見出し画像

変わっていくもの、変えられないもの。/ イベコミュ【Stay just the way you are】感想

お世話になっております。
のなめです。

この記事では、enza版アイドルマスターシャイニーカラーズにて先日実装されたイベント【Stay just the way you are】に関する感想を書いていきます。ネタバレがありますので、嫌な方は本編をご一読の上、ご覧ください。



OP. CONSIDERATION

オープニングでは愛依の幼少期の話、愛依の仕事中おける一場面が描かれています。
和泉家における家訓?である「一日一善」。物心がつき始めた愛依にとってこの言葉はとても印象に残るものだったことがうかがえます。この「一日一善」という考え方は今日の愛依にも見て取れ、困ってる人に対して躊躇なく手を差し伸べる姿は、愛依のアイデンティティとも解釈できるほどに特徴的なシーンになっています。

ここでわざわざ幼少期の回想を入れる理由としては、愛依の行動によく見られる利他的な行動・自己犠牲的な行動の根源が幼少期の成功体験に起因するものだということを伝えるためです。この部分は親の教育による影響も強く、母親の肯定的な子育てを経て純粋なまま大きくなっていった愛依が「困った人を放っておけない、手を差し伸べる」というパーソナリティを持ったのは必然と言えるでしょう。



1話 SHARING

愛依が仕事でちょっとしたご褒美にケーキをもらい、それが予約の取れない人気店のものだということを冬優子に教えられながらも一緒に食べようと提案するシーン。


仕事中の一幕


仕事中に発した愛依の言葉からは、ストレイライトのメンバーに対する負けたくないという気持ちをモチベーションに変えることへの手ごたえを感じます。【VS.】や【Wintermute,dawn】を経て自分のものにした「勝ちたい」という意識がにじみ出る場面です。

ただ、負けたくない相手であるメンバーに対しても仲良く接することができるのが愛依の魅力です。スプーンの材質からツイスタの映えへの配慮など、愛依への贈り物だからいいと遠慮する冬優子をよそにグイグイ行くところも、愛依らしさがよく出ています。

結局根負けした冬優子がこの表情で優しく諫めてあげるのがとても良いんです。
ライバルに塩を送る愛依に対し、アンフェアなトレードには応じないという冬優子なりの矜持が見て取れるセリフです。

また、あさひとのやり取りでも、満足しないあさひに対して居残り練習に付き合ってあげるシーンもあります。
その際に注意を受けるも、自分に付き合わなければ注意されることはなかったというあさひの言葉に対して、うまく言えないながらもそれは違うという愛依のパーソナリティがよく出た場面として描かれています。

困った人に手を差し伸べる愛依の生来の人柄が、自分の不利益を顧みない手助けになったり、こうしたほうがいいと思ったことをすぐ行動に移すというアクションとして表現されていることがわかります。これが無意識でできるということも愛依が人格者であることを強調する要素になっています。



2話 ADORE

調子のよさを感じる愛依に対し、さらなるレベルアップとしてプロデューサーはハイレベルなダンススクールへ通うことを提案します。そこで愛依を尊敬する飾ちゃんと出会うこととなります。

今回の愛依に降りかかる試練、その事前の設定の整理となる章です。
愛依にあこがれる子が登場したということは、この場において愛依は「追われる立場」でもあることを意味しています。この立場の違いが、この物語の間愛依を狂わせていくことになります。

追う者の呪縛



3話 NAIVE

ダンススクール受講者対象のオーディションにエントリーし、最終審査に臨む愛依と飾ちゃん。ここで起こった出来事が原因で、愛依は苦悩し、葛藤することとなります。

言わずもがな、本コミュにおける愛依に示された命題の章です。
「一日一善」に起因する利他的な精神、これは紛れもない長所です。しかし、勝負の世界においてそれは甘さとなり、欠点にもなる。
ここ最近のコンディションの良さも相まって、愛依には自信と余裕がありました。それだけにより深く感情移入することになり、結果としてパフォーマンスに悪影響を及ぼすことになる… 様々な要素がかみ合って最悪な結果になってしまったということがわかると思います。

