小寺の論壇:デジタルカメラ、画素数競争の限界点

先日、BCNが面白い調査を行なっていた。レンズ交換型カメラの画素数別販売構成比を集計したところ、2400万画素を超えるカメラの割合が減少し始めているという。

・画素数競争に終止符? レンズ交換型カメラの高画素数モデルが減少傾向に
https://news.yahoo.co.jp/articles/f71c0ee67db3fc00230381c153e06bd201c49df0

レンズ交換式カメラ全体の画素数の平均値も出していて、これも昨年より減少傾向にある。いたずらに画素数を追ってきた撮像素子も、ここにきて頭打ちが見られる。

そもそもカメラの画素数はどれぐらいが妥当なのか。今回は高画素化の歴史を振り返りつつ、その着地点を探ってみたい。

■なぜ2400万画素が基準になるか

そもそも2400万画素とは、縦横比に直すと6000×4000ピクセルという事になる。動画で言えば「6Kサイズ」である。

実際動画の世界では、プロ用ハイエンドカメラは6Kのものが多い。これは6Kで撮影しておき、編集やカラーグレーディング時に4Kにトリミングして、構図を調整するのにちょうどいいからである。

その上には8Kが待っているが、8Kで撮影できる撮像素子を考えると、横が7680ピクセル必要なので、それでアスペクト比3:2のセンサーを作ると、縦は5120ピクセルとなる。総画素数は約4000万画素だ。

現在4000万画素を超えるカメラは市場には20台あるが、8Kが動画で撮影できるカメラは、今のところニコン「Z9」(5237万画素)、ソニー「α1(5050万画素)」、キヤノン「EOS R5」および「EOS R5 C」(4710万画素)の4台しかない。

現時点で最高の画素数を持つカメラは、α7R IVの6250万画素だ。これぐらいになるともはや8Kディスプレイの解像度を超えるので、等倍で全体を見ることはできない。

では印刷ならどうだろうか。A3に600dpiで印刷すると仮定すると、ピクセル数は9921×7016必要になるので、およそ7000万画素が必要になる。ギャラリー等へ展示するために印刷することを考えれば、α7R IVの画素数は十分有効という事になる。

ただ商業印刷の場合は、ポスターなどでも300〜400dpi程度である。一般的な350dpiだと5787×4093で、2368万画素。実は2400万画素のカメラで十分対応できる。2400万画素というのは、動画では6Kが撮れるし、商業印刷にも使えるということで、実用上では現実的な線なのだ。

ここから先は

2,369字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?