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小寺の論壇:これからの地方移住はあり? なし?


長期化するコロナ禍やテレワークの定着により、首都圏や関西圏を脱出して地方へ移住する人も出てきたようだ。「ねとらぼ」では8月末から9月7日まで「将来移住したい都道府県はどこ?」というテーマでアンケート調査を行っていたが、そのランキングが発表された。

・移住したい都道府県ランキングTOP30! 1位は「福岡県」に決定!
https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/360705/

今住んでいるところからの移住なので、地方から東京というのもありうる。このアンケートによれば、東京が10位にランクインしているが、以前から考えれば10位というのはかなりの後退と言えるのではないだろうか。

なお1位は福岡県で、これは先週のニュースクリップでも触れたところだが、九州管内では元々人気の高いところであるのに加え、IT系企業の移転などにより人気が高まっている。新幹線も飛行機も船も便利で、かつては九州の玄関口とも言われた場所だが、玄関で十分とも言える。

2位に北海道、3位に長野と、過ごしやすい場所が続くが、地の利を生かした他県の中で突然7位に宮崎県がランクインした。

宮崎は陸の孤島と言われて長い場所である。かろうじて福岡までの高速道路は開通したが、直通で行けるわけではなく、結局は福岡-熊本ラインに接続しただけの話である。実質車では4時間かかる。東京からだと、新潟市内に行くぐらいの距離である。

電車は未だJRしかなく、九州新幹線もない。単線ゆえに特急に乗っても遅い。飛行機はANA、JAL、ソラシドエア、ピーチ、ジェットスターが就航するが、このコロナ禍で大幅減便しており、かつてのように日帰りで出張できるような都合のいい便は飛んでいない。

つまり宮崎に移住するということは、首都圏への物理的アクセスは考えないという選択になる。月に1回ぐらい出社というのなら対応できるかもしれないが、毎週1回となると移住するメリットがなくなる、そういう場所である。

コデラが移住を決意したのはコロナ禍の前の話で、実家の家業を手伝うというあてがあっての話であった。結果的にその計画は頓挫し、これまで通り東京の仕事を受けるライター業に戻ったが、逆にコロナ禍がなければここまでの遠隔地から東京の仕事を続けることは難しかっただろう。その点では変な話だが、妙にタイミングが良かったとも言える。

今後、宮崎への移住を考える人もいるかもしれない。コデラの場合は出身がここなので、ある程度の土地勘や文化への適応に問題なかったが、情報が少ない土地であることは間違いないだろう。沖縄へ移住するのと同じように考えるかもしれないが、正直宮崎と比較すると、沖縄の方がインターナショナル感は強い。永く米軍基地があったことや、観光地として都心からの客を十分に受け入れている土壌もある。

宮崎が観光地だった時代はかれこれ50年前で、今となっては新婚旅行で賑わったという話はみんな知らないだろうし、宮崎在住の若い子にとっても、年寄りから聞かされる「伝説」でしかない。

ただ、実際に宮崎に移住した人は、2020年度に過去最多を記録している。

・宮崎への移住者が過去最多 コロナが後押し? 鹿児島市も増加
https://mainichi.jp/articles/20211002/k00/00m/040/073000c

地方回帰は本物なのだろうか。

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