彩度を失う感覚を期待しつつ、親知らずを抜歯。
親知らずの抜歯の日がようやくやってきた。
大学病院に入る前に撮った花は赤、黄、白が色鮮やかに咲いていた。
眠りたいですか?
なんて聞かれ、初体験だし痛いのはいやだなと思う臆病な自分は静脈内鎮静法での抜歯をお願いした。
恥ずかしながら…。
静脈内鎮静法
点滴している管に静脈麻酔薬を注入することによって眠気を誘い、痛みをやわらげる方法です。 全身麻酔と違って意識はあるため、処置後に歩行にて病室に戻ることができます。 覚醒が早いため、処置が長引いたときは痛みが出てくることがあります。
どんな事がおきるのか、目を覚ますことがなかったら、どうしよう、てことを想像しつつ治療シートにイン。
麻酔をされた後、さっき見た花がどう見えるんだろう、鮮やかな色が掠れて見えたりするのかなとかも想像しながら、イソジンで10秒間ウガイをした。
研修医であろう麻酔科医が先輩を隣に、これからどういうことをするか説明してくれた。
こうやって、場数を踏むための1人で説明するのに慣れること、一生懸命に説明する感じがこそばゆく、微笑ましくもあった。
麻酔をされる経験はこれまでも数回あるが、静脈からは初めての経験。
ウトウトする
これがこの麻酔科医から一般人へのわかりやすい表現なのだろう。一瞬、ウトウト? それだけか、と思いつつその感覚がどんなものなのかもまた楽しみになってきた。
いくらかは緊張はしていたが、あくまで平然を装いつつ鼻で深呼吸した。
それでは、始めますね。
いよいよだ。
右腕にささった針に意識を集中する。
イメージ的には、右腕の感覚がなくなりまぶたが重くなり目をあけていられなくなるのかなとか想像した。
あれ、意外となんてことないな…
………、
はい終わりました。
左上の奥歯のところにワタを詰められ、この後の出血のことや、痛み止めのことなどを説明されたのを覚えている
が
歯を抜かれたことは、覚えていない。
あれ?
という間に終わっていた。痛みも違和感もない。
花の色の彩度がどうとかイメージしていたが、全く関係のないほどに視界はクリア。
ただ少しフラフラするだけ。
ほんの、抜歯をした数分間だけの記憶がない。
妻には、もし起きない事があったら後は頼んだ、なんて冗談を言ってでてきたが、内心どこかて不安は少しあった。
でもそんな心配はないくらいに、見事に意識はあるけど記憶がないという感じに仕上がった。
そんな、絶妙な麻酔科医のテクニックに圧倒されてしまった。麻酔科医を敵に回してはいけないということを知った。
特段、戦う予定があるわけではないが。
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