ISTQB, JSTQBの概略紹介 (T3:Pt2:Ch00)

ソフトウェアテスト関連の文章でちょくちょく引合いに出すことが多いと思うので、概要を紹介しておきます。
詳しいことは、後述の各団体の公式ウェブサイトをご覧ください。

ISTQBと認定テスト技術者とJSTQB

ISTQB

ISTQBは、International Software Testing Qualifications Boardという団体の略称であり、同団体の登録商標です(日本語に訳すなら「国際ソフトウェアテスト資格評議会」とでもなるでしょうか)。
「国際的に通用する、ソフトウェアテスト技術者(認定テスト技術者)の資格と資格試験」の要件を策定し、運用している団体です。
公式ウェブサイトはこちらです → https://www.istqb.org/

テスト技術者としていくつかのレベルと職種を定め、「このレベルのテスト技術者は、こうした事項について知識・理解を持っていなければならない、こうした技術を実際に適用できなければならない」という資格要件(習得しているべき事項)を定めています。
習得しているべき事項を記述したものをシラバスと呼んでいます。
(筆者はISTQBのシラバスをベースにしたテスト技術トレーニングを企画・開発・開催(講師)していますが、トレーニングではシラバスのことを「知識体系」と呼んだりしています。正確な形容ではないと思いますが、呼びやすいので)

ISTQB認定テスト技術者

現在、(初級から上級に向かって)以下のレベルが定められています。(丸括弧内は、このサイトの記事で用いる略称です)

  • Foundation Level (FL)

  • Advanced Level (AL)

  • Expert Level (EL)

ALはFLの認定を受けていないと受験できません。ELはALを持っていないと受験できません。
これらの資格試験の実施はISTQBに加盟する各国/地域の資格制度運用団体に委ねられ、ISTQBは各国/地域の資格制度運用団体と相互認証を結ぶことで上記の資格(を支えるシラバスと試験内容、試験のレベル)が国際的に通用するものになることを保証しています。
(国際的に通用とは、①資格試験(を支えるシラバス等(以下略))がISTQB加盟団体の間で相違がなく、②ある国/地域で得た資格は、別の国/地域でも同等の資格と認められる、ということです。たとえばイギリスやオランダでFLの試験に受かった人は、インドネシアや中国でも「FLのテスト技術者」として通用します)

JSTQBとは

JSTQBは、Japan Software Testing Qualifications Boardという、ISTQBに加盟し、ISTQBの資格制度を日本国内で運用する団体の略称であり、同団体の登録商標です。
公式ウェブサイトはこちらです → https://jstqb.jp/

前節で述べたように、JSTQBはISTQBと相互認証を結び、日本でのISTQBソフトウェアテスト技術者資格試験の運用(シラバスの日本語訳、資格試験の開催、採点・合否判定、認定の授与、等)を行なっています。

ISTQB認定テスト技術者のレベル

Foundation Level

テスト技術者資格の“基礎、出発点”として、ソフトウェアテストを考える上での基本的な事項を収録したシラバスになっています。筆者がFLシラバスをベースとしたテスト技術トレーニングの講師をする際には、「ソフトウェアの設計であれ、テストであれ、ソフトウェアの開発に携わる者なら誰でも押さえておくべきテストの知識がほどよい幅(範囲)、深さ(詳しさ)でまとめられている」と、よく言っています。

2011年版までは事項の説明がわりと簡潔でしたが(その分、読み手にとっては細部が判りづらい……)、2018年版で事項も増え、記述も増えました(学習の目安時間も長くなりました)。

Advanced Level

ALで、“職種”が三つに分かれ、資格試験もそれぞれ別個に行なわれます(丸括弧内の略称は正式のものではありません)。

  • Advanced Level Test Manager (TM, ALTM)

    • テスト計画の策定、テストプロセスのマネジメントを主導する技術者です。

  • Advanced Level Test Analyst (TA, ALTA)

    • 主に機能テスト、一部の非機能テストでテスト分析を主導する技術者です。

  • Advanced Level Technical Test Analyst (TTA, ALTTA)

    • 主にホワイトボックステスト、一部の非機能テスト、静的解析でテスト分析を主導する技術者です。

Expert Level

ELになると“職種”はなくなり、テストマネジメント、テストプロセス改善という領域で(FL, ALより深い)事項の理解とスキルの習得が求められます。

そのほか

レベルとは違う切り口で、特定の活動(アジャイルテスト)向けの資格、専門分野(ゲーム、車載システムといったドメインや、性能テスト、使用性テストといったテストタイプなど)ごとの資格などが策定されています。


(2023-07-19 R001)

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