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042『元型論』(02)-無意識のファンタジー

 無意識の世界、特に集合的無意識の領域にまで踏み入れるとどんなイメージが待っているのか?

 ユングの直弟子であるマリー-ルイーゼ-フランツ女史(1915~1998)の文章があったので紹介する。女史は最も有名なユング派女性分析家の一人で、ユング晩年には共同研究者としても活動した人。昔話の分析的研究者で、ユング派では古典派とのこと。

ペーター・ビルクホイザー(Peter Birkhäuser)という画家のイメージ世界を描いた「内奥へのまなざし」という作品に対してこう解説している。

 私たちが内奥へと目を向けるとき、「おのれならざるもの」も私たちを見つめている。ただし、それは不思議な遠いまなざしをしている。無意識のファンタジーという秘密のドラマの幕が開く。誘惑的な美女のイメージ、この上なく残酷な奈落のイメージ。しかしそうしてイメージが、上方においては透明な蛇によって縁取られている。これはスピリチャルな力の象徴である。

 ペーター・ビルクホイザーは夢の中で奇妙な「老婆」に、つまり正体不明の恐ろしい敵に悩まされ続けていた。これは自然の暗い側面、よどみ、死であり、創造的な画家は、それから自由になるために何度もの闘わねばならなかったのである。この絵の中のヴィジョンを見ている人物は無色になっている−−−彼の意識は生命力を奪われており、色彩が演じるものは全て無意識のリアリティのなかへと消え去っているのだ。

 そこに一匹の蛙が下方から上がってくる。それは復活を意味する古くからの象徴である。

『内奥のまなざし』(ペーター・ビルクホイザー)
『内奥のまなざし』(ペーター・ビルクホイザー)

 集合的無意識の中に現れるイメージには元型と言われる神話や民話の神、悪魔、妖怪、化け物的なものが多い。この絵に描かれる女の怪物も半裸の女性も何らかの元型のようだ。集合的無意識の領域に踏み込む以上化け物との遭遇は覚悟の上となる。

今日はここまで。

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参考文献[9]心と身体のあいだ 老松克博。

参考文献[8] 『ユング心理学入門』https://amzn.asia/d/0gCq7JP9

参考文献[7] <ミヒャエル・エンデ『モモ』 2020年8月 (NHK100分de名著) ムック – 2020/7/22>https://amzn.asia/d/0cuD1g7M

参考文献[6]『ユング――魂の現実性(リアリティー) (岩波現代文庫)』https://amzn.asia/d/cUEvxPS

参考文献[5] 『元型論』https://amzn.asia/d/eyGjgdX

参考文献[4] ユングのタイプ論に関する研究: 「こころの羅針盤」としての現代的意義 (箱庭療法学モノグラフ第21巻) https://amzn.asia/d/aAROzTI

参考文献[3] 『タイプ論』https://amzn.asia/d/2t5symt

参考文献[2] MBTIタイプ入門 タイプダイナミクスとタイプ発達編https://amzn.asia/d/70n8tG2

参考文献[1] MBTIタイプ入門(第6版)https://amzn.asia/d/gYIF9uL

背景画像:原案:経営を語るユング研究者 小河節生。
     作画:ChatGTP4o。
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こころざし創研 代表

「コーチやめました」
経営を語るユング研究者 小河節生

E-mail: info@teal-coach.com
URL: 工事中
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