行動科学特論 高橋泰城 7/21 授業ノート

1週間でやったこと

勉強方法の確立
1から5までを順にやる
現在1は見終わったため、2〜5をやっている

1.ノビノリの量子力学系の動画を見る

必要になった微分方程式、ナブラ演算子を学んだ

2.馬場敬之『量子力学キャンパス・ゼミ』(2015年、マセマ出版社)

3.猪木慶治・川合光『基礎量子力学』(2007年、講談社)

4.後藤憲一、西山敏之、山本邦夫、望月和子、神吉健、興地斐男『詳解 理論応用量子力学演習』(2004年、共立出版)

5.院試
→過去問

見つけた新しめの量子力学の演習本

・中嶋貞雄、吉岡大二郎『例解 量子力学演習 物理入門コース/演習』(2020年、岩波書店)

・小出昭一郎、水野幸夫『量子力学演習(新装版)』(2020年、裳華房)
※裳華房(しょうかぼう)

・鈴木久男、大谷俊介『演習しよう量子力学』(2016年、数理工学社)


授業でやること

・量子力学の勉強内容に関する確認
・院試の過去問を解く


院試過去問

東北大2021年3月専門科目物理専門



時間に依存しないシュレディンガー方程式は、

$${ \{ - \frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2} + V(x) \} \psi(x) = E\psi(x) }$$

よって、

$${ - \frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}  \psi(x) = E\psi(x)(0≦x≦δ) -①}$$

井戸の外側では粒子は存在確率が0なので、

$${ \psi(x) = 0(x≦0, δ≦x)-②}$$ 

(0≦x≦δ)において、

$${ \frac{d^2}{dx^2}  \psi(x) = - \frac{2mE}{\hbar^2}\psi(x)(0≦x≦δ)}$$

ここで、

$${k = \sqrt{\frac{2mE}{\hbar^2}} }$$

であるが、V(x)≧0なので、0≦E≦∞より、
k≧0
ゆえに、

$${ \frac{d^2}{dx^2}  \psi(x) = - k^2\psi(x)(0≦x≦δ)}$$

2階微分して元の関数に戻るものを考えると、<微分方程式>
ここで、0≦x≦δにおける粒子の定常状態の波動関数$$\psi(x)$$は

$${\psi(x) = Ae^{ikx} + Be^{-ikx}}$$

(1)x=0, x=δにおける境界条件を示せ.
ここで、波動関数に連続性を課す
(0≦x≦δ)を領域Ⅰ、(x≦0, δ≦x)を領域Ⅱとすると、
波動関数が連続となるためには、

$${(1) \psi_Ⅰ(x) = \psi_Ⅱ(x)}$$

$${(2) \frac{\psi_Ⅰ(x)d}{dx} =\frac{\psi_Ⅱ(x)d}{dx} }$$

を波動関数が満たせばよい
x=0で波動関数が連続となるためには、
①、(1)より、

$${\psi(0) = Ae^{ik 0} + Be^{-ik0}=0}$$

$${\psi(0) = ik*A e^{ik 0} - ik*Be^{-ik0}=0}$$

よって、

$${A+B=0}$$

$${ik(A-B)=0}$$

よって、A+B=0, A-B=0
ゆえに、A=B=0

x=δで波動関数が連続となるためには、

$${\psi(δ) = Ae^{ikδ} + Be^{-ikδ}}=0$$

$${\psi(δ) = Aik *e^{ik δ} + Bik*e^{-ikδ}=0}$$

であればよい


#ここで回答が詰まってしまった

そもそも、A=B=0ならどこにも粒子が存在しないことになってしまう


授業

・ポテンシャルとは
・波動関数を三角関数で表す問題とe^ikxで表す問題があるが、使い分けの基準は?

確率流(基礎量子p.86)
https://note.com/no_kijin23721/n/n903939884b82
初期のボーアとかは実験的に解いていた
どっかにとどまっている(井戸型など)→三角関数
どっかに飛んでいくやつ(トンネル効果のやつ)→e^ikx
→でもまずはとにかく解いて覚えてみる


解き直し

回答を書き直す
ポテンシャルの高さが+∞のときには、一回微分Ψ'の連続性の条件が使えないため(『演習しよう量子力学』p.41)、x=0とx=δでの1つ目の条件のみで連立方程式を作り、解く
(中略)

「xに見出される確率」が0より、
Ψ(x)=0 (x≦0, δ≦x)
※「粒子の存在確率」「粒子がいる確率」は誤り
そこにいるわけではなく、宇宙全体に見出される確率が広がっている状態から、観測によって存在が確定するというだけだから

(中略)

(0≦x≦δ)を領域Ⅰ、(x≦0, δ≦x)を領域Ⅱとすると、
x=0での境界条件、すなわち、波動関数が連続となるには、

$${\psi_Ⅰ(0) = \psi_Ⅱ(0)}$$

$${\psi(0) = Ae^{ik 0} + Be^{-ik0}=0}$$

よって、
A+B=0
すなわち、
B=-A

x=δでの境界条件、すなわち、波動関数が連続となるには、

$${\psi(δ) = Ae^{ikδ} + Be^{-ikδ} = 0}$$

であればよい

よって、

$${Ae^{ikδ} - Ae^{-ikδ}=0}$$

→$${A(e^{ikδ} - e^{-ikδ}) =0}$$

ここで、A=0とすると、A+B=0とあわせてA=B=0となり、粒子がどこにも存在しないことになるため、A≠0
よって、

$${e^{ikδ} = e^{-ikδ}-③}$$

オイラーの公式は、

$${e^{i\theta}=\cos\theta + i\sin\theta}$$

であるため、オイラーの公式より、③は、

$${cosk\delta+isink\delta = \cos(-k\delta)+i\sin(-k\delta)}$$

→$${cosk\delta+isink\delta = \cos k\delta - i\sin k\delta}$$

→$${i \sin k\delta + i\sin k\delta = 0}$$

→$${2 i\sin k\delta = 0}$$

→$${\sin k\delta = 0}$$

よって、kδ=nπ (n∈整数)

従って、

$${k = \frac{n\pi}{\delta} (nは整数)}$$


#今日はここまで

次回の予定


(1)(a)
k=nπ/δが求まったので、規格化してAを求めよう

(2)は周期的境界条件
理論応用量子のpp.52-53
『偏微分方程式』(朝倉書店)のpp.148-149にも同じような問題

キーワード
中戸川孝治
小澤不等式(ハイゼンベルクの不確定性原理)
コペンハーゲン解釈


疑問:なぜポテンシャルの高さが+∞のときに一回微分Ψ'の連続性が使えないのかの数学的な証明

回答:シュレディンガー方程式が提供する波動関数の一次微分の連続性は、ポテンシャルが有限で、さらには空間的に連続な場合にのみ成り立つ
有限の壁に対しては波動関数の染み出しが起こるが、無限の壁に対しては起こらない
ポテンシャルが無限大ということは、「"絶対に"そこに粒子が存在してはいけない」(厳密には、"絶対に"xに見出されてはいけない)ということなので、染み出しも許されない
染み出しやトンネル効果が観測されるのは、壁の高さが有限のときのみ


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