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小寺の論壇:著作権侵害対応、何が正解なのか

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


著作権侵害で問題になるのは、著名な作品や作家、というイメージもあるところだが、我々ライターが書いている日々の記事でも、ガチな著作権侵害は度々起こっている。

7月18日、チャンネル登録者数が20万人を超えるセゴリータ三世氏のYouTube動画に、通信・モバイル系ジャーナリストの石野純也氏が取材し、Impress Watchに掲載されたNothing Phone(1)の記事内で使用された写真が無断出使用されたことがわかった。同業者の中山智氏が発見し、Twitter上でその類似性を指摘したところ、石野氏は許諾していないということだった。

写真の著作権は、撮影者にある。ジャーナリストが現場で撮影した写真の権利は取材者にあり、商業メディアに掲載されたものはメディア側にも出版権を設定できる。商業メディア同士の場合、希少な写真なら使用料を払って写真を貸し借りする場合もあり、だいたい相場としては1枚2万円から3万円といったところである。

借用した写真は、通常は写真内に著作権者のクレジットを入れるなり、キャプションに入れるなりして掲載する。そうした権利表示がないと、せっかくお金を払ったのに無断盗用と思われる可能性があるからだ。

ただ今回の場合は、事前に連絡もない無断掲載であり、クレジット表記もない。石野氏がTwitter経由でセゴリータ三世氏に連絡をとったが、何の返信がないまま、当日、動画が非公開になった。

セゴリータ三世氏のチャンネルは、普段はガジェットレビューなどが中心だが、2019年頃には違法音楽配信サービス「MusicFM」を撲滅するとして、署名運動を展開したことで話題になった。著作権に関しては、まったく知らないわけではないはず、という指摘もTwitter上で上がっていた。

・違法音楽アプリMusic FM撲滅へ向けて。1人の男が踏み出した大きな一歩
https://mag.digle.tokyo/interview/topics/38534

著作権法には音楽はダメで写真はいいという理屈はないが、写真や画像は比較的無断使用されやすい性質のものである。データ量が小さく、ウェブページから簡単にコピー&ペーストできる。

今回無断使用された写真は、記事のトップに掲載されている、2タイプのスマートフォンの画像である。こうした画像であれば、メーカーがプレスリリースとして提供している写真があり、事前の許諾なく利用できるようになっている。

・Nothing Phone (1)を発表、8月に日本上陸決定(PR Times)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000082566.html

広報写真ではなく、石野氏が会場取材にて撮影した写真を利用したのは、広報写真よりも良かったのか、たまたま目に付いたからなのかはわからない。商業サイトに記事として掲載の写真も、出所は広報写真である場合もある。だが利用したいなら、まずは公式に提供しているサイトへ行って、ある意味「原本」をダウンロードするのが筋である。

セゴリータ三世氏は、この指摘があった18日にも別の動画をアップロードしている。そのコメント欄に今回の無断使用に関するコメントを求める書き込みもあったが、それらは短時間のうちに削除されたという。

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