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小寺の論壇:家庭用プリンタの世界がなかなかの荒れ具合
プリンタほど、昨今は大きく明暗が分かれている機器もないだろう。役所関係の地方の法律事務所なんかは、大型レーザープリンタで未だバンバン紙を刷る。耐用年数の半分ぐらいで使い潰すため、ほとんどがリースである。
一方家庭用として、年賀状やラベル印刷に活躍したプリンタは今やほとんど需要がなくなっている。筆者宅でも、月1回、部活動の練習計画をプリントアウトするぐらいで、出番がほとんどない。ほとんどない割にはかなりの重量と場所をとっている。
先日、久しぶりに東京に行くので名刺を刷ろうと思ってプリンタを起動したところ、黄色が印刷されない。これまでモノクロプリントしかしてこなかったので気がつかなかったのだ。何度ヘッドクリーニングをかけても全然出ない。ヘッド自体がもうダメなのかもしれない。
エプソンの「EP-976A3」、調べてみると2013年発売なので、ほぼ10年前ということになる。インクの供給がなくなればもっと早くに買い直しも考えられたのだろうが、インクは潤沢に流通していて、そんなに時間が経っていたとは気がつかなかった。これは手差しながらもA3が印刷できるモデルで、PTA広報紙や自治会ポスターの試し刷りができるからこれに決めたのだった。
とはいえ、今となってはそんな用途はとっくになくなっている。名刺も、対面での「はじめまして」がなくなってきている今、あとどれぐらい使うのかわからない。だが、今はまだそれに代わるものが存在しないのもまた事実である。
しょうがない、今さらだがプリンタを買い直すか、ということになった。
■モデルは多様、在庫なし
調べてみると、家庭用インクジェットプリンタというのはまだ季節商品のようで、1月〜3月、10月〜12月の間に新商品が投入されているようだ。価格は、安いものだと1万円以下、中級機は3万円台、上位機種で4〜5万円といったところ。昨今は「テレワーク対応」というキャッチコピーで売っているようである。
実際テレワークでプリンタがいるものなのか、その辺はよくわからない。家の中でデジタルデータをわざわざ紙で出したってどうにもならんだろうし、会社でやってることと同じ事を家でやるならそれは働き方改革とは言わないのでは、という気がするが、そうでも言わないと需要が喚起できないのかもしれない。
テレワーク時のプリンタ選びを指南しているサイトがいくつかあったので調べてみたが、テレワークでなぜプリンタが必要なのか明確に説明しているサイトはなく、その辺は華麗にスルーされていた。みんな架空のテレワークを勝手にでっち上げているだけのではないか。
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