見出し画像

嫁ブロック

遅まきながら「嫁ブロック」という言葉を知る。夫の転職や起業に妻が反対する、という意味で、人事部の間では広く知られていた概念らしい。中途採用が進んでいたのに奥様の強い反対で破談、というケースが少なくなかったということなのだろう。
夫ブロックというのも当然あるはずなのだが、一般的には家庭の主な収入源が夫だから、こういう話になってしまうのだろうなあ。ほんと、扶養控除とか、ろくなもんじゃないな。扶養控除撤廃って言うと、育児と仕事を両立するための短時間勤務に手当があるのは当然、という反論が出る。一日に3時間働ける人と6時間働ける人の個別事情が、一律にパートタイム年収xx円の枠に押しこまれて融通が利かない状態が、労働者にとって好ましいわけがないんだけどな。雇う側は社会保険料不要な労働力として買い叩き、社会保険的には年金支給額を抑え込む良い口実になってるわけで。

話が逸れた。
嫁ブロックは個人投資家の間でも囁かれてる。これも夫の方が多く稼ぐことに由来しているのだろう。収入が少なければリスクは取れない。
我が家は社会経済的に男女逆転状態夫婦だから言うが、転職・起業・投資のリスク許容度は、性別じゃなくて、支出以上に十分に稼いでるかどうかに依存する。もしもパート勤務で年収103万円、手取り月8万円台で、中学生までの子どもが3人いたら、私だって株を買おうなんて思えないよ。一円も減らしたくないもの。ああ、そうか、サービス残業だらけで時給にしたら最低水準も下回るようなブラック職場で正社員の人が、もっと良い職場に転職しにくいのは、働きながら転職活動する時間も、無職期間を作る経済的余裕も無いからなのかもなあ。なんか悲しい。

なので、リスクを取れるだけの資産余力を十分に確保した上で、この範囲でリスクを取りたい、最悪の損失は何円、という数字ベースの交渉が、配偶者ブロックの解除には有効なのかもしれない。

「嫁ブロック」って言葉には差別を感じる。が、男女逆転してるとはいえ、うちも近い状態なので、関係者の悩みは非常によく理解できる。
家計のために、今日もクソつまんない職場で頭を下げ、学習塾の引き落とし額にため息をつく。こんなメンタルの削られ方を少し変えたい、というだけの話だ。「ダメ」の一点張りで聞く耳も持たないなんて、あんまりだ。ブロックする暇に働けや!って叫びたいのを堪えて鬱々とするなんて、体に悪い。

というわけで、無職とパートのみなさんへ。
主に家計を支える配偶者の言い分にも、理解と少しの譲歩をお願いします。リスクを全く取らないことで巻き上げられる側になっていることが、下の記事にも書かれています。現状維持にもメンタル悪化やインフレリスクはあります。
ほんの少し、例えばあなたの家庭で保有する資産の1/100なら、リスクを取ってみることも許されるのではないでしょうか?