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小寺の論壇:Amazon Alexaは沈み行く船か

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


イーロン・マスク氏のTwitter買収以降、ネット業界はレイオフ祭りに湧いているところであるが、Amazonでもきな臭い話が聞こえてきている。

Business Insiderの日本語の記事は11月11日に報じているが、元々はウォールストリートジャーナルが11月10日に報じたもののようだ。

・アマゾン、アレクサを含めた不採算事業を縮小か…同社広報は「今後も重要な投資分野」と否定(Business Insider)
https://www.businessinsider.jp/post-261691

・Amazon, in Broad Cost-Cutting Review, Weighs Changes at Alexa and Other Unprofitable Units(The Wall Street Journal)
https://www.wsj.com/articles/amazon-has-launched-a-cost-cutting-review-focused-on-unprofitable-business-units-11668094823

別ソースでは、11月22日にars TechnicaというメディアがAmazon社員の談話として、Alexa事業は今年100億ドルの損失を出す勢いであると吐露している。

・Amazon Alexaは「巨大な失敗」と社員が吐露、損失は年間1兆4000億円のペースに(GIGAZINE)
https://gigazine.net/news/20221122-amazon-alexa-failure/

・Amazon Alexa is a “colossal failure,” on pace to lose $10 billion this year(ars Technica)
https://arstechnica.com/gadgets/2022/11/amazon-alexa-is-a-colossal-failure-on-pace-to-lose-10-billion-this-year/

Amazonは営業不振により1万人規模の人員整理を進めており、2022年だけで1兆4000億円もの営業損失を出しているAlexaは、最も大きな影響を受けるとされている。

Alexaは音声アシスタントだが、それを搭載するハードウェア事業にも関連する事になる。2016年に登場したスマートスピーカー「Amazon Echo」を手本として、Google、Appleも相次いで参入。日本でもLINEが参入した。だがAppleのHomePodは事業的には敗退。LINEも今年10月末に端末販売を終了、サービス自体も来年3月末で終了する。

・CLOVA デバイス販売終了およびCLOVAデバイスにおけるCLOVA Assistantサービス終了のお知らせ
https://clova-blog-ja.line.me/archives/17249401.html

スマートスピーカー事業は、どこで何を間違えたのか。

■Echoはどこへ向かっているのか

現在Echoシリーズは、スピーカーのみならず、イヤホンや車載型、ディスプレイ搭載型など幅広く展開している。まずは現行モデルを俯瞰してみる。

・Echo Dot
スマートスピーカーとしては最も小型で、最も売れているとされていたシリーズ。第3世代までは大判焼きみたいな形だったが、2020年の第4世代ではソフトボール大の球形となった。派生モデルとして、時計表示ができるEcho Dot with clockもある。

・Echo
Echoシリーズのスタンダードモデル。永らく円柱形のボディだったが、これも2020年の第4世代から球体ボディとなった。円柱形モデルはモノラルだったが、球体ではステレオ仕様となっている。

・Echo Studio
2019年発売。スピーカーラインナップとしては最高峰で、単体でステレオのみならず、空間オーディオの再生にも対応する。2022年に新モデルが出たが、色違いというだけでハードウェア的な変更点はなかった。

・Echo Auto
2020年発売。車載用のEchoとして登場したが、実際にはマイクと音声出力ユニットであり、本体機能はスマートフォンとペアリングして実行している。

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