編集部から見た「AV Watch20年」の歴史 (3)
今回の対談は、AV Watch創刊20周年を記念して、現編集長の山崎健太郎さんと、前編集長で現Impress Watch編集長の臼田勤哉さんとの鼎談をお届けしている。
インプレスのAV機器専門サイト、AV Watchの創刊は2001年2月13日。今年の2月から3月にかけて、我々ライター陣からは20周年記念記事を寄稿させてもらったのだが、そういえば編集部から見た20年というのは話を聞いてなかった。
AV Watchがスタートして10年ぐらい、競合メディアもいくつかあった。メーカーの発表会で会うお馴染みのメンバーも居たし、あからさまに対抗意識を燃やして来るライターさんにも遭遇した。だが次の10年の間に、そういう人たちもどこかへ行ってしまった。
生き残ったのはそれだけ強さがあったわけだろうが、同時に生き残るための舵取りも相当必要だったはずだ。
(5回連載予定)
■競合のない中で
小寺:こうやって20年やってきて、立ち上がり当初の10年間はけっこう競合メディアとかも出てきた時期もあったと思うんですけど、今、あんまり競合他社がなくなってませんか。
山崎:そうなんですよ(苦笑)。いつの間にか、あんまりなくなっちゃったという。アスキーさんとかね。
臼田:ITmedia LifeStyleとか。それこそ、ITmedia LifeStyleがなくなってからもう7、8年ぐらいですか。
山崎:そうですね。
臼田:昔は広告とかのコンペとかも、アスキーさんとアイティメディアさんと◯◯と、みたいな感じで、ある意味業界というか、競合みたいな感じだったんですけど、いつの間にかなくなってしまったんですよね。
それはPVが取れないとか、広告――たぶん彼らはデジタル家電みたいなところを狙ってたんですけど、そのボリュームがそんなになかった。専門媒体のボリュームがそんなになくなってきた、というところがあるんだと思います。
なので、彼らがいなくなって、じゃその枠を全部、自分たちで全取りできんじゃね?みたいな頃もあったんですが、実はそうじゃなくて、本屋で言うと“棚”がなくなっちゃうというか。「ネットでデジタル家電」みたいなカテゴリの広告がわりと全部スッとなくなっちゃったりしたので、一人で走るのは大変、みたいな感じがこの7、8年前ですね。
やっぱりITmedia LifeStyleがなくなって、並走者というか、業界が盛り上がってる感というのはすごく重要だなというのは今になって思います。もちろん専門媒体として、音元出版、PHILE WEBさんとか、ステレオサウンドのHiViのWebとかもあったりするんですが、ああいうところは昔からのオーディオビジュアルとの流れで、ちょっと別枠だったんです。それが結局、老舗メディアとAV Watch、みたいな感じのカテゴリになったかな、というところはありますね。
小寺:なるほどねえ。
臼田:ネットって広告を出すにも、電通とか、代理店から降ってくる、みたいな、ちょっと金額が大きいマーケットだったのに対して、最近はもう少し現場寄りの提案。昔はわりと、AV Watchに広告を出すのはマス寄りというか、「今年の液晶テレビはこんなにすごい! ワオ!」みたいな。
山崎:ふわっとした感じ。
臼田:そうそう。あとは開発者インタビューとかね。そういうのがけっこう多かったと思うんですけど、もう今はクオリティをちゃんとチェックする評論家とか、そういった要素が求められるようになってきたかな、という気がしますね。
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