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Zscalerが競合に対する優位性を必死にアピール
この記事は、2024年6月1日の sdxcentral の記事を意訳したものです。
Zscaler CEO details edge over large security firms and niche SASE rivals
(Zscaler CEOが大手セキュリティ企業およびニッチなSASE競合に対する優位性を詳細に説明)
Zscaler CEOが大手セキュリティ企業およびニッチなSASE競合に対する優位性を説明
厳しい予算の制約と大手セキュリティ企業および専用のSASE(Secure Access Service Edge)ベンダーからの激しい競争にも関わらず、Zscalerの会長兼CEOであるJay Chaudhry氏は、同社が引き続き成長し拡大することに自信を持っています。
最新の決算発表の際に、小規模で専用のSASEベンダーからの競争について尋ねられた際、Chaudhry氏は、Zscalerが主に大企業を対象としており、これらの小規模ベンダーはほとんど競合していないと主張しました。
「多くの専用ベンダーは、ファイアウォールをサービスとしてネットワークに組み込むことから始まります」と彼は説明し、これらのベンダーがSD-WANを統合しようと試みる一方で、多くのCSOはSD-WANがラテラルタイプの移動を可能にすると考えていると述べました。
「SD-WANはなくなるべきだと考えており、ゼロトラストSD-WANに置き換えられるでしょう。それが我々が先駆けている新しい市場セグメントです」とChaudhry氏は言います。
Zscalerは、2024年1月にゼロトラストSD-WANソリューションとブランチオフィス、工場、データセンターの安全な接続性を近代化し、効果のないファイアウォールとVPNの必要性を排除するために設計されたプラグアンドプレイアプライアンスの一般提供を発表しました。この動きは、成長するシングルベンダーSASE市場もターゲットにしています。
さらに、Chaudhry氏は、小規模なSASEベンダーと従来のファイアウォールプロバイダーが遅れを取り戻すのに苦労していると主張します。「もちろん、彼らは私たちが4年前にやったことを追いかけてやろうとしていますが、私たちはさらに2年先を行っています。サイバースペースでは競争が激しく、私たちはより速いペースで革新を続けています」と述べました。
Zscalerの大手SASEおよびセキュリティベンダーに対するアーキテクチャ上の優位性
専門のSASEプレイヤーや大手セキュリティベンダーからの競争が激化していることについて投資家の懸念に対処し、Chaudhry氏はZscalerの優位性を次のように列挙しました。
アーキテクチャの重要性: ZscalerのSASE戦略はZero Trust Exchangeプラットフォームに基づいています。Chaudhry氏はこのアーキテクチャのギャップを、従来の車から電気自動車(EV)への移行に例えました。「多くの大手ベンダーは既存のものを基に構築しようとしていますが、私たちはそれが成功するとは思っていません」と彼は述べました。
進化する市場機能: SASE市場は動的であり、特にワークロード、IoT/OTデバイス、データ保護の分野で大幅に拡大しています。Chaudhry氏は、Zscalerが「データ保護でリードしており、すべての競合他社を凌駕する『適切なプラットフォーム』」であると主張しています。
革新のスピード: Zscalerは急速に革新を続けており、そのペースは減速することはないと述べました。
顧客満足度: Net Promoter Score(NPS)が7であることは高い顧客満足度を示しており、Fortune 1000企業の285人のCXOがZscalerから再度購入していることを付け加えました。
SASEへの移行に対する顧客の意欲
Chaudhry氏は、マクロ経済環境が依然として厳しく、顧客の予算の精査が厳しいため、SASEのような変革プロジェクトに取り組む顧客の意欲に影響を与えていることを認めました。しかし、CIO、CISO、取締役会は特にランサムウェア攻撃の増加に伴い、サイバーセキュリティへの関心を高めています。
「私たちがゼロトラストアーキテクチャを使ってラテラルムーブメントを最小限に抑えることでサイバー脅威を最小化する重要な役割を果たしている場合、Cレベルの関心と関与を引きつけます。しかし、その後、CXOに対してこのサイバーイニシアチブを実施することで数百万ドルの節約ができることを示すと、さらに多くの関心を引きつけることができます」とChaudhry氏は述べました。「そのため、これら二つのことが強力な関与とパイプラインの構築に役立っています。」
