世界の一流は「雑談」で何を話しているのか ピョートル・フェリクス・グジバチ

雑談への苦手意識強いので参考になる部分は多かった。
自己開示は大切ですよね。

世界のビジネスシーンで、一流のビジネスマンが交わしているのは、日本的な雑談ではなく、「dialogue」に近いものだと思います。
ダイアログとは、「対話」という意味ですが、単なる情報のやりとりだけでなく、話す側と聞く側がお互いに理解を深めながら、行動や意識を変化させるような創造的なコミュニケーション……を目指した会話です。
具体的には、次のような5つの意図を持って、ビジネスの相手と対面しています。
①状況を「確認する」
②情報を「伝える」
③情報を「得る」
④信用を「作る」
⑤意思を「決める」

目的があると会話ができるってのはその通りだと思う。
目的の謎な雑談って難しいよな。
プライベートな友達とじゃないと無理。

雑談が苦手と感じている人の多くは、「目的のない会話」が不得意な人たちです。
どこに向かっているのかわからないような、ダラダラと長いだけの会話を毛嫌いしている人もいることでしょう。
視点を変えれば、無目的に何かをするのが不得意な人というのは、しっかりとした目的が定まっていれば、最大限に強みを発揮できる人たちだと思います。
明確な意図を持って相手に接すれば、苦手な雑談を「武器」に変えることができるのです。

先に自己開示したら自分が話しやすくなるとは思う。

僕の母国ポーランドのビジネスマンに、「Howareyou?」と聞けば、定形のパターンではなく、本質的な答えが返ってきます。「最近は最悪です。ちょっと仕事が忙しすぎます。ウチのボスがバカなんです」とか、「最近は調子いいですよ。この間、出世しました」など、自己開示をしながら中身のある雑談を始めます。
日本のような定形の雑談が交わされることは、めったにありません。
自己開示とは、プライベートな情報を含めて、自分の「思い」や「考え方」などを相手に素直に伝えることです。
自己開示をすると、相手に「自分がどんな人物なのか?」を知ってもらえますから、警戒心を解きやすくなり、お互いの心理的な距離を縮めることができます。
自然と相手も自己開示しやすい雰囲気ができるため、一歩踏み込んだ関係性を生み出すことにつながります。
コミュニケーションにおける自己開示は、信頼関係を築くために欠かせない大事なポイントと考える必要があります。

で、自己開示するってことは開示する自己を言語化できるようにする必要があるってこと。これは考えたことなかった。

ビジネスの雑談では、その内容を通してお互いのビジネスセンスや考え方、仕事に対する取り組み方などを伝え合うことが求められています。
そのためには、双方が自己開示をすることが大切ですが、自己開示の前段階として「自己認識」をする必要があります。「きちんと自分自身と向き合う」と言い換えてもいいかもしれません。
大切なのは、次の3つについて、改めて見つめ直してみることです。
①「価値観」
何を大切にしているのか?
②「信念」
何が正しいと思っているのか?
③「希望・期待」
何を求めているのか?
この3つのポイントを自分に問い続けて、それを明確に自分の中に持っていれば、相手が雑談で求めているような自己開示が可能になります。
もっとシンプルに考えるならば、自分が「何が好き」で、「何が嫌い」なのか、自分に問いかけてみるのでもいいかもしれません。

大切なのは、次のようなプロセスを認識しておくことです。
・「自己認識」する

・「自己開示」する

・「自己表現」する

・「自己実現」する

雑談にこんな目的意識なかった。
とりあえず間を持たせることしか考えてなかった。
目的意識あったらもうちょい話せるかも。

世界の第一線で活躍するビジネスマンは、明確な意図や目的を持って、雑談を「武器」として活用しながらビジネスの相手と対峙しています。
思いつきの世間話でお茶を濁すのではなく、あらゆる角度から検討して、可能な限り「戦略的」に雑談を構成しているのです。
彼らが雑談を通して「手に入れたい」と考えているのは、次の3つのことです。
①お互いに「信頼」できる関係を築く
②お互いが「信用」できることを確認する
③お互いを「尊敬」できる関係を作る
雑談を通して、「信頼」と「信用」、「尊敬」のある関係を築いて、心理学でいう「ラポール」を作ることを目指しています。
ラポールとは、お互いの心が通じ合い、穏やかな気持ちで、リラックスして相手の言葉を受け入れられる関係性を指します。
世界のビジネスマンは、目の前の相手とラポールを作ることを目指して、そこに向かって雑談を組み立てていきます。
ビジネスの場の雑談ですから、最終的な目標が成果を出すことにあるのは当然ですが、そのための第一ステップとして、雑談を上手に活用しているのです。

目の前の相手が、そもそも「どういう人で、何を大切にしているのか?」を「exploration」(探査)することも雑談の大切な目的のひとつです。

商談などのビジネスの場で、信頼、信用、尊敬のある関係を築いて、ラポールを作る……という意図を実現するためには、目の前の相手に対して、興味や好奇心を持って向き合うことが大切です。
アメリカの心理学者カール・ロジャースが提唱した「無条件の肯定的関心」と言い換えてもいいかもしれません。
無条件の肯定的関心とは、相手の話を良し悪しや好き嫌いで判断せず、「なぜそのように考えているのか?」を肯定的に知ろうとすることです。
予断や偏見、思い込みを捨て、あるがままに相手の話に耳を傾ければ、相手は安心して話をすることができますから、会話のキャッチボールが成り立ちます。
無条件の肯定的関心を持って雑談に臨めば、ビジネスの場で一方的に持論をまくしたてるような「愚かな雑談」は避けることができます。