ストレイライトの中での和泉愛依は、ずっと「追う者」でした。圧倒的な実力を持つあさひや冬優子に対して負けたくない、足を引っ張りたくないという受動的なモチベーションのあげ方が常だった愛依にとって、甘いことを考える余裕などありませんでした。ところが今回、初めて「追われる立場」になり、自分の立ち位置が多くのアイドルの屍の上にあることを自覚することで、自分の持つ甘さが「あたし」にとって邪魔な存在であると認識してしまうのです。


実はこの章、「あたし」は一切出てこず、ずっと「うち」目線で描かれています。

いままで「あたし」として必死に追いすがってきた中で、ついに【あたし・マスト】で目標を達成しました。その自信が余裕となり、「あたし」として活動する中に「うち」の良さを出すこともできています。それ故に「うち」と「あたし」の境界線が薄くなり、「うち」の弱点が「あたし」に影響してしまったのが今回の出来事と思います。

当然と言えば当然なのですが、「あたし」は愛依がステージに立つための手段です。結局「あたし」が叶えたい夢や、やりたいことというのはすべて「うち」が抱いています。よって、「うち」のメンタルが揺らいでしまえば、ステージ上の「あたし」が大きく揺らぐのは必然であり、結果として共倒れになってしまう。この出来事のきっかけが「かざり」であることが強い皮肉になっているように感じます。




4話 SHELL

この章での愛依の行動は1話 SHARINGの正反対と言えるものです。居残りに付き合わず、みんなと一緒にお菓子を食べず、ユニットの用事が終わればそそくさとかえってしまう。
そんな愛依の異変に冬優子やプロデューサーが気づかないわけもなく、問いただしてみるも不発に終わります。
その中でプロデューサーに伝えたセリフ。

このままでは「ストレイライトの和泉愛依」としてみんなと過ごすことはできない。ましてそのことをみんなに相談するのは甘えだ、と突き放しているようです。この言葉からは冷たさしか感じられず、愛依自身も少なからず苦しんでいることが伺えます。


5話 BREAK OUT!

固い殻にこもる愛依に対し、愛依に日頃の感謝を伝えたい、とイベントを仕掛けることにした冬優子たち。その漫才じみたやり取りや、できた料理に感激するも愛依は頑固に塩対応。

ここすき

続いての作戦はボードゲーム。
冬優子が有利にゲームを進めるもとあるマスで大打撃。(3d6で18はシナリオ都合とはいえ撮れ高すぎるぞ冬優子…)

ここからまくしたてる冬優子たちのやり取り、僕は好きです。

即落ち2コマ


何回でもおかわりしたいセリフ


そんな体を張った(?)お笑いの甲斐あって、ついに愛依を笑わせることに成功します。

客人をもてなしたり、楽しませたりするのは、どちらかと言えば愛依が率先して行うこと利他的行動です。それらを、お世辞にも得意とは言えない3人が不器用ながらもやっている。当然完璧にできるわけもなく各所でボロが出かかっていましたが、何とかなったというところでしょう。同時に、愛依の得意なことは誰にでも完璧にできることではないということです。なればこそ、個性として強く印象に残るのだと思います。



6話 FRIEND

これまで深くふさぎ込んでいた愛依に対して思いをぶつけるシーン。


冬優子にとって、ストレイライトの時間はかけがえないのないものです。きっかけは些細なことだったとしても、そこから芽生えた友情は本物です。それを相手から無下にされようものなら、冬優子のプライドが許さないでしょう。だからこそ話してくれない愛依に対し歯噛みし、慣れないことまでしてきっかけを作ろうとした。なぜそこまでするかと言えば、「友達だから」以外ありません。


愛依と居残りしたときに愛依が言っていた「一人より二人のほうがいい」という言葉。その言葉に感化されてか、あさひも愛依にこんな言葉を投げかけます。もともと一人で突っ走っていくタイプで、気づけば孤立する状況になりがちなあさひにとって、いつも隣にいる愛依は不思議で気になる存在です。愛依を見ているうちにあさひの考え方も気づかないうちに変わっているのかもしれません。

そしてプロデューサーの最後の一押し。
愛依が変わろうとしたいとする気持ちを尊重しつつも、それによって今までの愛依が失われてしまうことは、もともと「うち」をスカウトしたプロデューサーにとってつらいことでもあります。一人で抱えず一緒に共有してほしいと投げかけるこのセリフからは、何とか手を取ってほしい、愛依らしさを思い出してほしいという願いが込められています。


