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小寺の論壇:ドキュメント制作支援AI、プロライターはこう見る

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


2月23日に、ドキュメンテーションサービスのNotionがドキュメント制作支援AIを正式発表した。すでに同日から全ユーザーが使えるようになっている。

Notion AIに関しては、この記事で方向性についてまとめているので、参考になるだろう。

・ユーザーの専属助手になる「Notion AI」が月額10ドルで正式提供開始…「プライバシー」から「得意なこと」まで代表に聞いた

記事によれば、アルファ版ユーザーが期待したのは「著者ではなく編集者」だったという。つまり記事を書いて欲しいのではなく、書いた記事あるいはこれから書く記事についてサポートして欲しいということである。

提供される機能としては、

1. テキストを要約する

2. 翻訳・文章を長くする/短くする

3. テーマを与えてアイデアを得る

の3つに分類できるという。

筆者は普段、Notionはニュース記事のクリッピングや取材時のメモ書きなどに利用している程度だ。まあアレだ、昔Evernoteでやってたことをそのまま乗り換えただけである。だが日常的に使用しているツールで文章作成支援AIが使えるのは大きい。早速試してみた。

■どう使う?「テキスト要約」

プロのライターとしてテキストの要約が必要なシーンというのは、実はあまりないかもしれない。職業文筆家としては、人が書いた文章を一応隅々まで読んで自分なりに咀嚼するのも仕事のうちではある。だが議事録やインタビュー起こしなど、まだ整理されていない文章のサマリーがAIで読めるのは楽である。

以前、大阪で株式会社シーマさんに取材した際の約1時間半のインタビュー起こしテキストが手元にあったので、これで試してみた。文字起こし自体は、音声ファイルを「Notta」というAIサービスに食わせてテキスト化したものである。

文章を全選択して右クリックすると、「AIに依頼」というメニューが出てくる。そこに「このインタビューのうち、中継に関する部分をまとめて」と依頼した結果がこの文章だ。

中継に関する話題は、山の中のキャンプ場中継やゴルフの中継などで取り上げられました。中継に必要な回線がない場合は、持つ動いたワークを利用することも検討されました。また、中継に関するネットワーク構築には、ネットワーク屋さんの協力が必要であるとの意見もありました。また、バックアップに関する話題もあり、バックアップを真剣に作ろうとすると、1セット全てのものが必要となることが分かりました。
さらに、中継を行う際には、事前の準備が非常に重要であることも指摘されました。入出力を作っておかないと、映像の機械が故障した場合に対応できないことがあるため、準備に時間をかける必要があります。また、中継に関するニュースを作り、中継者や視聴者などに共有することも大切だとの意見もありました。
このように、中継には様々な面での課題があることが分かりました。しかし、技術の進歩によって、モバイルバッテリーを利用した中継やSRTの伝送など、新しい手法も出てきており、今後さらなる進化が期待されます。

一方筆者がこのインタビューを元に書いた記事が以下のものである。

・ライブ配信特化の“ネット中継車” テレビ局でもないのに作った大阪の会社を訪ねてみた

AIによるサマリーは、インタビューの趣旨としては間違ってはいないものの、人間、特に筆者が面白いと思ったポイントにはかすりもしないという結果になっている。もっと大事なとこあるだろう、と突っ込まざるを得ないが、まあ専門的な知識がないと話が読みの取れない部分が多数あり、まさに業界のことを何にも知らない大学生のインターンを連れて行ったらこうなりました的なまとめになっている。

インタビューの中でどこに食いつくかが、聞き手・書き手の個性になるわけで、そこがまるっとAIに変わるという事にはならないだろう。逆に客観的に大事なポイントは指摘してくれるので、そこを相手が言いたかったこととして捉えてみるのは、あながち間違ってはいないかもしれない。

■「翻訳」機能はかなり使える

これまで外国語の記事翻訳には、DeepLを利用してきた。ブラウザに拡張機能を入れておけば、文章を選択した時点でDeepLのアイコンが出てくるので、それをクリックすると対訳が表示される。

一方Notion AIの場合は、URLを指定して「これを翻訳して」と書き込むだけで翻訳してくれる。先日Meta社がInstagramに「ブロードキャストチャンネル」を追加したというプレスリリースが出ていたので、これを翻訳させてみた。

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