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対談:「ゲームで生きていく」の研究 (第2回)

岡崎女子大学 子ども教育学部の花田経子先生にお話を伺っていく2回目。

子供とゲームの関係は、教育と相性が悪い事もあってなかなか研究が進まない分野であるが、花田先生のゼミではそのあたりにも踏み込もうとしているということで、お話しを伺わせていただく。

オンラインゲームにおいては、今コミュニケーション機能をもったものがほとんどであり、子供たちはゲームそのものもプレイするが、同時にSNS的なものとなっている。子供と依存の研究分野では、こうしたコミュニケーション機能があるオンラインゲームを「ソーシャルゲーム」と称している。

一方でゲームプレイヤー目線で言えば、「ソーシャルゲーム」とはSNSプラットフォーム上で展開されるゲームを指す。具体的には、mixiの『サンシャイン牧場』、モバゲーの『怪盗ロワイヤル』、GREEの『探検ドリランド』といった作品が、ソーシャルゲームである。

したがって単に「ソーシャルゲーム」と言った場合に、話者と聴き手とでそれに該当するゲームイメージが全然違うという可能性がある。

混乱を避けるために、ここでは、SNS的なコミュニケーション機能を有するゲームの総称として「ソーシャルゲーム」という言葉を使っている事を念押ししておきたい。

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小寺:ゲームの世界にドップリ浸かるというライフスタイルが生まれた一方ですね、逆に、ゲームそのものをクリエイトするゲームクリエイターになりたい、みたいな動機というのが、失われてる感じがするんですよね。ここ何年かで。

花田:そうかな。

小寺:小学生が卒業する時に、「将来○○になりたいです」みたいなのを一人ずつ言って卒業証書を受け取る、みたいなイベントがあるんですけど。うちのいちばん上のお姉ちゃんが今高2なんですけど、彼女が小学校を卒業するときは、「ゲームクリエイターになりたいです」みたいな男の子はまあまあいたんです。「YouTuberになりたいです」みたいな子もいたんですけど。それが下の子、3年、4年離れている子の卒業式に行くと、あんまりそういう、ゲームのクリエイターそのものになりたい、と言ってる子が少なくなってるんですよね。

花田:ほう。代わりに何か増えたものってありますか?

小寺:将来の目標がない子は、「中学に行ってがんばります」みたいなことを言うんだけど、そういうふうにすり変わってる感じがあります。「ゲームクリエイターになる」ということ自体が、わりと「パイロットになります」とか「サッカー選手になります」みたいな、「ちょっと無理じゃね?」みたいな感じの大きな夢に等しくなってきてる感じがある。

花田:そうですね。ゲームを作るのがどれだけ大変か、というのがなんとなく周知されてきてると思います。実際にゲームを作っているような現場を取材された記事があったりとか、あるいは子供たちがよく目にする学研の漫画本とかあるじゃないですか。「ナントカのヒミツ」みたいなの。ああいうのでも、けっこうゲームクリエイターみたいなのが取り上げられたりしてるんですよね。

なので、子供にとってゲームクリエイターというのは、プロサッカー選手になるとか、そういうふうな、凄く才能があったらなれるんじゃないか、みたいな感覚はあるかもしれないですね。

小寺:この話には続きがあってですね。上の娘の卒業式の時に、知り合いのお父さんで、本当にゲーム会社に勤めてる方がいらっしゃったんですよ。「ゲームクリエイターになりたい」と言った子の時にボソッとその方が「いや、そんな簡単じゃねえよ」って言ったのが俺の中でハイライトでしたね(笑)。

花田:あはは(笑)。

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