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虫のいないコンポストの作り方を考える

蜘蛛を2匹放り込んだくらいでは何も変わらず、元気に飛び回るコンポスト内のコバエたち。そりゃそうだ。ヘビもそうだけど、蜘蛛って省エネで生きてるから(動く栄養源は高カロリーだけど遭遇しにくく、捜索と捕獲にエネルギーを使う)、すぐ満腹になるのだろう。
というわけで、虫がわかないコンポストを考える。

コンポスト運用の一般的注意事項

生ゴミを土でしっかり覆う

これを実行するには、家族一人あたり10リットル以上の土とそれなりの大きさの容器が要る。ベランダで気軽に、というサイズではない。
時々かき混ぜて好気性菌などによる発酵を促すため、またその上を土で覆い、となると土はかなり多めに必要。
うちは土部分15リットルくらいで、4人家族だ。撹拌しても何らかの生ゴミパーツは表面に出ていて、洗濯ネット頼みだったから虫がわいた。

目の細かい布で覆う

目の細かい洗濯ネットで覆ったが、生ゴミ側に虫が付着していて中で繁殖してるのが我が家の状態。虫の進入路は閉ざさなければならないが、これだけでは不十分。

土の必要量を減らすために

投入する生ごみをできるだけ細かくする

投入する生ごみを細かくすれば、土に入れた時の体積や攪拌に必要な土の量を減らせるはず。難点は手間がかかるのと、フードプロセッサなどを使うと電気代が要ること。

投入する生ごみを干して水分をとばす

細かくしたうえでさらに乾燥させればなお良い。難点は干す場所が必要なのと、屋外の場合は干している間に虫が寄って来てしまうこと。既に生ごみに虫や卵がついている場合は育ってしまうこと。

虫の内部繁殖を減らすために

投入する生ごみを加熱する

茹でても電子レンジでもいいけど、加熱してしまえば付着している卵も虫も死滅する。究極的には焼いてしまえば水分も減るし細かくなって、虫も死滅して、良いことずくめ。難点は、環境負荷を減らすためにエネルギー使っちゃう?というところ。野焼きも個人用焼却炉も使用NGな自治体が多いし。

熱湯をかける

50度以上のお湯で虫は死ぬ。何度か試したが、敵は3次元で動けるので、電気ケトルで500mlほど沸かしてちょこちょこ掛けたくらいではたいした効果はない。手で叩く方が圧倒的に効率良い。寸胴鍋で8リットルを3回くらい、ザバザバとぶっかけたらいろいろ死に絶えるだろうか。

殺虫剤を使う

できあがった堆肥で野菜を育てる場合は使えない技。花や観葉植物を育てる、あるいはただ生ごみ処理だけできれば良い、という目的なら殺虫剤の使用はありだろう。昔ながらのマルチな殺虫剤もコバエ専用も、スプレータイプが主流なので、いるなと思ったらすぐ退治できる手軽さは良い。

虫除けを使う

土に少し埋めて使うタイプのプラスチック製コンポストは、蓋に虫除けを設置できるようになっている。パラジクロロベンゼン、ナフタレン、樟脳、ピレスロイドといった代表的な防虫剤はいずれもハエにも効くみたい。パラジクロロベンゼンがコンポスト標準装備ということは、これを使って家庭菜園用の堆肥化は有りなのか。

もっとも、パラジクロロベンゼンは、ジクロロ部分の安定性が嫌だなあ、と個人的には思っている。「沈黙の春」とか、最近だとPFASが話題だけど、難分解性の化学物質は環境負荷になりがち。数千キロ単位で製造されてるんだから、うちがちょっと使うのを控えたところで地球への負荷は何一つ変わらないのだけれども。まだ樟脳の方が良いかな。和服の畳紙に使うようなパックのしかなくて、しかも結構いいお値段だけれども、環境負荷という点では少しましなのではないかと思う。

アルカリ性物質を使う

石灰などのアルカリ性物質を大量に要れると、水との反応で発熱するのとpHのために昆虫は死滅する。土壌微生物もある程度は犠牲になるだろうけれど、土壌改良レベルであれば問題ないはず。難点はベランダ等の場合は塗装や雨どいへの影響確認が必須なこと。FRP仕上げや塩ビパイプなら影響しないはずだが、大量で繰り返しだとどうかな。
うちには古い借家の排水詰まりを解消すべく購入した水酸化カリウムがあるけど、あれをばらまいたら確実にすべてが死滅する。そして家も傷む。乾燥剤の石灰を多めに入れるくらいが妥当か。

天敵の導入

ハエトリグモは前述のとおり、たいして効果が無い。ハチやトンボは飛ぶ空間確保が難しい。カエルやヤモリは条件次第ではありかも。カエルもヤモリもトカゲも大好きだけど、コンポストで飼うには彼らが休めるところも併設しないとだし、なかなかハードルが高い。

害虫を増やさないためには回収して焼却が合理的

結局のところ、あらゆる季節や天候で確実に手軽に「害虫の無駄な繁殖」を防ぐには、生ゴミをこまめに回収して焼却するのが一番合理的な方法なのだ。回収しても未処理であればハエが大量発生することは1960年代の東京都が散々経験している。

あるいは、十分な広さの土地に、がっつりと穴を掘って、生ゴミ塚を作っていく。十分な広さの土地では、雑草や雑木が生い茂り蚊や蜂の襲来もすごくて、ハエとは別の問題に悩まされる。人間と虫との戦いは簡単ではない。