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小寺の論壇:確かにハンコは減ったが… 公立髙校のアナログ

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


一番下の息子が無事第一志望だった公立髙校に合格し、入学に際しての冊子を持って帰ってきた。巻末に提出書類が綴じ込まれており、それを記入して切り取って入学者投稿日と入学式の2回に分けて提出するようになっている。

地方行政DXの機運もあって、提出書類に印鑑が必要なところはほとんどなくなった。入学にあたっての誓約書と、銀行へ提出する引き落とし依頼の書類ぐらいである。

とはいえ、提出する書類の枚数を数えたら、なんと18枚もあった。ほとんどの書類に生徒名、保護者名、住所、電話番号を記入しなければならない。うっそでしょ、という量である。

特に入学生の「個人カード」というものがある。家族構成や保護者の連絡先、生徒のプロフィールや自宅までの地図などを記載するヤツで、全国でも小学校からずっとある書類だ。これを保管用と担任用に、同じものを2枚書かなければならない。これ、コピーじゃダメなのか。コピーじゃダメな理由はなんだ。

あまりにも繰り返し何枚も同じ事を書いているので、なんと自分の誕生日の記載を間違えた。隣に妻の生年月日を書く欄があって、そういえば西暦だと何年になるんだっけとか考えていたら、5と書くべきところに7と書いてしまった。人間、単純な反復作業には向いていないのだなぁとつくづく思った。

以前、地方行政DXのお話しを伺うために、武蔵大学教授の庄司昌彦氏と対談したことがあるが、行政DXのポイントの1つが、「ワンストップ」である。1度個人情報を記入したら、それがいろんな手続きに使い回していけるという概念である。だが提出が「紙」では、単にハンコがなくなっただけで、「書く」という手間は一向に減らない。

いつまでも変わらないのが、「マイナンバーカードの裏表をコピーして貼る」という書類である。自治体の就学支援金申請に使うものだが、収入証明書を添付しない代わりにマイナンバーを使うことができる。その場合にコピーして貼れ、間違いないことを本人の自筆で署名せよという。そもそも担当者は保護者の筆跡を知っているわけでもないのに、自筆であるか否かをどうやって判定するのだろうか。

マイナンバーを紙に落とし込むというのは、まだマイナンバーカードの読み取り装置が役所にしかなかった頃の方法である。病院でもすでにマイナンバーカードリーダーは完備しつつある中、学校はいつまで「ベストは紙」と考えるのだろうか。

■紙の辞書とパソコン

入学のしおりには、学校推薦・指定辞書を事前に購入するように求められる。この高校ではICT化に力を入れるというフレコミだったが、国語では国語辞典、古語辞典、漢和辞典を新規購入する必要がある。また英語の辞書も学校指定辞書を一括購入するという。

上の子も高校入学時に辞書を3冊購入したが、授業では国語辞典をたまに使う程度で、漢和と古語は使ったことがないという。このICTの時代に、卒業までに使うチャンスはあるのだろうか。

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