DX: (Developer Experience)についてUXデザインと対比して思うこと

以前、この記事を読んだ。


で、ちょっと思うことがあったので、書いてみる。

というのも僕が実際にUXデザインを勉強したり、HCD(人間中心設計)などを勉強したり( そのあたり僕はてなブログを参照してほしい。http://nobkz.hatenadiary.jp/archive/2015 )、他のエンジニアより、ある程度UXデザインの知識を持っているとおもう。その視点からDXについて考えておきたい。

しかし、僕自身、組織にHCDを導入しようとして失敗した経験しかないので(つまり成功経験と呼べるものがない)、そのあたりで、まだまだ未熟であり、そのような知識を語るには、おこがましいように感じる。

しかしながら、今の僕の考えをまとめておくのが重要と考えたので書いておく。これはあくまで個人的な意見に留まるのであり、実際には各人が興味をもってUXデザインやHCD関連の書籍をあたって、なおかつ実践してほしいと思うところである。

DX: (Developer Experience)を「開発体験」と訳すことについて 

まず違和感を感じたのが、DXを「開発体験」を訳していることである。僕としてはこれは「開発者経験」と訳しておいた方がいいと思う。「開発」→「開発者」、「体験」→「経験」にしている。これについて、それぞれ話して多く。

開発者とは誰か?どのような人間か?

もともとの英語が「Developer」なので、「開発者」と訳すことが妥当である。たんにうっかりかもしれない。しかし、ここに「者」を入れないと重大な欠落があるように感じる。というのも、開発を行うのは「人間」であるという、当然の視点が欠落している気がするのである。その視点が欠落することによって、「開発者とはどのような人間なのか?」という関心が疎かになるように感じる。

そもそも、エンジニアがUXについて語る時も、Xの方ばかり強調されて「U」については浅く扱われているように感じる。それほど、エンジニアは人間について疎かにしやすいのかと思う。しかしながら、UXデザインを勉強すると「U」について、徹底的に調査していることに気づく。僕はUXを勉強していくたびに、「サービスの提供者はユーザを知らない」ということと、「ユーザについていかに関心を持ち、正確に実態を捉えていくか」ということがまず重要だと認識させられる。

とすれば、DXといったときに「Developerとはどういう存在で、どのような人間」なのか?ということについてしっかりと調査しなければならないように思う。

体験と経験

僕はそもそもUXはユーザ体験ではなく、ユーザ「経験」と翻訳したほうが良いと考える。なぜならば、UXにおいてのExperienceはスパンが長いからである。

経験と体験の違いであるが、まずこれは、体験というと、主体的で、自分自身ということに重きを置かれている。「自分自身の経験」が体験であるともいえる。また、体験は一回のことされることが多いと思う。体験の集約が経験ともいえるように思う。とすれば、体験は個人の一回性の直接的な表現であり、経験は集約的な一般化された表現のように思う。

で、UXデザインにおいては、僕が経験が重要だと思うのは、先にも述べたようにスパンが長いということであるが、それはほとんどのプロダクトは一回だけしか使わないものではなく、複数回使用されるのであり、日常的に使用されるのであり、持続的であるからである。また、UXのExperience自体も、予期的、利用時、利用後、累積的とあることからも「経験」と訳すのが妥当であると思う。

さて、それと同様に「開発者経験」と訳すべきというのは、開発という行為が、一回だけの行為ではなく、日々繰り返される行為だからである。この視点に立つことによって、一時的に良くなったとしても、終わってみたらすごく悪かったみたいな施策を防げるかもしれない。

エンジニア以外がDXを扱うこと

さて、先のブログを読むと、(おそらく)エンジニアがエンジニアの視点に立って、DXが重要だって言っている。それは当然だろうなって感じである。なんというかポジショントークにも思える。

それよりも重要なのが、それを開発者以外の人間の視点にとってDXをよくするとどうなるか?ということだと思う。DXをよくすると、開発者以外の人間がどうよくなるのか、それが組織やビジネスにどう貢献するのだろうか?ということである。

おそらく、DXをよくすると、生産性が上がり、売り上げも上がるという単純な論理なのだろうと推察する。しかしながら、DXをよくするためのコストに見合うものなのか?を検討しないといけないように思える。DXのよくするための施策自体は、コストが低かったとしても、なにをすればDXがよくなるか?という調査のためのコストも考えないといけないし、実はその調査コストは高いものかもしれない。

似たような考え 

あと、こういったDXとかをよくするっての、そもそも衛生工学や管理工学なのかもしれない。そういえば、以前、人間中心設計のイベントに行ったときに講演に「人間」とはだれか?というもので、顧客以外にも、従業員や、社会だということが印象に残っている。

まとめ、最後に

いろいろと批判してきたが、しかしながらDXの概念自体は重要だと思う。開発者とはいったい誰のことで、どのような人間なのか?そもそも開発者のExperienceはいつか?どのぐらいか?それ以外の人間にとってメリットは何か?みたいなものをしっかり考察するべきなんだろうなと思う。



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