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小寺の論壇:18歳で「将来を決めろ」の無理

毎週小寺信良が、知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。

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うちの子供達は、上のお姉ちゃんが高校3年生、下の娘が中学3年生で、今年は進路を決める1年となる。

多くの地方がそうだと思うのだが、地方では公立高校のほうがレベルが高く、私立高校は公立高校に入れなかった子が滑り止めで行くか、あるいはすでになりたい職業が決まっていて実業系の高校に行くか、あるいはヤンキーが集まるツッパリ高校か、というというものであった。

一方東京埼玉では事情が逆で、多くの子は有名私立校を目指す。就学補助制度も多数あり、公立校とそれほど変わらない負担で進学できるというところもある。公立高校は、滑り止めの選択肢の一つという格好である。

筆者は宮崎県で生まれ、高校卒業までをここで過ごしたのだが、筆者が住んでいたころとは大きく事情が変わってしまった。

そもそも、私立高校がガラリと変わってしまった。以前はイメージの悪かった高校が次々と名称を変更し、すっかり「いい学校」に生まれ変わってしまった。また女子校、男子校も共学になり、特徴が薄まってしまった。

加えて公立高校も、本人が通学できるならどこでも受験できるようになった。筆者の頃はそれぞれ校区が決まっており、例えば公立普通科に行きたければ、行ける学校は一つしかなかった。その点では悩む必要はなにもなかったのである。

中学3年ぐらいで、将来のなりたい職業を決めろと言われても、どだい無理な話である。そもそもどんな職業があるのかも知らない。「サラリーマン」が何をするのかも知らないし、自営業とはなにかも知らない。とりあえず普通科に進んで決断を先延ばしするというのは、比較的妥当な考え方であろう。筆者も中3でなりたい職業など思いつくはずもなく、「とりあえず普通科」で進学したものである。

■18歳の進路

高校3年生の娘も、なりたいものを見つけるのに苦労している。大学はある程度方向性を決めて専攻する必要があるが、なりたいものがないなら決めようがない。大学に進学するつもりはないようだ。

そもそも筆者が大学に行ってないこともあり、大学の魅力を説明できないというのは大きいように思う。子供達のだれも大学進学にあまり興味がないのは、そういう部分もあるのかなとも思う。

なんとなくではあるが、親のように専門学校卒を出て専門家として働くという姿は実際に見ているので、人生そういうものだと思っている節がある。把握できる就業モデルが親しかないというのは、どの家庭も似たようなものだろう。こうなりたい、こうはなりたくないの二択だ。

筆者は普段から家で仕事していることもあり、子どもたちには父ちゃんの仕事は楽そうに見えるようだ。大学に行かなくても楽そうに生きていけるなら、そら行きたいと思わないよな、とは思う。

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