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小寺の論壇:教育の中でAIはどのように使われるべきか

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


ChatGPTの登場により、多くの教育関係機関は戦々恐々とした状態になった。大学の課題に対して、ChatGPTを用いて提出する学生が出てきたからだ。すでに昨年秋の段階で、米スタンフォード大学の学生新聞の調査によると、宿題や試験で同大の学生の17%が「ChatGPTを活用した」と回答しているという。

当面の問題点は、子供たちが課題の提出に対してAIを利用することにより、自分で勉強しなくなる、あるいは勉強していないのによい成績が与えられるといった、「チート」をどうやって防止するかというところになる。

だが大学における学習はすでに紙とペンの時代ではなくなり、何らかのICT機器を併用するのが当たり前となっている。小中学校ではタブレットやPCが導入され、高校でもその動きが広まっている。

ChatGPTの場合、OpenAIが提供するChatGPT Plusのようなサービスを利用するのが一般的ではある。よってOpen AIのサイトに行けないよう、フィルタリングするという方法は考えられる。だがChatGPTはAPIも提供されており、APIを組み込んだサイトは当然Open AIドメインではない。またAIは何もChatGPTだけではなく、これからも様々なAIが登場してくると考えられる。AIに対するすべてのアクセスを止める仕組みはないと言ってもいいだろう。

幸か不幸か、小中高校の定期テストや実力テスト、あるいは入試問題は未だペーパーである。筆記用具以外の使用を禁止すれば、回答をAIに作らせるという問題は解決できる。だが授業中の課題や家庭学習に至るまで、ICTを使うなとは言えない。そもそも教育現場ではICTを活用せよと言われており、AIが登場したために紙と鉛筆に逆戻りするというバカげた事態だけは避けなければならない。

■先生にとっての魔法の杖  

一方で先生のほうは、AIを使うことでかなり楽になることが予想される。日々の課題みたいなものは一括購入したドリルや問題集などを使ったほうが手間がないだろうが、課外や補習授業で使用する問題は、AIに作らせるというのもひとつの方法だ。

学齢に応じた難易度も指定できることや、回答例も考えてもらえることから、オリジナルで問題を作らなければならないという作業からは解放される可能性がある。

高校数Iのレベルで三角関数の問題を作ってもらった
回答例も作ってくれる

あるいは学習塾や家庭教師など、マンツーマンの授業を行なう場合も有効かもしれない。本人が苦手とするジャンルを絞り込んで、同種の問題がいくらでも作れることから、「問題の弾切れ」が起こらない。

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