ここで大切なのは、無条件の肯定的関心だけでなく、「empathy」(エンパシー)を持って会話をすることです。

Thanks“Google”it’sFriday

社内におけるバイアスの代表例は、次の3つとなります。
①「アンコンシャス・バイアス」(無意識の偏見)
誰かと接する時に、それまでの経験や見聞きしたことに照らし合わせて、「この人はこうだから、こうに違いない」とか、「普通はこうだから、この人もこうだろう」というように、あらゆるものを「自分勝手に解釈」する傾向を指します。「定時で帰る社員はやる気がない」とか、「育児中の女性社員に営業は無理」、「雑用や飲み会の幹事は若手の仕事と決まっている」など、日本企業には数多くの無意識の偏見が存在します。
②「親和性バイアス」
自分と似たところのある相手に、親しみを感じる傾向のことです。
自分の母校を卒業した後輩や部下には、他校の出身者よりも無意識に高い評価をつけるなど、親近感を覚えている相手には、無意識に評価を底上げしてしまうことを指します。
③「確証バイアス」
自分が正しいと思っていることに関しては、それを正当化する情報ばかりを集めて、否定的な材料は無視したり、集めようとしない傾向を指します。
採用試験などで「高学歴だから、仕事ができるハズ」と思い込んで、無条件に高評価をすることなどが代表的な例です。
多種多様な情報があっても、最初に自分が正しいと思った考えを有利にできるような情報ばかりを重視してしまうのです。

「ベネヴォレント・セクシズム」(慈悲的性差別)

このヨーグルトの話とても良い。
自分の最近のテーマ決めとけばとりあえずそれのリサーチから話ができるし、話も広がって気になる情報も手に入って一石二鳥よな。

雑談を商品の「マーケット・リサーチ」に活用する
雑談の目的は、相手と意思の疎通を図ることですが、視点を変えれば「マーケット・リサーチ」にも活用することができます。
僕はフランスのパリに本社を置く大手食品メーカーのマーケティング部長に頼まれて、ヨーグルトの市場リサーチに雑談を活用したことがあります。
彼女はたまたまポーランド人で、日本のヨーグルト市場の動向とか、日本人の消費パターンをフランスの上司に説明する必要があったのですが、日本の事情を何も知らないため、そのサポートをすることになったのです。
日本では、ヨーグルトを食べるのは朝食の時が多く、フルーツやハチミツを入れてデザートとして楽しんでいる人が多いのですが、ポーランドでは肉料理やスープに入れて酸味を出したり、アンチョビ(カタクチイワシの塩漬け)にかけて食べるなど、デザートとしてだけではなく、調味料的な食材としても親しまれています。
僕も彼女も、日本人がどのようにヨーグルトを食べているのか知らなかったので、ビジネスで出会った人や友人、知人に片っ端から聞いて回りました。
雑談には目的が大事とお伝えしましたが、これほど明確な目的を持った雑談は珍しいと思います。幸いだったのは、ヨーグルトは子供も食べられる食品ですから、老若男女を問わず、誰にでも聞くことができたことです。「ヨーグルトを食べてますか?」「どんなヨーグルトが好きですか?」「ヨーグルトに何を入れてますか?」
ひたすら聞き回った結果、かなりビビッドなリサーチをすることができました。
雑談には、こんな活用法もあるのです。

ビジネスで自分の知らない分野の人と雑談をする時には、「どんな話をすればいいのか?」と悩むことがあります。
いくら事前の準備をしても、付け焼き刃の知識を披露したくらいでは、相手に底の浅さを見抜かれてしまいますから、ラポールを作って信頼関係を高めることは至難の業です。
そんな場合は、相手の業界についての「サイクル→トレンド→パターン」を質問してみるのも有効です。
僕も興味のある業界や、未知の業界の人と話をする際には、まず最初に相手に聞くことにしています。
その具体例として、ファッション業界のケースを紹介します。
ファッションの世界は、常に最新のトレンドを生み出していますが、同じようなファッションが何年ごとに繰り返し流行する傾向があります。
これがファッション業界の「サイクル」であり、そのサイクルの流れの中で、最も新しいものが「トレンド」です。「パターン」とは、その業界の顕著なビジネスモデルのことで、ファッション業界であれば、低価格の商品を自社で製造・販売して「製造小売業」というビジネスモデルを確立したユニクロなどが典型的な例となります。
相手が自分の業界に精通していれば、「サイクル→トレンド→パターン」について的確な説明をしてくれますから、それに合わせて雑談を膨らませることができます。「最近は、どんな会社が最先端を走っているのですか?」
この質問によって、業界のトレンドに一歩踏み込むことができます。「1年を通して、最も忙しくなるのはいつですか?」
それを聞くことで、業界のサイクルを理解することができます。
事前に可能な限り「サイクル→トレンド→パターン」を調べておけば、付け焼き刃ではない深い雑談ができるのです。
この「サイクル→トレンド→パターン」の話題は、相手に対して自分の業界について雑談の中で伝えることで、お互いの理解を深めることにもつながります。
起業家やビジネスをやっている人は、自分と異なる業界のサイクルやパターンを知りたがっています。
幅広く情報を集めて、新たなパターンを作り上げることに意欲的ですから、真剣に耳を傾けてくれます。
雑談でお互いの距離を縮めるためには、大いに役立つテーマだと思います。

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