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小寺の論壇:人は60歳で能力が落ちる? 役職定年と65歳雇用延長に未来なんてない

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


筆者は今年の10月で60歳の還暦を迎える。入社同期の友人はそろそろ定年退職の準備をしているようだ。また先輩達はすでに定年して自分の田舎に戻ったり、奥さんの田舎に付いていって第二の人生を送っている。

年金の受給開始年齢が65歳に引き上げられたことから、高年齢者雇用安定法では2025年4月から、定年年齢を65歳に義務化する。今はその移行期間である。

ちょうど我々の年代は、65歳定年制度の義務化に間に合わず60歳を迎えるので、まだ見直しをしていない企業では、定款で決められている60歳で定年する可能性が高い。再雇用制度がなければ、それまでである。

さらに最近では、役職定年制度を採用する企業も出てきている。代表的な例では、ソニーがそうだ。事業部長以上が57歳、統括部長が55歳、担当部長や統括課長は53歳で役職を降りなければならない。それを機会に辞職するべきか、悩んでいる人も多い。

役職定年は、若手に早く役職に付かせて決定権を持たせ、スピード感を上げるとともに、企業の若返りが期待できる制度だ。一方これまで上司だった人が平社員に降格となるため、これまで部下だった人の下につく事になる。これは双方気まずい。

役職定年の最も大きな問題は、給与がおよそ半分に減額されることである。55歳ぐらいなら子どもがまだ大学生という年齢だろう。こんなときに給与半額では、やってられない。大企業で働いていても、子どもは奨学金で進学してもらわなければならなくなる。

60歳定年後の再雇用も同様だ。そこまでに子どもが就職して一人前に稼げるようになっていればいいが、そうでなければ生活が崩壊しかねない。

コデラは自営業なので定年などはなく、まあ人ごとと言えば人ごとなのであるが、今回は定年って一体何だろうね、ということを考えてみたい。

■かつての「定年後」の姿

改正高年齢者雇用安定法では、2025年までの目標として、「定年を65歳まで引き上げる」、「再雇用制度の導入」、「定年そのものを廃止する」のいずれかを実地する必要がある。現在多くの企業が採用しているのは、「再雇用制度の導入」だろう。60歳でいったん定年してもらい、給与半分で再雇用する。

その昔、定年年齢は永らく55歳が定番だった。最初の定年制度は明治時代に始まったと言われているが、大正時代頃までは日本人の平均寿命は50歳以下だったので、本当の意味での終身雇用であった。

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