

3番には久々に糸井が入ったが初回にツーベース、五回にタイムリーと機能した。ただまだヒットがいずれも逆方向なのが気になる。やや差されている感は残る。

岩田の後を受けたエドワーズが2番手で復帰登板。しっかりゼロに抑えて反撃の流れを作った。本来セットアッパー候補である。1イニングだが安心感のある内容だった。

六回表の攻撃が回れば降板だった京山は結局打順が回ってこなかったために続投へ。恐らくこれが良くなく、六回裏の投球はそれまでより少し制球が甘い。先頭の大山は捉えた当たりの外野フライ。続くボーアにはバックスクリーンへの同点ソロを浴びてしまう。ボーアはこれもフルカウントからの一打。好球を待つ自分のバッティングだ。アウトハイの腕が伸びる所に来た速球を逃さなかった。やはり角度が上がってくるとすぐ数字が出てくるタイプである。この日から入場者数制限が緩和されていたが、大勢のファンの前で実に良い仕事をした。接戦(それも同点・ビハインド)での一発が魅力なのは変わらない。
しばらくポイントが近く苦労していたが、ご覧の通りしっかり距離を作って後ろからグッと見下ろせている。お手本のような綺麗なフォームだ。

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この一発で点差はゼロながら流れは完全にこちら側になった。後は岩貞岩崎スアレスの盤石リレーである。エスコバー国吉三嶋の誰か一人を打てればいい。青写真通り阪神のリリーフ三人は無失点、乱調気味の国吉を逃さず叩いて2点勝ち越し。

ここで勝ち越しタイムリーを打ってヒーローを決めたのがボーア。コンパクトに振り抜きセカンドの左を抜けるライナー性の当たり。パスボールで進塁していた大山がこれで生還した。横浜はオースティンロペスがスタメン復帰していたため、セカンドソト・ファーストロペス・ライトオースティンという布陣だった。オフェンス面ではかなり脅威となるが、同時にデフェンス面でかなりのハンデとなることがよく分かった試合だったと思う。特にこのプレーでは当たった瞬間スタートが切れないはずの大山が余裕をもって生還してしまっている。相当オースティンの寄り付きが緩いと言うほかない。ただまあその辺りは各チームの色といってもいい範囲だろうか。強みと弱みはうらはらの関係である。どのチームも無個性な野球をやっているより面白いだろう。横浜はとりわけチームスタイルのはっきりしたチームだ。攻撃重視、揃って早打ちと分かりやすい。しかもこれがラミレス監督の現役時代のスタイルと一致しているのが面白い。やりたい事がしっかり体現できているというのはいいことだろう。


二戦目も前日と酷似した展開で勝った。こうも同じような試合展開が続くことはあまり見ない。先制→オースティンに一発、逆転される→同点に追いつく→勝ち越し→逃げ切りというところまで一緒だった。

先制打は近本の8号ツーラン。ここのところ実によく振れている。深い右中間に突き刺ささる一打。

前日のボーアに続き打つべき人が打ってくれた。糸井が同点タイムリー、勝ち越しタイムリーなど計3安打で3打点。しかもようやく引っ張り方向への長打である。引っ張って強い打球を打つためにはポイントを前に置かなければ行けない。そのためには立ち遅れずに始動し、捉える際に上体を後ろに残して置かねばいけない(今年は大山が一番綺麗にこれが出来ている)。これが分かっていても非常に難しいのだ。特に調子が悪いと焦ってすぐに上体で追ってしまい、差される。糸井はしっかり状態が上がって、今の実力でしっかり打っているのが分かる。
下の写真を見れば前壁をしっかり作りつつ前で捌けているのがよく分かるだろう。

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糸井は守備走塁は正直もう厳しいレベルにあると見ているが、打撃はまだ頑張れそうだ。走塁といえば、八回の当たりで三塁まで行けなかったのはかなりマズイ。二・三塁で外野前進、かつライトがオースティン、打球は右中間を深々と破りフェンスまで到達したはずだ。あれほど三塁打が期待できるシチュエーションもないというレベルだ。衰えは隠せない。300盗塁まであとわずか1なだけに辛いものがある。

九回、危なげなくスアレスが締め17S目。独走だ。最後は木浪のファインプレーだった。終盤に入ってエラーもポロポロ見られるがそれでも本当によくやっている。今年はショートを開幕からずっと守り続けて、数字以上の仕事をしてくれた。去年大山が通年近く4番に座ったのと同様、本人にとって大きな経験となったろう。守備面では大きく成長(もっとも社会人内野手なので元々上手いんだろうが)。おそらくそちらに注力させたくて下位での起用が多かったが、来年以降少し余裕が出てくればオフェンス面でももっと期待が出来るだろう。ルーキーイヤーのOP戦であれだけ打った男である。


三戦目は上茶谷の完封。144球の力投だった。こういういいピッチャーがハマってしまった時はどうしようもないことが多いので仕方ない気もするが、ただそこをどう崩すかが大事だ。今年は足で揺さぶりながら何度もどうにかしてきたわけである。

決定機は六回裏だった。粘りの投球を続けてきた青柳が直前に1点を先制されてすぐの攻撃。代打の荒木が今シーズン初ヒットとなるレフト前で出塁。打順が上位に返ってさあ反撃だというところだった。どこで動くかという場面だったが、3-2までカウントがいったのでしめたとばかりにランエンドヒット。荒木の足と近本のコンタクト力となれば最低でも一死二塁は作れるだろうという判断だ。ところがこれが三振ゲッツーとなりチャンスを逃す。これが響き、直後にソトのスリーランを浴びてしまう。ただやはり調子の良い近本に送らせるのもどうなのかとなるので、ヒッティングを選択しつついいカウントで動くという攻め方は間違いなかったように思う。不運要素がかなり強かったことは否定できないだろう。

七回裏も先頭糸井がヒットで出塁。しかし続くサンズが良い当たりのゲッツー。サンズが打てないと勝てないでは厳しい。毎日打ってくれるとは限らないのである。

ただこの日は上茶谷を讃えるしかないだろう。それだけ素晴らしいピッチングだった。次回以降攻略できるよう対策しておくしかない。

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