TVS REGZA片岡秀夫さんに聴く、「テレビはこう見られている」(04)

毎月専門家のゲストをお招きして、旬なネタ、トレンドのお話を伺います。

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今回の対談は、TVS REGZA株式会社 クラウド事業センター センター長の片岡秀夫さんにお話を伺う4回目。この対談で、視聴者分析のデータを色々見せてもらっているが、今回がある意味山場ともいえるお話となる。

現在若年層の動画視聴は、時短のために倍速で見るといった話で盛り上がっているところだが、これまでは体感とか少人数のヒアリング調査などでしか、その実態がわからなかった。

それが、統計学的にも意義のあるサンプル数から得られた実データを元に、分析できてしまうのは、非常に面白い。データに裏打ちされた、若年層の時短視聴論の真の姿とは。

この分析に興味があるという方は、以下のところにフォームがあるので、問い合わせてみるといいだろう。
https://www.regza.com/tvdata

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小寺：テレビ放送って、割と生活サイクルの中に組み込まれて習慣化するっていう部分があるわけですけど。就労時間とか年収とか職種とか、いろんな条件が関わってくると思うんですよね。そうなると、都市部と地方の差とか、地域によって見られ方が違うということも起こりうると思うんですが。そういう分析も可能なんですか？

片岡：できますよ。たとえばこんな感じで、地図上に視聴量（％）をプロットできるんですけど。

小寺：あっ、そんなこともできるんですか。

片岡：これは『SPY×FAMILY』の4月30日だから、4回目ぐらいですかね。

『SPY×FAMILY』マップ&ランキング

小寺：これは、色が赤くなるほうがよりホットに観てる感じですね？

片岡：はい。こういった形でみていくと、東京都の中心部より、周辺地域のほうがより高いということがわかります。

小寺：ほんとだ。東京だと狛江のあたりですね。あと埼玉だとふじみ野とか新座のあたりか……。確かに郊外住宅地だけどそれほど遠くはないあたりですかね。

片岡：これバンクが2つあって、ABで比較とかできるんですけど。違う番組で比べてみますかね。『パリピ孔明』の最終話と比べてみると、また傾向が違うんですよ。

『SPY×FAMILY』と『パリピ孔明』マップ&ランキング

小寺：ほんとだ、茨城県牛久市がなぜか熱い（笑）。国立、昭島あたりは相変わらず高いですね。中央線沿線。

片岡：『SPY×FAMILY』は真ん中へん、いわゆる山手線内側が青いですよね。つまり低いんですけど、でも『パリピ孔明』だと、台東区、墨田区あたりでは人気が高い。

ちょっとバラつきはありますけど、やっぱり県によって傾向が違ったりとか。あとはちょっと地方を比べればいろいろ出るんですけど、いわゆる都心部がテレビは低いんですね。たぶんアニメじゃない番組にすると露骨にそうなることが多いです。バラエティなんかそう。

たとえば『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』。これは人気の、とんでもないお店を見つけました、という番組なんですけど。これも東京がいちばん低くて、北関東のほうが高い。

『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』マップ&ランキング

小寺：ほんとだ。群馬、栃木あたりが熱いですね。こういった地方にこそ、そういう名物店ってまあまあ多いじゃないですか。

片岡：そうですね。そういう地方の人情やこだわり店主のいるお店を意図的に取り上げてることもあって、そっち側で盛り上がってる、という番組でもあるんですよ。だから、さっきのアニメと比べてだいぶ色の分布が違うのがわかりますよね。

小寺：なるほど、意図的にやってるのがそのまま当たってるという。これ、バラエティとかやってる班には、このデータは欲しいところですよね。

片岡：そうですね。実はこれは非常に人気がありまして。放送局さんが番組制作にすごく活用してくれる。

小寺：やっぱりね、アツいところへ取材に行かないと、盛り上がらないですもんね。

片岡：そうですね。

小寺：で、取材に行ったら「いつも観てるよ！」とか言われたいじゃないですか（笑）。

片岡：うん、さっきの『ヒューマングルメンタリー』は、この地図の高いところをちゃんとチェックして番組が企画されてる。

小寺：へえー。もうテレビ番組の制作も、そんな方法論になってるんですね。

■若い人の「時短プレー」をデータで見ると?!

小寺：今アニメも含め、若い人の映像の視聴の仕方がホットな話題になってまして。特に若い人は2倍速とかで動画見てるよみたいな、若年層はアニメとかもみんな時短で観るんだ、というような論説があってですね。とはいえ、時短プレーなんてVHSの昔から存在したじゃないスか、みたいな。そういう話は片岡さんに聞くのがいちばん面白いかなと思うんですけど（笑）。