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愛するということ-親子の愛(再考?最高!)

今一度、親子の愛について考えてみた。

エーリッヒ・フロムによればこう言っている。

母の愛は無条件だ。しなければならないことと言ったら生きていることと、母親の子供であることだけだ

p66エーリッヒ・フロム、鈴木晶訳『愛するということ』

ところが、ある文献によると、近年の研究では、母性というのは女性の本能でもないし、母親は、必ずしも子供に献身的でもないし、「母性本能」とは近代が作り出した幻想であるという。

要するに良い親とか良い家庭環境で育まれないと受け継がれないということのようである。

この世に生まれて、いつどんなことが、愛することに繋がるのか?

生まれた直後は、母親から肉体的に分離され、バーストラウマを体験。これを子宮という宇宙からの分離、世界との分離とも呼ぶ人もいる。

0歳から2歳ぐらいの頃には、両親から与えられる「安心感」が肝要。
両親から与えられる「大丈夫感」が必要。
怖い思い、不安や寂しさを感じた時、受け入れてくれる両親の存在が頼り。

周りがなんでもしてくれる王様感の下に、しつけ、我慢、甘えを学ぶ。社会で生きていくために心が強くなっていく。

この時期に両親のサポートが得られなかった人に、愛することができないとかパーソナリテイ障害を持つ傾向があるという。取り返しのつかない重要な時期というわけだ。

フロムの「愛するということ」にはこの時期の配慮については、こう書かれている。

生まれてから数ヶ月から数年間、子供が愛着を抱く対象は母親である。
この愛着が生まれたのは、出生より前の、母親と子供がまだ一体でありながら同時に二人であった時である。

出生はそうした状態を多少変えるが、子供は、母体の外で生活するようになっても、まだ完全に母親に依存している。

日を追うごとに子供は歩くことや言葉を話すことを覚え、、、、。自力で行動することを学ぶ。それにともなって、父親との関係が次第に重要になってくる。

p68 エーリッヒ・フロム、鈴木晶訳『愛するということ』

小学生ぐらいになると。

8歳半から10歳くらいの年齢に達するまで、子供にとって大事なのはもっぱら愛されること、つまりありのままの自分を愛されることだけだ。

まだ、自分からは愛さない。

だが、子供の発達の段階において、新しい要素、すなわち自分の活動によって愛を生み出すという新しい感覚が生まれる。

何かを送る。詩、似顔絵etc。

これが成熟するまでには、長い年月がかかる。

p66エーリッヒ・フロム、鈴木晶訳『愛するということ

他では、こう説明が付け加えられる。

道徳感、倫理観を身につけて行動を自ら制御できるようになると共に、シャドーの分離が始る。ペルソナを被るようになってくる。

父親や周囲の人を「力のある存在」と認めるようになり、ルールや理想などのイメージを理解するようになるという。

フロムは父親的愛についてこう書いていた。

P69
母の愛はその本質からして無条件である。母親がその赤ん坊を愛するのは、彼女の子供であるからである。

母親的の愛と、父親的の愛というのはユング的は意味の元型について言っているのであって全ての母親、父親がそのように愛するという意味ではない。母親あるいは父親の姿をとって現れる母性原理、父性原理について述べている。

P69
**元型:ユングは、統合失調症の人の妄想や幻覚、正常者の夢、神話、昔話などにはよく似たイメージが認められることに気づいた。人間の無意識中にはそうしたイメージを算出するものがあるのだと考えた。知れば元型である。
ユングが元がとして重視したものには、シャドー(影)、アニマ、アニムス、グレートマザー(大母)がある。

p68~p69エーリッヒ・フロム、鈴木晶訳『愛するということ
 

さらに、追加してこうも書いている。

P70
父性愛の重要性は、母性愛のそれとは比べものにならいほど小さい。人間の生の自然界と対極、思考、人工物、法と秩序、規律、旅と冒険などを表す。
子供に対して、世界へつながる道を教えるのが父親的なものである。

P70
父親的なものとして、財産を相続する子を決めることがある。どの子にも無条件で与えるわけにはいかない。父親的愛は条件つきである。

P71
父性的愛は、服従こそが最大の美徳である。(服従、すなわちパワー。パワーが男性性的と言われる一因と考えられる。)

P71
その良い面としては、努力することで父性的愛を得る、すなわちコントロールすることができる特徴が母性的愛に比較してある。

P71
6歳を過ぎるあたりで、父性的な愛、権威、導きを必要とするようになる。社会が押し付けてくるさまざまな問題に対処できるように子供を教え導く役目がある。

P72
父親的良心はいう。
「お前は間違ったことをした。その責任は取らなくてはならない。何よりも、私に好かれたかったら、生き方を変えなければならない。」

p70~p72エーリッヒ・フロム、鈴木晶訳『愛するということ」

母親的愛についても対比して捕捉される。

P71
母親には子供の安全を守るという役目がある。

P72
やがて子供は成熟し自分自身が自分の母であり父であるような状態に達する。成熟した人間は、いわば母親的良心と父親的良心を併せ持っている。

P72
母親的良心はいう。
「お前がどんな過ちや罪を犯しても、私の愛は無くならないし、お前の人生と幸福に対する私の願いもなくならない。」

p71~p72エーリッヒ・フロム、鈴木晶訳『愛するということ」

High teenになってくると、絶対だった親の存在が色褪せて見えるようになる。社会の中で「等身大の自分」が浮かび上がってくる。
独立した自我の獲得、理性で制御できる社会人になってくることを期待される時期。

フロムはこう書いていた。

P72
成熟した人間は、自分の内部に母親像、父親像を作り上げている。

P73
こどもは自分自身の愛する能力で母親的良心を築き、理性と判断によって父親的良心を築く。互いに矛盾しているようだが、成熟した人間はその両方によって人を愛する。

P73
父親的良心だけだと残酷で非人間的な人になってしまうだろう。
母親的良心だけでは、判断力を失い、自分の発達も他人の発達も妨げることになるだろう。

P73
母親への愛着から父親への愛着へと移行し、最後には双方が統合されるというこの発達こそが、精神の健康の基礎であり、成熟の達成である。

P73
神経症の基本的原因は、この発達がうまくいかないことにある。この辺りの詳しく述べることは現代のパーソナリティ障害などにつながることなので、まだ、言及しないでおく。

p72~p73エーリッヒ・フロム、鈴木晶訳『愛するということ」

子供意識が変容すると言われる時期。新生児から3歳ぐらい。小学生あたりの親のサポートが超重要なことが説かれている。そうした親の愛のこもった家庭に育たった親には容易なことかもしれない。

私はこんな認識はなかって、もう手遅れです。オワリ。


2023/08/15から第三回目、「本を読んでなくてもいい読書会。」というのを他に2名の共同主催者を迎えて開きます。

まだ、友人限定ですが、将来的には拡大検討中。

ここまで読んでくださった方にありがとうございます。

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こころざし創研 代表
ティール・コーチ 小河節生
E-mail: info@teal-coach.com
URL: https://teal-coach.com/
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