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小寺の論壇:コンテンツの原点回帰ブームはホンモノになるか

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


先日、映画館で「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」を見てきた。チケットを予約して気がついたのだが、なんとコデラは60歳になったことでシニア割が使えるようになり、皆さんよりもちょっとお安く映画が見られるのである。ビバ年寄りに優しい国。

「ゲゲゲの鬼太郎」自体は、すでにテレビシリーズとして過去6回も放送されている。コデラはテレビシリーズがスタートした1968年にはまだ幼稚園で、当時の月刊誌「たのしい幼稚園」でも連載がスタートしたため、マンガとアニメ両方でゲゲゲ体験をスタートさせた。 第1シリーズの1968年から第6シリーズ終了が2020年なので、おそらく60歳以下の日本人のほとんどはカバーしていると思われる、強いコンテンツである。

ただこれらのテレビシリーズでは、鬼太郎の誕生は描かれていない。誕生が描かれているのは、1960年から貸本として発行された「墓場鬼太郎」というシリーズである。現在は「貸本まんが復刻版」として、角川文庫でまとめられている。また2008年には、深夜アニメとして「墓場鬼太郎」が制作されているが、元々原作も短いため、11話で終了している。他作品が100話前後作られているのに比べると、見たことがある人は少ないだろう。

「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の映画レビューでは、誕生を描いた「墓場鬼太郎」を読んでいなくても楽しめる内容、とされている。確かに映画本編は、鬼太郎の父が主役のオリジナルストーリーとなっており、ゲゲゲの鬼太郎を知る人であれば楽しめるようになっている。

ただ、エンドロールの左側で展開される劇画調のマンガと、エンドロール後にくっついているエピローグの意味がわからないだろう。隣で見ていた人は読んでいないのか、最後の最後で「?」マークが頭上に点灯したまま、といった様子だった。

もしこれからご覧になるかたは、「墓場鬼太郎」の1巻まででもお読みになって出かけられると、作品の深度として1層下まで楽しむことができるはずだ。

■リブートの流儀

庵野秀明監督の「シン」シリーズや、山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」など、過去の作品のリブートものが当たっている。取り上げられた原作がそれぞれに強い作品であることはもちろんだが、「子供の頃に心躍らせた作品を、大の大人になって今の切り口で見に行く」という市場が成立したと見ていいだろう。

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