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全国レベルで話題性ゼロ。宮崎県知事選挙の中身

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12月8日に、宮崎県知事選挙が告示された。公示前までは、現職の河野俊嗣氏、16年前に知事を務めた東国原英夫氏、プロゴルファー横峯さくらの父で、参議院議員経験のある横峰良郎氏、戸田市議会選挙で当選するも、居住実態なしとして無効となったスーパークレイジー君氏の4人とされていた。だが公示2日前に、持病が悪化したとして横峰良郎氏が出馬断念。現職と元職、新人の3人の選挙戦となった。

公示前には話題性のある選挙として全国区でも報道されたが、実際に選挙戦が始まると、細かいところまでは追えないとして、全国区での報道はほとんどなくなっている。選挙報道の場合、候補者を均等に取材・報道しなければならないので、どうしても尺が長くなる。全国レベルで見れば、そこまで負う必要のある選挙でもない、という事だろう。

一方宮崎県内では、期日前投票数は4年前に比べると2.33倍となっており、関心が高まっている。

・<宮崎県知事選挙>期日前投票3万8354人…6日間 前回同期比2・33倍https://www.yomiuri.co.jp/local/miyazaki/feature/CO061812/20221215-OYTAT50038/

投票日は12月25日となっているが、筆者らはその日に埼玉に里帰りする予定なので、期日前投票してきた。実際の投票所も、20人ほどの待機列に並ぶ程度には混雑していた。

今回は地元民しかわからない話で恐縮だが、意外に深い話がある宮崎県知事選の裏側をお話ししたい。

■現職河野氏と、前職東国原氏との関係

現職の河野氏は、東国原氏が知事時代に副知事を務めた人物である。元々は総務省(旧自治省)官僚で、広島県出身。20年ほど前に宮崎県に総務部長として赴任していたが、当時の知事が談合事件を起こして辞職、急遽知事選となった。そのときに知事に滑り込んだのが、東国原氏である。東国原氏の指名で、副知事となった。

当時東国原氏は、タレント知事としての知名度は絶大であり、宮崎牛やマンゴーをブランド化するなど、宮崎が苦手としてきた広報・宣伝・ブランディングに大きく貢献した。空港の土産物屋には、同氏ののぼりがところ狭しと立てられていたものだった。

ところが2010年に発生した口蹄疫により、宮崎牛をはじめとする家畜類およそ30万頭を殺処分するなど、経済的にもイメージ的にも大きなダメージを食らった。収束に向けての実務を行なったのが、東国原氏と河野氏であったわけだが、東国原氏が1期で知事を降りると宣言したことから、実質河野氏が1人でこの敗戦処理を請け負うことになった。

東国原氏は任期満了の2011年1月に職を辞すると、同年4月に都知事選に立候補したが、石原慎太郎氏に大差で敗れている。翌2012年の衆議院選挙で日本維新の会から比例区で出馬し、名簿順1位で当選した。宮崎県民からすれば、県政を踏み台にして都政、国政へと上っていきやがった感がある。

河野氏にとっても、一番大変なときに宮崎に置いて行かれたという思いが強いのだろう。選挙演説でも、東国原氏を名指しでは批難しないものの、何しに戻ってきたとも思える発言が漏れ聞こえる。

NHKでは、3人の候補者の演説をAIを使ってテキストマイニングした結果を公表しており、だいたい何を訴えたいかがわかる。

・何を訴えた?宮崎県知事選挙・候補者演説を徹底分析!
https://www.nhk.or.jp/miyazaki/lreport/article/002/68/

河野氏はすでに知事として、3期12年の実績がある。実はブラス方向への派手な成果はないが、口蹄疫の沈静化や長期間にわたるコロナ関連事業など、マイナスの処理が上手い印象だ。

特にコロナ関係では、国の予算が都道府県単位に降りてくることもあり、PCR検査の無料化や検査キット無料配付などは、県が中心となって動いている。実は今年宮崎市長に就任した清山氏は現職の医師でもあり、医療に関わる運営はかなりしっかりしている。手堅い河野氏とのタッグで、上手く回ってきたところである。

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