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【9.24名古屋国際会議場 GHCナショナル】ワグナーJr. vs サイコ・クラウン プロレスリング・ノア 大原はじめ

2023年、NOAHのリングには多くの国外の選手がやってきている。
前年の2022年と比較すると外国人選手の参戦が大きく増加してきているのを感じる。
大阪大会ではサイコクラウンがNOAHのリングに突如として現れた。
これには、驚いた!
自分の試合の直前での出来事だった。自分は試合の入場口で待機していたので、その様子は鳴り響くマイクの声や入場テーマでしか分からなかったのだが興奮を隠せなかった。
このサイコクラウンがいかに大物なのか!?
ワグナーとの因縁がいかなるものなのか!?
等々、NOAHの公式から様々に情報が出るであろう。
今回はメキシコデビューでありCMLLで闘ってきた
メキシコで育ち生き抜いてきた大原はじめだからこその視点から
伝えられるサイコクラウン参戦の価値を皆様にお届けできればと
今回はnoteにスクランブル発進させていただく! 

国民に愛されるメキシコのルチャリブレ

2003年10月初めてメキシコに渡った。メキシコに住んで見て感じた事は日本と比較してルチャリブレが街に溢れている・・・という印象だ。コンビニに行くとアイスの宣伝の看板がルチャドール。ファーストフード店の看板にもルチャドール。露店ではルチャのTシャツやルチャのおそらくコピーした違法DVDなどの販売も良く見かけた。
町を歩くだけでメキシコのルチャリブレが国に国民に根付いている事を深く感じた。

特に驚かされたのが、ルチャリブレを学ぶ事が出来る環境だ。メキシコのジムにはルチャリブレを学べるクラスが良くある。日本のジムでエアロビクスやヨガ等は学べるがなかなかプロレス、ルチャリブレが学べます!ってのは聞かない。自分自身も練習生の時は出稽古に行ったしCMLLの選手としてアレナメヒコに出るようになってからはアレナメヒコの練習にも行くようになった。そこで更に驚いたのがクラスは別なんだけど一般のルチャリブレを学ぶ若者達もアレナメヒコにたくさん練習しにきているのだ!

分りやすく例えるならば、丸藤さんや杉浦さんが練習する集まりの横で、プロレスラーになりたい集団が練習しているみたいな光景である。メキシコはライセンス制でそのライセンスを持つ前の人達がトップ選手の近くで練習しているのである。ちょっと日本では考えられない環境なんだけど、日本の街で空手や柔道をならうぐらいの感じなんだと思う。なので小学生からルチャリブレをやっている人も多く、スペルクレイジーが指導していた団体では小学生の大会が開かれ、ゲストで何回か行った事がある。よく、地方なんかの大会ではセミまでは現地の選手が行いセミ、メインはCMLLやAAAから派遣された選手が出るみたいな大会がよくあった。これも例えるなら町のお祭りにプロレスを呼んでセミまでの試合は近所の人が出場しているって感じである。セミやメインには潮崎選手や中嶋選手などNOAHの選手なのにセミまでは近所のお兄さんやお姉さん、おじさん、おばさんが出ていたりする。

このように、日本とは大きく環境が違うメキシコのルチャリブレ!
国に根付き、非常に国民に愛されているという事が感じられる。
このようなルチャリブレ大国のメキシコではルチャドールになりたい人口が非常に多い!ライセンスがなくてもモグリでやってる人も自分がいた時代にはいたほどだ。自分がいた当時、数千人という選手がいると聞いたことがある。
それだけの競技人口となるとライバルの数が桁違いである。
無免許いれたら1万以上なんて聞いた事もあるルチャドール人口。
しかし、その内100人程度しかアレナメヒコなどの頂点の場には出る事が出来ない。
非常にシビアな世界なのだ。
ここで特筆したい。
今、NOAHにはそんな厳しいルチャリブレ界のトップ選手達、
S級の選手達が参戦しているという事なのだ。

一族の絆

今回のワグナーVSサイコクラウンで度々目にする。
一族という言葉。なぜ、この一族という言葉が出るのか。これは、日本のプロレスファンの人にはなかなか理解が難しい点だと思うのでこの辺も大原はじめなりにメキシコでの体験を踏まえて伝えたい。

現代の日本では家族の結びつきという点で大きくメキシコと異なっている。
例えば、クリスマスに日本では家族と過ごす事がめちゃくちゃ大事である!という習慣はないよね?日本ではどちらかというと【恋人】と過ごす、【友人、仲間】と過ごす。というのが主流ではないかな。特に日本なんかクリスマス=【恋人】みたいな感じあるよね。メキシコではクリスマスは絶対に家族で過ごす。日本がダメで、メキシコが良い!というわけではなく、国民性として家族の結びつきの在り方が違うと感じている。

自分の経験で言えば、メキシコ人はなにより家族を大切にする。大事な仕事でも家族になにかあれば仕事はそっちのけで家族の下にさっさと行ってしまう。日本だとなによりも仕事が優先的である。こういった状況の背景にはメキシコのカトリック信仰が大きな影響を与えていると感じる。カトリックでは家族の結びつきや仲間、共同体の重要性が強調されている。こうしたメキシコ人のカトリック信仰の背景が家族を強く愛する事や共同体、仲間組織の絆の強さに繋がっていると感じている。

自分もメキシコで仲良くなった近所の家族から『私の家はあなたの家よ』と言われて大変良くしてもらった。メキシコでは仲良くなった人に言う有名な言葉らしい。なんだかジャイアンの『おまえの物は俺の物、俺の物は俺の物』みたいだなぁと思った記憶がある。

