うつメモ⑮「うつと生活圏」

「もう職場には行きたくない。
 とりあえず、寝たい。」
目覚めた朝、もう思いは決まっている。
もう出発すべ時間は過ぎた。
スマホをそばに置き、欠勤理由を
考えながら二度寝しないよう
気を張り詰める。

業務開始時間の10分前になった。
勇気を出して会社に電話する。
意思を伝え、やっと解放される。

いま寝る場所さえあればいい。
でも気力が無くても、トイレには
行きたくなる。
やっぱりトイレも必要だ。

気力が無くても、喉が渇く。
飲み物が必要だ。
歯磨きもしたいから洗面所も必要だ。

何もして無くてもお腹は空く。
食べ物も必要だ。

少し満たされたら、漫画や
ドラマも見たくなった。
スマホがあれば、布団の上でも
楽しめる。便利な時代だ…。

一週間休んだら、普通にシャワーを
浴びて清潔な服にも着替えたい。
布団も干したいし、カバーも洗いたい。

だんだんと意欲が湧いてくる。

人間、ミニマリストを目指すより
案外どん底に落ちたほうが、
本当に必要なもが見えてくる。

過程が大事で、一つ一つ
満たされていくと自然と
次の段階へ進んでいける。
忙しくストレスだらけの
生活では本当に欲していた
ことに気づけなかったな。

鬱ってなんだろう?
無理が祟った身体の危険信号かも
しれないし、変わりたいと願った
果ての世界かもしれない。

結論は永遠に出ない。
逆にその方がいい。
今でも、なぜその道を歩んで
しまったかは分からないけれど
それでいいと思っている。

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