見出し画像

9月17日 阪神vs巨人16回戦

11-0、勝ち。エース西が完封で7勝目、サンチェス3敗目。西は圧巻の2試合連続完封。今月巨人に負けをつけた投手が西しかいないという事態。

好調近本が初球いきなりとらえてライトへホームラン。サンチェスからの先頭打者本塁打はシーズン2度目らしい。そんなことあるのか。ともかくこれで勢いづいた。コントロールの不安定なサンチェスを攻めて二回までにしっかり点数をもぎ取り主導権を握った。やはり上位は活発だ。

画像1

近本は桜井からもソロを放ちこのカード4発。鋭いライナーを飛ばす延長でスタンドまで放り込んでいる感じだ。感覚もいいだろう。東京Dでずっと抑えられてきており3連戦開始前までは1割ちょっとだったがすっかり克服した。とはいえ近本に限っていえば開幕後の低迷時も内容もそれほど悪くなく(差し込まれた凡打よりも引っ張った凡打が目立っていた)、BABIP的に考えても「極度の不運状態にあった」とでもいった方がいいだろう。筆者は開幕後すぐから一貫して「近本ボーアは上げてくる」と周りに言ってきた。

そのボーアにも久々に一発が出た。近本同様この球場で長いこと打てずにいたがようやくである。先週の広島戦あたりから打球が上がり気味だったのでそろそろ一本でないかなと思いながら見ていたが、菅野田口あたり相手にはやはりきつかったか。ボーアの真の魅力はメルセデスから打ったアレ、今永から打ったアレ、梅津から打ったアレといったようにいい投手相手に苦しい展開で状況を打破する一発だ。今回のように点差のある楽な局面でエース級以外から打ったホームランは正直価値が薄い。ただこの1本をきっかけに再び量産体制に入れれば話は別だ。シーズン終盤で本領発揮してくれるとなれば補強の甲斐があったというものだ。

画像2


西はわずか107球にまとめ強力打線を相手に見事な完封。被安打もわずかに4。相手打線には左打者が多かったが、左にはブレーキの利いたシンカー系の変化球が実に効いた。あれで相当ゴロを稼いだろう。高さを間違えないので長打もまず食らわない。素晴らしいピッチングだった。

しかし西の完投能力には驚かされる。投球回数はずっと両リーグトップ独走。無駄に力まかせに勝負することがないのだ。やはり制球力こそ正義。160㎞/h投げる投手にはなかなかこう毎週長いイニングを任せることは出来ないだろう(だからこそ藤浪は特異な能力のある投手なのだが)。与四球が少ない=コントロールが良いでは必ずしもないのが厄介だががおおよそ与四球が少ない投手はコントロールが良いとみてよい。すると今シーズン西の与四球は18で投球回が102。9イニングあたり1.59程度なのですごい数字だ。巨人打線を相手にしなくてよい菅野が1.54程度なのでいい勝負をしている。ちなみに大野が1.63程度。ハイレベルな世界だ。昨年規定を投げて2.0以下だったのは両リーグでも美馬と大瀬良だけ、それもギリギリだったはず。当初打高といわれた今年にこの数字は驚異的といってよい。以前K/BBグラフを自作して気づいたのだが西のグラフ上の位置はかつての東尾、西本といった投手の位置にかなり近い。98年生まれの筆者がそういった投手のピッチングを直接見た機会はもちろんないのだが、おそらく西の投球スタイルは彼らのそれと近いところがあるのではと思う。つまり、右打者であれば内をえぐるシュートと外に逃げるスライダーを制球よく効果的に織り交ぜ、ストライクゾーンの横幅を最大限広く使った打たせて取るピッチングである。これは今度別の記事で詳しく書くが、現代型の投手ほどますます自分との闘いに挑んでいる傾向がある中で、西は貴重な「打者との駆け引き」を行っているオールドタイプな投手である。奪三振能力と引き換えに抜群の制球力とそこからくる高い完投能力を有す昭和の香りを残したエース、それが西ではないだろうか。だからこそ見ごたえのある魅力抜群な投手なのだと筆者は思う。

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?