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茅ヶ崎の第一村人を発見した話

茅ヶ崎に引っ越してから最初の週末、とある本屋さんでの出来事。

その本屋さんは、一棚オーナー制という制度で、街の住民が一棚だけ所有して自分の好きな本を販売している。

「話せる本屋」という看板を掲げていたため、「誰かと話せると良いなあ」ぐらいの軽い気持ちで行ってみた。
すると、ありがたいことに店主代理の店番の人と話が弾んだ。

僕「今週引っ越してきたばかりで...!」
お店番の方「そうなんですか?!茅ヶ崎おもしろいところいっぱいありますよ!」

うんぬん。5分ほど話し込んでいた頃だったと思う。
カウンター脇に座って本を読んでいた男性が、会話に混ざってくれた。

男性「最近引っ越してきたんですね〜」
僕「そうなんですよ〜、縁もゆかりもないんですけど、、」

うんぬん。男性は、立派な顎髭を蓄えており、キャップを被っていた。どっしりしている。
「地元の人っていう感じだなあ」と思ったのを覚えている。

工事現場の人かな?たぶん5つ上ぐらいかな?

風貌から職業や年齢を予想していると、男性は軽く自己紹介を始めた。強く自己主張をするという感じではなく、ごく自然な流れだった。




男性「僕は看護師をやってまして」




なに?!?!髭面なのに?!?!(失礼)





男性「名前はげんきって言います」




僕(看護師で名前がげんき?!?!?!?!)




げんきさん「お客さんに酒を提供して血圧測るバーをやってます」














おもしれぇぇぇえええ!!!!!!!!!!!





後から分かったことだが、彼は僕と同い年のようだった。そしてどうやら地域の活動にも関わっており(関わっているどころじゃなかった)、他にもいくつかある共通点たちが僕らの距離をすぐに縮めてくれた。

左:髭面看護師げんきくん

僕自身も自治体やコミュニティスペースと一緒に「てく学(@tekugaku)」という街歩きイベントを開催している。特に自治体関連のイベントとなると、周囲には必然的に歳上の大人が多くなる。

げんきくんもまた、地域での取り組みの中でなかなか同年代に出会うことがなかったとのことだった。

げんきくん(@genki_nurse)のプロフィールを見ると分かるのだが、彼は血圧を測る酒場以外にも、おっさんを集めてヨガをしたり、傷口に見立てたタトゥーシールを配布したり、変な活動をたくさんしていた。
聞けば聞くほど、そそられる…


そして僕は意を決して、げんきくんに言った。



僕「げんきくん、この後は予定ありますか、、?」



げんきくん「あいてますよー!」


ということで僕らは出会って初日にそのまま街の居酒屋へ出向いた。
げんきくんは元々茅ヶ崎の山村地区の出身で、一時は横浜に出ていた時期もあったが、戻ってきたということだった。

居酒屋に到着すると、早速また話し込んだ。
この地域のこと、面白い場所や人、うまい居酒屋、げんきくんのいきさつ。

詳細は省くが、僕らは居酒屋で飲み終えた後にもコンビニで缶酒を買って歩きながら飲んだ。海にも行った。

げんきくんは元々は病院で看護師をしていたものの、コロナ禍でたくさんの患者さんが病院の中に入ることも、外に出ることもできなくなった現状を目の当たりにして、病院を飛び出して“街を看護する”という方法を模索しているようだった。

『街の自然治癒力を高める』というのが彼が掲げてる使命だった。

だから、お酒を提供しながら血圧を測ったり、おっさんを集めてヨガしながら血圧を測ったりしていたわけだ。

それから1ヶ月。紹介してもらった先々に行くと、あっという間に街に住む人々と繋がった。おそらく50人近くの知り合いができたのではないかと思う。東京を本格的に離れることになったため、茅ヶ崎は家での暮らしをどう充実させるかが大事だなあと思っていたのだが、家の外もたちまち面白い場所になってしまった。

そして今日、げんきくんが生まれた小出(こいで)地区を訪れる。昔は村だったらしく、高齢化が進んでいる地域だ。小出に住むご年配の方々は、街に活気をつけたいと頭を悩ませているらしかった。

「小出地区をげんきにしたい」とげんきくんが言った。


村づくり。なんとも面白そうな試みではないか...
成功するか失敗するかは分からないが、まさか人生の中で村を作る機会が訪れるなんて...

予定よりも日記を書く時間が長くなってしまったため、もう出発の時間だ。


これまでの小出の良さを引き出しながら、いい村になっていくと良いなあ。

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