そうして事の顛末を話す愛依。今回露呈した甘さという弱点はストレイライトにとっては不要なもの、それを捨てるためにいろんなことを我慢したことを伝えます。

それを受けて、プロデューサーはその甘さも悪くはないと言ってのけます。
ストレイライトが今日までストレイライトでいられたのは、誰でもない愛依の甘さのおかげだからです。

ストレイライトであるためにたくさん頑張ってきました。今回の「甘さを捨てたい」という気持ちも冬優子、あさひ、プロデューサーのこと想って考え出した結論です。しかしそれはともすれば普段の人懐っこい愛依を消してしまうことになる。当のストレイライトはそんなことは望んでいません。なぜなら皆、ストレイライトの和泉愛依である前に、友達としての和泉愛依が好きだからです。

このセリフは【WorldEnd,BreakDown】のラストにあった愛依のセリフに通じるものがあります。ライバルだからこそ切磋琢磨し、友達だからこそ手を取りあって進んでいく。また一つ強くなったストレイライトの絆を見せて締めとなりました。

ED. EVERYDAY LIFE

愛依異変解決後の後日談です。
愛依の新たな決意、自分なりに自分の甘さと向き合っていくこと。

ストレイライトの仲間として、友達として、冬優子とあさひは愛依に多くのものを教えてくれました。しかし愛依も、これまでの道のりを通して自分の道を自分で決めて進むことを決めています。今回は迷ってしまったけど、今度は迷わない。正しい形で甘さと向き合って、進んでいくことを選びます。

そして飾ちゃんともう一度会う約束をします。
愛依らしさである「誰かのために」というマインドを取り戻し、きちんとけじめをつけに行く姿に、また一つ成長した和泉愛依を見ることができました。ここからまた再出発する愛依の決意を最後に物語は終わります。



おわりに

いかがでしたでしょうか。

自分は泣きました。もうボロ泣きです。
予告から見て愛依中心のストーリーと思ってはいましたが、ほぼほぼ愛依個人のストーリーでした。

ストレイライトとして走り続ける愛依にとって、2人のいる前を見ることはあっても、後ろを見たことは今までなかったようにも思えます。それだけに初めて抱いた葛藤に対してどうすることもできずに沈んでいく様は、見ていてつらかった反面、いずれは通過しなければならない関門に挑む姿ともみることができます。

愛依は本当に強くなりました。強くなっていく過程で、いろんなことが変わりました。仕事への姿勢、友達への態度、ステージに対する自信…
しかし、もともと持っていた利他的な精神は変わらなかった、というよりも変えられなかった。

それ故に今回経験した痛みは、一生付きあっていくものになると思います。
ストレイライトである以上、甘さは障害になるものですが、その甘さこそが和泉愛依のアイデンティティであるからです。

「失敗と傷は成功のもと、未来への道」
マイコレの愛依のコミュで出てきた言葉です。
今回愛依が受けたの失敗と傷は、これまでにない大きなものです。
しかし、この経験が未来で大きな成功に変えられるかどうかは、愛依自身にかかっているのです。

そして冬優子とあさひ。出番は少ないながらも、普段愛依が自然にこなしている役割を不器用ながらもやってのけました。
ストレイライトでなければ、いや、和泉愛依がいなければ2人はここまで進むことができなかった。だからこそ、愛依のことは救わなければならなかった。

以前の2人、とりわけ冬優子ならここまで強力に干渉しようとはしなかったでしょう。それほどまでに愛依が2人の心に残したものが大きく、2人が変わっていった、ということだと思います。

冬優子のトゲのある性格や物言い、あさひの空気の読めない言動も、愛依の性格同様にアイデンティティであり、変えられないものです。
ただ、2人はこれまでに大きな失敗をしています。WINGで仕事を飛ばした冬優子、感謝祭のあさひ… ある意味では先輩です。そうした経験もあって、なおさら愛依を放っておけなかったんじゃないかなと感じます。

今回はステージの外が主戦場でしたが、このコミュを経たストレイライトが真価を発揮するのはステージの上です。吹っ切れた愛依、愛依を支えた冬優子とあさひ。また一つ強くなった3人が最高のステージを披露してくれることを願って、本稿の締めとさせていただきます。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?