機知に富んだ遍歴の騎士の狂気の冒険の続きを

私が読みたい本の話をします。
読んだ本の感想ではなく、読みたい本です。

その本というのは、何年も前に途中まで読んで完走できなかったセルバンテスの『ドン・キホーテ』です。

この記事はネタバレを含みます。

高校一年生の時、私は図書委員会に所属していました。

図書室にある蔵書はバーコードで管理していて、新しく入った本は図書委員がブックカバーとバーコードラベルを張り付けていました。
そして、図書管理システムにバーコードを登録した後に貸出しの棚に追加されるという仕組みです。

また、すでにある本の整理も行いました。たとえば、「314.n」のラベルがついた本がなぜか「200.a」の隣にいたら、その本を「314.*」の本の群まで運び、mとoの間を見つけて入れてあげます。

多くの本はどうしてだかそれがあるべきところにいません。
そしていい感じに群れていてもアルファベットがぐちゃぐちゃで点呼できる状態じゃありません。
というわけで、数か月かけて棚から棚へすべての蔵書を番号順に並べ直す作業を図書委員は延々と行います。

私も放課後それをやっていました。

中学校まで運動部に所属していましたが、人間関係に不安を抱いたり、家計に忖度したりして、入学後しばらくの期間は運動部に入部しなかったので、非常に暇だったのです。

作業は単調なものでしたが、つまらないものではありませんでした。

何時間も何日も大量の背表紙とにらめっこするうちに、国語の図説で暗記した文豪や世界史で聞きかじった海外作家の名前をなんとなく意識しながら作業するようになりました。

だから、岩波文庫の棚は楽しかったです。

私は小遣いを本に使わない子供だったので、携帯小説くらいしか人気の小説もあまり知りませんでした。

それなのに、岩波文庫の棚からシェイクスピアの「ハムレット」を読んだあと、少し古めかしく読みにくいと感じる文体に魅力を感じ始め、他にも何冊かマイペースに読んでいきました。

そのなかの一つが「ドン・キホーテ」です。

たしか著者のセルバンセスはレパントの海戦にて左腕を負傷したスペイン人作家として世界史の教科書に出てきたような記憶ですが、

先生が「今でいう厨二病の話を書いた」と授業で紹介していたのが気になって手に取りました。
 
そして、この物語は長ーーー編でした。
大変面白いのですが。

前編3巻・後編3巻で構成されています。確か私は高校卒業までに後編1巻まで読んだ記憶があります。

あらすじになっていないあらすじはだいたいこうです。

騎士道小説を読み漁った主人公は、自分こそが遍歴の騎士を再興する者と確信し、ドン・キホーテと名乗り始め、同じ村に住むサンチョ・パンサを従えて旅に出る。
ドン・キホーテは風車を魔物だと言ったり、羊の群れをみて合戦であるなどと道中で妄言を吐いたりするし、実際にただの風車やただの羊に向かって果敢に突撃し命を削っていく。


なんとなく印象に残っているエピソードは、

囚人が移送されている様子をみつけたドン・キホーテが、善良な民が奴隷として拘束されていると勘違いして助けてしまい、自由の身になった血の気の多い囚人にボコボコにされる話

でしょうか。
たしかそんなエピソードがあったはずです。

ドン・キホーテの行動は狂っていましたが、口はいかにも聡明なときのまま常にウィットに富んでおり達者であり、それが冒険を愉快に進めました。

また、物語の途中で出会う人々が語る挿入話がこれまた独立して面白かった記憶があります。

ドン・キホーテが
本当に狂気に囚われてたのか、
実は狂気を演じていたのか、

そんな議論もあった気もしますが、最後まで読み通していない私はわかりません。
最後までわからないのかもしれませんが。

とにかく当時の私はあの冒険を読みきれず、読み直したいのです。詐欺師のような口に乗せられて従者をやっているサンチョ・パンサが島の地主に結局なれたんだっけとか気になります。

Amazonで見たところ6巻セットで結構な金額がしますが、こうやって記事にしたわけですから、この夏何とか借りるか買うかして読もうと思います。

 
では、読書感想文書くぞーとユルい意気込みを残して締めます。

高校生くらいから暇をもて余して本を読み始めたよという話でした。

読んでくれてありがとうございます。