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犬山祭2023

私、ノーベル平和賞は愛知県の最北の地、犬山の出身である。最北の地といっても名古屋から電車で一本、30分弱で到達するのでアクセスは別に悪くない。
本来こういった個人情報をSNSに載せるのはまったくもって良くないことなのだが、まぁ誰に対しても積極的に開示している情報なので、悪いことが起こらないといいなぁと思うだけに留めておく。
何でいきなりこんな話を始めたのかというと、遂に待ち侘びた犬山祭が開催されるはこびとなったからだ。犬山祭は毎年4月第一土曜日と日曜日に開催される県下屈指の祭礼行事で、全国各地、そして海外からも多くの観光客が訪れている。しかし、全国各地の祭礼行事がそうであったように、新型コロナウイルスの流行により2020〜2022の計3年間は中止となっていて、実に4年ぶりの開催となったのだ。過去に犬山祭が中止されたのは戦時中か天候不順の時のみで、ここまで長期間にわたり祭が犬山から消えたのは初めてのことである。私も久方ぶりの開催に心を躍らせているが、一方で、祭囃子の音もそびえ立つ車山の勇姿も手に持つ笛の感触も、全てが遠い過去のことのように感じるほど流行病によって失われた年月は重いものだったと気づかされる。あふれる人で賑わっていた過去の写真を載せておこう。

犬山城前の広場
犬山駅へ続く通り

誇張抜きで広場や通りが人で埋め尽くされるほどの賑わいを見せていた。今年は久しぶりの開催ということでここまでの活況を呈すかはいささか疑問だが、最近は通常の土日でも犬山への観光客は戻りつつあるということなので、多くの人に楽しんでもらえると祭に参加する側としても嬉しい限りだ。

さて、祭の見どころは色々あるが、やはり両日の昼、犬山城前の広場で行われる各町内のからくり奉納は外せない。からくりってなに?という方に軽く説明しておこう。

これらの写真はからくり操演のみを行った秋祭りの写真だが、本来これらのからくりは車山の最上段(ヘッダー写真の紺色の幕の中)に設置されていて、これを本番では笛と太鼓のお囃子に合わせて操るのだ。日曜日の昼に針綱神社の前で操演することをからくり奉納と呼び、各町内が一番力を入れる一大イベントとなっている。これらのからくりは糸によって操られているが、そうとは思えないようなアクロバティックな動きをする離れからくりといったものも存在する。ぜひ直接見ていただきたい。
ちなみに2019と同じであるなら、からくりの操演は土曜日の方が見やすいかもしれない。土曜日は各町内の車山が広場全体から見える場所に位置してからくりを披露するが、日曜日は針綱神社前で操演を行うため、犬山城へ続く通りに面した場所じゃないと満足に見られないからだ。演奏自体は広場全体に届くようスピーカーで拡声されるが、からくりの動きを見るには位置取りに気をつけなければならない。

そして、からくり操演後、城下へ戻って行く際にはどんでんという大迫力のパフォーマンスとともに城下町へと下がって行く。

出発前に片輪ずつ上げて車軸にグリスを塗っている

これは出発前の作業の様子なのだが、平たく言えば城前からこの状態で方向転換した後、できるだけ長い距離を片輪だけで下がって行くのだ。この状態で数十メートル城から離れたあかつきにはどんでん後の車山の周りは歓喜と興奮に包まれる。数トンはくだらないものを半分持ち上げて行う方向転換と移動の様子は普段よりも大迫力だと聞く。なぜ伝聞形なのかというと、大体昼の部はからくりの操演で車山の中で笛を吹いているので、外からどんでんを見たことがほとんどないのだ。当然写真もないので、こちらも是非ご自身の目でご観覧いただきたい。

最後はインスタ映え確実の(?)夜車山である。

こんな具合に車山全体に365個の提灯を飾り付け、夜の運行を行う。移動とともにゆらめく提灯の灯りは幻想的な美しさで車山を彩り、向こう一年の安泰を象徴するのだ。昼の部が終わると同時に帰って行かれる方も多いが実にもったいない。完全に日が暮れてからの車山の運行を目に焼き付けてから帰っても遅くはないのではないだろうか?ちなみに運行の際の揺れでろうそくの火が提灯の紙に燃え移ることが稀にある。そういった場合は中に控えている提灯番がその提灯をはたき落とす(安泰の象徴とは?)ので、間近で見ている場合は頭上にも注意を払っておいた方が良い。

というわけで、幾つか犬山祭の見所を紹介した。もちろん他にも多くの魅力が詰まった祭なので、辺境の地ではあるが足を伸ばして直接目にする価値は必ずある。きっと多くの感動を与えてくれるだろう。今年は4/1(土)と4/2(日)の開催と早い日取りなので散る前の桜とともに車山を見られる絶好の機会かもしれない。晴れてくれると良いのだが、こればかりは天に祈るほかない。

それではまた…

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