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GIGAスクールを支える「ロイロノート・スクール」の舞台裏(3)

毎月専門家のゲストをお招きして、旬なネタ、トレンドのお話を伺います。


今月の対談は、株式会社LoiLo代表取締役 杉山浩二さんにお願いしている。現在GIGAスクール構想によって小中学校に1人1台端末が導入されたが、学校導入のiPadのほとんどにインストールされているのが、学習支援ツールの「ロイロノート・スクール」である。

パソコンやタブレットはツールであり、教育の本質ではないという議論はずいぶん昔からあるわけだが、そのツールも使いこなせてないのになに言ってんだという反論もある。結局、ツールは使っても使わなくても、結果が出ればいいんだろう、ということかもしれないが、これからはその結果がこれまでとは違うものが求められてくる。つまりこれまでとは違った意味の賢さが求められているのに、教育はそこに付いて行けてるのか。

ITの世界がどんどん変わっていくのに、学校教育の変わり方は非常に遅くて心配になってくる。今回はそんな話を杉山さんにぶつけてみる。


小寺:うちの中学校でもiPadを導入して、ロイロノート使って、学習もほぼロイロノート中心でやってるんですけど。

ロイロノートはいろいろできるのに、結局は紙のプリントをカメラで撮って、配布して、回収、ぐらいのことにしかなってなくて。ロイロノートがあることで授業そのものが変わる、みたいなところを期待してたんですけど、実際はまだあんまりそこまで届いてない感じなんですよ。

杉山:そうですよね。

小寺:なんか、そういう先進事例みたいなやつってなんかあるんですか。

杉山:先進事例とかはありますけど、そこに学んでそれが波及していくというよりかは――どうなんですかね。結局、授業改善とかに取り組んでた先生は変わってくし、今まであんまり変化がなかった先生は、変化がどうしても遅いですよね。

小寺:そうなんですか。

杉山:はい。でも、日本の先生は皆さん、相当頑張ってると思いますけど。

小寺:うん。先生は頑張ってるんですよ。そこは間違いないんですけど…。

杉山:ね。たぶんすごく頑張ってて。でもツールとしては、写真撮って、ちょっとでも便利になってればとりあえずはじめの一歩としてそれでいいんじゃないかな、と。で、なにか欲が出てきたら、ちょっとやれることを用意しとけば。

株式会社LoiLo代表取締役 杉山浩二さん

小寺:ロイロノートの良いところって、そこのブリッジとして、とりあえずカメラもiPadにはついてるから、それでぱしっと撮れば生徒全員に配れますよ、みたいな流れができていたと。それからクラスの端末から結果を吸い上げるみたいなシステムがもう既にできていて、それが初めての人でも使えるぐらいになっていた、という、そこがやっぱポイントじゃないですかね。

杉山:多分そうだと思いますね。オールインワンという感じ。

小寺:そうですね。Chromebookを導入しました、なんていったら、生徒分のアカウントをまとめて、問題配布して回収するのをどうやってやるんですか、と。やっぱりパッケージ化されてないと、そこは皆さんで作ってくださいね、ではちょっと無理ですもんね。

杉山:そうですね。まあGoogle Classroomとかもあるんですけど。

小寺:ああ、そういう支援ツールみたいなやつ?

杉山:昔ながらの掲示板みたいなやつですね。あるんですけど、やっぱりツールは分かれてるんですよね。DocsだったらDocs、スプレットシートはスプレットシート、みたいな感じで分かれちゃってるんで、そこの切り替えが……。ちょっとした差なんですけど、そういうちょっとした差が結構でかいんだろうな、とは。

小寺:うん、そうですね。

杉山:あと、Docsとかも……Docsを授業で使え、と先生が言われても、頭にハテナですよね。先進的なはずの学校で、スプレットシートを40人で同時編集してたりとかね。

小寺:おおっと!?(笑)

杉山:うおおお!?と(笑)。それやるかあ!と。デジタル化ってそういうのかなあ?みたいな。40人の名前が書いてあって、実験の結果をそこに一行ずつ自分で書いていく。「他の子のセルのとこを消しちゃダメだよ!」とかね。

この先生、なんちゃらエデュケーターとかなってる人なんだけどな。

小寺:いやあ……(苦笑)。

杉山:まあでも、先生はそういうのやりたがりますよね。シート1個作ればいいだけだからわかりやすいし、それはやるよな、と思いつつ。本当はひとりひとりスプレットシートを作ってそれを提出するとか、班ごとで作るとかが本来の形なんだろうけどな……と。

でも、最近うちでデータを出して結構意外だったのは、Chromebookが一番利用率が低いんですよね。

小寺:あー、そうなんですか。

杉山:Windowsなのかなと思ってたらChromebookでしたね。やっぱりiPadが一番よく使われてて、次がWindowsで、Chromebook。ヒアリングしたら、Chromebookはカメラが使いづらくて、画質が悪くてピントが合わないとか、全然文字も読めない、みたいな。

小寺:そこかぁ。

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