11月25日

 雪虫が鼻を跳ねたと思った。
 白い粒を眼で追ったために視界は突然両眼立体視モードにさせられたが、すぐに解除して見上げると、日が落ち切った町の夜景を作る街頭に照らされているのはまぎれもなく雪だった。

 ここ最近、「雪虫がすごいですね」なんて会話をバイト先の人達としていた。
 年上の先輩も年下の先輩も休憩中に外から戻ってくるとき顔をしかめて必死で振り払うのを眺めていたので、白くてフワフワしてて妖精みたいで可愛くないですかとは言わないでおいた。

 虫へ。まだいていいよ。
 世間が描くホワイトクリスマスというものへのロマンスは、津軽海峡を越えて奥羽山脈を下る人生を選ばないと味わえないだろうか(それは上京ともいうかもしれない)。
 地吹雪体験ツアーほど価値の分からないものはないが、去年自分も襟裳岬の風の館に行ったら風速25mできゃっきゃしたしなと思い出す。

 私の京はここにあってほしい。今週は住む場所を選んでいる。三軒の古民家を住み歩いてから決める予定だ。

 日中の予定表は変わらないが、2日目、2ヶ月ぶりに2日目に取り掛かって3日目に3日目に取りかかれそうだった。

 他人が話したり自分が話したりしているのが、久しぶりに感じられた。自分チューニングがうまくできたのかもしれない。

 町の人が優しい。何をいつどうやって返せばいいのか、もう考えなくちゃと思う。

 私の今日は羨ましいでしょう。時空はまだ意味不明でいい。

読んでくれてありがとうございます。