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新しい退職挨拶

入社して20年以上経つから、退職される方をそれなりの人数、見送ってきた。

最終出社日に「退職しますメール」を送り、同じ部署や親しかった人にはお茶菓子など配りながら挨拶をして去っていくのが主流。
メールだけ、あるいはメールさえ送らずにひっそり去っていく人もいた。
個別に挨拶に回らずに、給湯室に箱入りお菓子を置いていく人もいた。
偉い人などは、周るフロアも多くて配り物がとんでもない量になるから、口頭での挨拶だけという人もそれなりにいた。

いずれにしても、見送る側は挨拶の方法はあんまり気にしてはいない。ひっそり去っていく方は、にぎやかなのが苦手なんだな、と思うし、配られたモノから「この人は太っ腹なのね」とか余分なことを考えたりもしない。

といった退職の挨拶に、このたび新しい方法が加わった。

退職するのは、フロアは一緒だけど部所違いの男性社員。
むきだしの千円札を10枚渡してきて「退職の挨拶用にお菓子を買おうと思ってたけど、買うのを忘れたからフロアのみんなで何かどうぞ」と。

フロアには80人くらいいるので、金額的にはまあ妥当な線。でも、私に買わせて配らせるんだ、と目が点になる。あと、1万円札じゃないところに緊急事態感というか、さっき思い出した感というか。

これまでも、退職のあいさつ代わりのお菓子を「配っておいて」と、お土産を配らせるノリで女性社員に依頼してくる年配の男性社員も、いるにはいた(もはや挨拶の用を為していない)。
買うところから、というのは初めてである。

私自身は、業務上も雑用をばんばん引き受ける立場なので、びっくりしつつも「あはは、忘れちゃたんですか。じゃあありがたくいただきますね」と受け取り、モロゾフのチョコなどを物色。
が、よーく考えたら、女子にやらせちゃうんだ、という点がモヤる。頼まれたら拒否もできないけれど、例えば管理職の私が男性部下にこの件を丸投げしたら、問題になりそうな気がするんだよね。本人がやるべきことを仕事でもないのになんで代行しなきゃいけないんだ、みたいな。コロナ以来、退職時に食べ物を配る人も減ってるくらいだから、「忘れた」が事実なら、黙ってそのままでも何も問題無かったのにね。

うん、やっぱりこれは微妙に微妙に無邪気な女性差別案件だな。スイカ・メロン案件と同じ箱に入れておこう。