Chaudhry氏は、サイバーセキュリティの改善と具体的なコスト削減を示すことの重要性を指摘しました。「私たちはCレベルと早期に関与し、その利益を示します」と述べ、「ファイアウォール企業が節約を示すと思いますか? いいえ、彼らはファイアウォールを保護したいのです。彼らはカニバリゼーションを望んでいません。私たちはカニバリゼーションができます。実際にすべてのファイアウォールとVPNを取り除くことができます。」
以上が、sdxcentral の記事の意訳になります。
この記事に関する考察
いやー面白いですね。Zscalerも必死ですね。
Chaudhry氏は、小規模なSASEベンダーと従来のファイアウォールプロバイダーが遅れを取り戻すのに苦労していると主張します。
小規模なSASEベンダーとは、Cato Networks社(Catoクラウド)のことで、従来のファイアウォールプロバイダーとは、Palo Alto Networks社(Prisma Access)のことですね。
まず、そもそも Zscalerは、SASE(シングルベンダーSASE)ではないです。
ガートナーのマジック・クアッドランドでは、SSEに選出されており、ZcalerがSASEを実現するには、VMware(現:Broadcom)Velocloud SD-WAN等との組み合わせによって初めてSASEが実現できる"マルチベンダーSASE"です。
そのため、2024年1月に独自のSD-WANソリューションを発表していますが、まだ正式にリリースされているのかどうかも不明です。もちろん導入実績はありません。
もともとクラウドProxyで、シングルベンダーSASEではない Zscaler は、マルチベンダーSASEから、シングルベンダーSASEを目指して頑張っているところなのです。
Chaudhry氏は、Zscalerが主に大企業を対象としており、これらの小規模ベンダーはほとんど競合していない
Zscaler の大企業の定義は分かりかねますが、多くの企業から Zscalerからの乗り換えの引き合いがどんどん増えてきています。
もちろん、中小企業だけではなく、大企業からの引き合いも増えています。
Zscaler からの乗り換えの主な原因は、価格とSD-WANです。
価格は、Zsclaerだけではないですが、契約更新(通常は年単位)で、数十パーセントの値上げが行われます。
毎年の値上げに耐えきれずに、他のSASE(SSE)製品を検討するお客様が急増しています。
次に、SD-WANについては、数年前のZscalerの導入検討時には、クラウドProxy(インターネットProxy)が課題で採用したは良いものの、昨今のレガシーWAN(通信キャリアの専用線・MPLS)が、ラテラルムーブメントに対する防御が全くないことが課題となっています。
そして、ゼロトラストの概念で、SASEの導入を検討しようとした際に、Zscalerは、別のSD-WAN製品(Velocloud等)と組み合わせが必要となるため、構成が煩雑となり、運用管理負荷が増大することから、そもそも SASE でない Zsclaer をやめて、本当の SASE への移行を検討するお客様が増えてきているのです。
もともと Zscaler は、通信キャリアが積極的に販売しているソリューションです。
なぜなら通信キャリアが提供しているレガシーWAN、つまり専用線・MPLSは、そのまま継続して利用してもらえるからです。
お客様は、ネットワーク・セキュリティの課題は既存の通信キャリアに相談する場合が殆どではないかと思いますが、通信キャリアは、自らのビジネスが無くなる SASE を提案することはまずありません。
提案をするのは、自社のレガシーWAN+ZsclaerやNetskopeなどのSSEです。
ハードウェアベンダー(Dell,HPE等)が、オンプレミスのサーバは提案するが、AWS等のクラウドを提案しないのと同じです。
Zscaler のお客様導入事例は、大企業だけではなく、中小企業も多いですが、1年後の更新はともかく、本当に、2年、3年と契約の更新をしているのかは甚だ疑問です。
もし、Zscaler の更新が高いと思ったら、是非 SASE への移行をオススメします。また、SASEの検討については、少なくとも既存の通信キャリアへの相談はやめた方がよいです。
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