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その①:医師による心理カウンセリングの保険診療報酬点数がミラクルな件について

構造的に精神医療の外来医師の役割は「診断と投薬」であると運命(さだめ)づけられています


実は、医師が長時間の心理カウンセリングを行っても、お金がもらえません(ぴえん)。

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保険診療では【通院精神療法】の点数が報酬になるのですが(1点=10円)、上記の写真を見て頂けるとわかる通り(最新版は右側の方です)

  • 5分以上30分未満(再診時)医師がカウンセリングを含めた診察を行うと、ざっくり3,000円強いただけます。

  • 30分以上時間無制限(再診時)医師がカウンセリングを含めた診察を行うと、ざっくり4,000円前後いただけます…

うん???
ようするに…
私がたとえば10分間、患者さんとお話したら、3,000円もらえるし、
90分間、じっくりと患者さんと対話したとしても、4,000円くらいしかもらえないんだね…

忘れてはならない!処方箋料…

お薬を処方すると【処方箋料】という報酬がもらえます。
これが680円ですね(ちなみに、精神科のお薬をたくさん処方しすぎると、報酬が減ります。精神科の治療を対症療法として行うと、必然的にお薬の種類が増えてしまうのですが、少しでもそうなるのを防ごう…という考えです)。

うん???
ようするに…
私がたとえば10分間、患者さんとお話ししてお薬を処方したら、4,000円弱くらいもらえるし、
90分間、じっくりと患者さんと対話して「今日もお薬なしでも大丈夫だよ」と安心してご帰宅いただいても、4,000円くらいしかもらえないんだね…

と、いうのが、今回①のお話でした…
泣ける!

(ムダ話)
そういえば昔、とある児童精神分野の学会誌に「すごい重度の症状で入退院を繰り返していた思春期女児なんだけど、お母さんに丁寧にカウンセリングしたらびっくりするくらいに急激に回復したよ。お薬もたくさん減らすことができたよ」という症例報告論文を提出してみたら、査読の先生からすごい強い言葉でリジェクト(一発不採用)されたことがあったなー(遠い目)

僕だって、小児神経専門医としてPediatric Neurology誌に筆頭著者として書いた英語論文が同誌編集長のE.Steve Roach先生から「大変感銘を受けた」と言われて、編集長直々に同誌の査読者としてスカウトされて10編以上の査読を担当した経歴があるから、論文の書き方くらいはわかっているつもりなのになー。なんでそんなにひどいことを言われたあげくに、修正の余地なしの一発リジェクトだったんだろうなー

はっ?
もしや…

という昔のうらみつらみを書きたかっただけでした…

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