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話し言葉が奥深い…!?~北海道と東京の違い⑥~

 当然ですが、北海道にも独自の話し言葉(いわゆる、方言)はあります。

 ただ、関西や東北一部地域のそれに比べると、関東人にもかなり馴染みやすいものです。その人の口癖かなーと思っていたら実は方言だった、みたいなこともよくありました。

 もともと影響されやすい性格もあって、自分も、5年間でけっこう方言がうつりました。ネイティブじゃないのでニュアンスに微妙な誤解があるかもしれませんが、もともとのイメージと実態が異なる部分もあったりしてけっこう面白いので、今日は方言の違いをテーマに書いてみようと思います。

※念のため付記しておくと、「方言」という言葉が便利なので使いますが、字面以上の深い意味はなく、東京の言葉=標準語ということでもありません。単純に話し言葉の違いを楽しむ記事としてお読みください。


◆「したっけ」は使わない

 北海道を舞台にしたフィクション作品で、別れの挨拶代わりに「したっけ!」と言う表現がよく出てきますが、実生活では、まず耳にしませんでした。

 調べたら、「そうしたらね」みたいな意味らしいです。たしかに、文と文の繋ぎ目に、「~をしたっけ、~した」みたいなのは、たま~に聞きます。

 でも、「じゃあね、バイバ~イ」的な用途での用法は、聞いたことがないなあ。


◆「なまら」もほとんど聞かない。

 ご存知、強調表現の「なまら」です。これも北海道言葉の代表格みたいな扱いですが、めったに聞かないです。でも、たま~に、ホントに感動したときとかにポロッと聞いたりします。

 逆にめったに出ないからこそ、たまに聞くと、あ、ほんとにスゴいんだな、と思ったりします。

 東京出身の営業マンで(僕じゃないよ)、自社商品を「これ、なまら旨いッスよ!」って連発する人がいて、そいつはかなり胡散臭かったです。

 本当に美味しいなら、「バカ旨いっっ!!」でしょう。


◆よく使うのは語尾の変化

 逆によく聞くのは、独特の語尾の変化。これは、けっこううつるので、いまだに出ちゃったりします。例えば…。

「~かい」「~べや」「~しょ」「~さ」

 このへんは超頻出ですね。英語のアクセント問題のcoffeeと同じくらい試験によく出ます。


◆特定の名詞に呼応する動詞

 ゴミは「投げる」もの、手袋は「履く」もの。

 意識しないと使いこなすことはできませんでしたが、たまに思い出して「このゴミ投げといて」とか言えると、ちょっと道民気分を味わえてドヤって感じでした。


◆意味を知らないと誤解する言葉。

 運転中の同僚に突然、「これ以上運転するのこわいから代わって」と言われて、「えええ!なに!この先なにがあるの!あんたが怖いなら俺だって怖いよ!」ってなったことがありました。

 実は、その同僚はただ「疲れた」だけ。「こわい」には「つかれる」という意味があるのを知った瞬間でした。


◆微妙なニュアンスを含む語尾

 動詞の未然形(というかア音便?)に接続するかたちで使用する「~さる」。意味は「~できる」ですが、主語はヒトではなくモノに使われることが多く、「(ヒトの意志とは関係なくモノの状況的に)~できる」というニュアンスが含まれます。それゆえ、否定形を取ることがけっこう多いです。

 たとえば、「このペン書かさらない」は、「このペン書けないよ~」という意味になります。含まれるニュアンスとして、単に不能を表すだけでなく、「自分は書きたいんだけど、このペンのインクが出ないせいで書けないんだよ~」というような感情が入ります。

 以前、友人たちと居酒屋で飲んでいた時に、注文ボタンを押したつもりが反応していなかったのを見て、「そのボタン押ささってないよ」という発言がありました。

 そこに含まれる、「自分たちはちゃんと押したのにボタンの反応が悪いせいで注文が通っていない」という自己擁護のニュアンスに面白くなった我々は、何を思ったか、そのニュアンスをなるべく正確に表現できるように「英訳」してみよう、という遊びを思いつきました。

 お題:「このボタン押ささっていない」を正確に英訳せよ

 英語が苦手な僕は、苦し紛れに以下のような回答をひねり出したのですが、どうやらそういうことでは無かったようです…(笑)

“The button is not pushshed”

※「押される」を表す”pushed”(プッシュト)を”pushshed”(プシュシュット)に変えるという、金原瑞人なみの翻訳センスを発揮したつもりだんだけど…。



◆個人的に好きな方言

 最後に、個人的にいちばん好きな方言をご紹介します!

 「なんもなんも!」

 これ、いいよね!! 用途としては、何がお礼をされたときに、「どういたしまして」的に使います。

 なんとなく、「どういたしまして」だと形式的というか、「お礼されて当然ですわよオホホ」みたいな感じになるけど、「なんもなんも!」だと、「たいしたことしてないから気にしないで~」感があって、言われた側もスゴく気持ち良い!

 ちなみに、敬語だと「なんもです!」になるらしい。これは、今後の生活でもぜひ積極的に使っていきたいなと思ってます。



 他にも北海道の方言はたくさんあるけれど、自分が特に印象に残っている言葉をご紹介してきました。以上、話し言葉の違いに関する投稿でした~。


 北海道と東京の違いシリーズは、いったんこれにて終了です!

 またなんかネタを思いついたら投稿しますが、そろそろまたKacotamマガジンも真面目に書こうと思います…!




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