夏休み明けに雑巾を持って行く

小学校の時夏休み明けに決まって先生が
「雑巾2枚もってこい」
と言っていた。

夏休み明けの持ち物リストに「雑巾2枚」とあったのは僕が通っていた学校だけだろうか。私はあの雑巾を毎年忘れそうで忘れそうで仕方なかった。

当時小学生の私は何も考えていないガキんちょだったので
「はーい!」
と大きな声で返事していたが、

今考えると、何で雑巾を持って行かないといけなかったかわからない。

夏休み明けには、先生の教壇に大量の雑巾がジェンガのように積まれていた。
クラスが40人とすると、忘れ物をする男子がいても正方形の1つの教室に70枚以上の雑巾が集まる。それが6学年全ての教室で。

もうこの光景が面白い。

少し余談だが、水で濡れた汚れた布に汚れを擦り付けて、部屋をきれいにするという掃除の考え方にも非効率めいたものを感じる。

これからどんどん汚れていく布が教壇に積まれているのを、
何も考えていない小学四年生の私は、
「わすれなくてよかった!!」
としか見ていなかった。

今考えると、変な決まりであると思う。

そして、もう1つ。

あの雑巾が全部学校の掃除に使われているわけがない。

ベランダに干されている雑巾はだいたい4つほど。

学生がいつもはいない家庭科室や音楽室の数を考えても、あの量の雑巾はいらない。となるとあの雑巾はいったいどこにいったのだろうか。

ホームルームが終わり、雑巾を職員室に持って行った担任の先生はあの後、あの大量のボロ布をどこに隠したのだろうか。校長に何枚か奉納する儀式などが日本教育にはあるのだろうか。

もしも使われずに、雑巾はどこかの倉庫にしまわれているとしたら。

雑巾忘れのペナルティは一体なんだったのだろうか。
何度か雑巾を忘れて、ペナルティとして原稿用紙1枚分の漢字を書かされた。
当時は、あのボロ布を持って行くことが世界で一番正しいことだと信じていたので、いわれた通り漢字を400字書いた。
しかし、雑巾を疑った今は、漢字なんて絶対に書く必要なかったと思う。

学校は、正しい大人になるための教育を受けられる一方で少し意味不明なルールが多い。
これは辻褄合わせの段階で生まれた綻びだ。

今このことを分かったうえで小学生をやりなおしたら、
僕は先生からするととても嫌な生徒に見えると思う。

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