メキシコはアミーゴの国とも言われるが友達、仲間になると家族のように大切にして非常に強い愛情に溢れている。こうした強い、家族の結束愛情があり組織的な結び付き絆が深いという反面で、その味方に愛情が深い分、敵対する組織に対しては容赦のない一面がある事をメキシコでは感じていた。

特に分かりやすい事例で言えば、皆さんも一度は耳にもした事があるのではないだろうか?
メキシコの麻薬戦争である。
仲間がやられたら必ず報復に出る・・・組織的な対立は非常に激しい!それはルチャリブレでも度々、みられる。

サイコクラウンの父はブラソデプラタであり兄にはマクシモ、従兄弟にラ・マスカラとルチャドール一族。そして、ワグナーも名門ワグナー一族である。実は私のCMLLのアレナメヒコデビュー戦の相手の一人がブラソデプラタである。その後、マクシモにはいつも唇を奪われ、従兄弟のラ・マスカラとはNWA世界ウェルター級を争い闘ったライバルとなった。

自分自身、ブラソス一族と闘ってきた経験があるので一族の結束の強さ、一族の絆を肌身で感じている。またサイコクラウンがブラソデプラタJr時代にはタッグの経験も対戦の経験もある。この、私の話を読んでからあの2017年のマスカラ戦を見ると印象が少し変わるかもしれない。あのイホデルドクトルワグナーJrの様子・・・
日本で例えたら戦国時代の武将の対決のようなものかもしれない。家紋を背負い、闘う。
一族の生き残り。振り返れば1980年代からワグナー家とブラソス家は闘っていたよね。多数のルチャドールが、一族の誇りを背負って闘っているのがメキシコルチャ界の大きな特徴の一つだとも感じている。
2017年、イホデルドクトルワグナーJrは目の前で父を討たれた武士のようなものだ。
そして、ワグナーJrのマイク。リベンジを託されたイホ。ついに2023年。
まさかのノアのリングで遭遇する。まさに関ヶ原の戦いのような天下分け目の大決戦のような印象を持っている。名古屋での闘い、GHCナショナルのタイトルマッチ。とんでもない試合に危険な香りが今プンプンと漂っている・・・

マスカラ戦の意味

マスクマンにとってマスクは命である。
マスカラ戦というのは必ず対戦するどちらかが終わる事を意味している。

マスクマンとして積み重ねて来たキャリアやキャラクターがマスクをとる事で終わりを迎えるわけだ。
もちろん、マスクを外して素顔でキャリアを続ける選手がほとんどではあるが、もうそこには以前の選手はいない。別のルチャドールが立っているわけだ。例え名前が変わらなくても、もうマスクマンではない・・・存在が消えたのも同じだ。

これは仮面ライダーと本郷猛みたいなもので本体的には一緒でもキャラクターは全く別物である。私も実はスペインのバルセロナでマスカラ戦を経験した事がある。自分の一つのキャリア、命を失った気分だった。たかが1年くらいのマスクマン歴の自分でもだいぶショックだった。これが20年、30年というキャリアだったらと想像すると恐ろしい。

2017年、ドクトルワグナーJrはサイコクラウンに敗北してマスクを脱いだ。自分には想像も出来ないような感情だったと思うし、傍にいたイホの気持ちを考えると胸が締め付けられるように痛い。

ワグナーJrとサイコクラウンの抗争そしてイホ

ここで視点を少し変えてみたい。
マスカラ戦にいたるまでの抗争を振り返ると、ワグナーJrがサイコを様々に追い込んでいるように感じた。ワグナーの老獪さと強さ、レジェンドの強かさを感じる。サイコクラウンは孤立して厳しい状況だったと思う。マスカラ戦の試合もワグナーはイスも使い、マスクにも手をかけて非常にラフファイトをしていた。視点を変えるとサイコクラウンの勝利はハッピーエンドのようにも見えてくる。またこの抗争がサイコクラウンを強くし、メキシコ最高峰の位置を確固たるものにしたとも感じる。

イホのNOAHでの活躍ぶりからイホ側に感情移入をしてしまっていた。
試合後のマイクではサイコはワグナーを称えるマイクもしている。視点を変えて見てみるとまた違った印象にも見えてくる。
サイコクラウンというAAAマニアのメインを務め、名実ともにメキシコのトップ選手である彼がなぜ今日本に来たのか!?
正直、サイコクラウンがわざわざ日本に来てまでワグナーと闘う必要や価値があるのか!?
しかし、実際にサイコクラウンは日本の大阪のNOAHのリングに現れたのだ・・・
実際に彼の言葉を聞かないと真意はわからない。

しかし、自分にはサイコクラウンはGHCナショナルのベルトの価値、そして今のNOAHのリングに上がる事の価値を感じたから現れたのだと思う。

ワグナーJrのあのマスカラ戦での言葉
『今夜、伝説が作られる。このマスクを息子へ継承する。俺の息子が、お前にリベンジする責任がある』

イホにとって、GHCナショナルを持ちそのベルトの栄光が増す度にベルトの輝きが強く大きくなり
親の仇を討つ時を今呼びこんだのかもしれない。
もちろん今までのGHCナショナルの激闘の歴史の積み重ねがある事は言うまでもない。
遠い日本の真裏のメキシコでの様々なドラマが今、日本のNOAHに繋がった。
新宿FACEでの遭遇から目が離せない・・・
これ、メキシコでじゃなくて
日本で、NOAHのリングで見れるのが未だにほんと信じれませんよ
この闘い、そしてワグナーとサイコクラウンから目が離せない!!

▶️9.24名古屋国際会議場大会にてGHCナショナル選手権開催!
イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr. vsサイコ・クラウン

プロレスリング・ノア
大原はじめ

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