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怪獣、特撮、そして徒歩

今回の旅は2021年4月(だったはず)
旅仕事自体前年7月の姫路以来である。

2020年中盤から21年明けにかけての状況は振り返ろうにも
このおよそ2年(現在2022年5月)の一進一退といいますか
どこが感染拡大でいつが比較的安心だったか、もはや思い出せません。
これを書いてるのは2022年5月。強弱はあれ疫病禍は続いてます。
よくぞここまで来たなと思います。

では昨年4月頃の世間はどうだったかというと第〇波が始まるのか?
宣言出すのかい?という感じで例年のゴールデンウイーク前にして
レジャー等どう過ごしましょうというムードとは程遠いものだったと
記憶してます。

私の旅仕事(旅行イラストエッセイ)は隔月の仕事なので
前年なんとかやりくりして回った3件で半年なんとか乗り切ったのですが
さすがに新規取材に出ねばならないとなり選んだ旅先は福島。
思えばあの2011年からちょうど10年、
あの直後はメディアを通して知るだけで
福島にはもう2度と行けないくらいの伝え方だっただけに
こうして普通に行けることに感慨深いものがあります。
ただし2021年は東京の者が気軽に福島に行くことのほうが
憚られる空気になっておりましたが。

今回の目的地は福島の須賀川。
現在では特撮のさらにはウルトラの町として知られてます。
円谷英二の生誕地であり
須賀川特撮アーカイブセンターや
円谷英二ミュージアムなど
私のような老境に差し掛かった特撮ファンに
とってはたまらん町でであります。
さらにはこの年の6月くらいには
新作劇場映画シンウルトラマンが公開予定とあって
記事として乗っかっておこうというもくろみ(スケベ根性)もあったですが
結果そのシンウルトラマンは
2022年5月現在になっても(案の定、庵野定?))公開されてません。

もうひとつ当てがはずれたこととして行く一月前くらいに
東北地方で起きた大き目の地震の影響で今回の目玉の一つ、
円谷英二ミュージアムは臨時閉鎖中、
行く頃には再開してるのではというわずかな希望をもって
ぶっつけで臨んだのですが、
ダメでした。

円谷英二ミュージアムは須賀川の公民館のような建物(tette)の
ワンコーナーくらいの規模なのですが
外側から展示のメインである初代ゴジラ再現着ぐるみの
シルエットだけ見られるのみ、
まあいいでしょう、また来ればよい。
そう自分に言い聞かせました。
私の旅にはこれが多い。

須賀川は駅から円谷英二ミュージアムなどがある中心街へは
5分くらい離れていてその道の両側に5メートル間隔くらいで
ほぼ等身大のウルトラの人や怪獣たちが立っている。
こんなの私が子供の時見たら大喜びでしょう。
今も大喜びだけど。

問題はもう一つの目玉、須賀川特撮アーカイブセンター。
これが須賀川駅からちょっと遠い。
私のような徒歩組はバス利用となるが行くのはいいが
帰りのバスがない(復路のバスは午前中しかないようだ)
タクシーという手もあるが私は2時間かけて徒歩で戻ることにしました

そんなのどかな田園風景の中突然現れる特撮アーカイブセンターの建物の側面に描かれ怪獣シルエットのイラスト(ウルトラマンのオープニング風)を
見た時のなんともいえない感情、
あれはなんなんでしょう?

こんなんが、近所にあったらどうしよう?
こんなのが日常に当たり前にある光景、
自分はそこまでは望まんぞ、望み過ぎだ。
でもこの辺の人はこれが当たり前の風景。
ずるい・・・

ほぼ嫉妬のような感情。

館内は割とこじんまりしてて展示物はイベントの展示でおなじみの物
(だいたいが撮影用の実物)なのですが
ずっとこういう場所があればという夢に見たような空間の中にいる
このしあわせよ。
しかしいずれ、間もなくこの場から離れなければならないという理不
あとここから2時間歩かなければならない苦行。

まったく整理できない感情のまま特撮とは関連性を全く感じられない
田園風景の中歩き続ける奇妙な2時間となりました。

さて、再び須賀川中心街に戻り午後5時になるのを待ちます。
商店街に流れる時報のメロディーが
帰ってきたウルトラマンの主題歌なんですね。
そして朝7時にはウルトラセブンの主題歌が流れます。
私は朝7時のセブンのも聞くために須賀川で一泊することにしました。
須賀川は東京から比較的近くて日帰りも可能なんですが
敢えて泊まりました。

そんな須賀川の夜。
疫病禍の影響かたまたま行った日に定休日が多かったためか
飲食店ほとんど閉まってました。
飲み屋は何軒か開いてるようでしたがあまり得意じゃないしな~
と迷った挙句、
結局全国チェーンファミレスのテーブルに座る私がいました。

旅先の選択として全国チェーンなど最悪とも思われますが
ファミレス自体は実に久しぶりで(5,6年ぶり?)
今でも須賀川の思い出といえば
怪獣たち、2時間徒歩、そして何故かこのファミレスの風景が
強く残ってしまっています。

旅の思い出というの時に奇妙なものです。


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