『It's a Showtime!』
夕暮れと夜の闇が交差する街角。
濡れた石畳に街灯の光が薄ぼんやりと灯る。
行き交う人々の姿は闇の色にまぎれ
話し声さえもどこか憂鬱。
淀んだ空気が重くまとわりつく。
何もかもがスローモーションで流れていくなか
一人の少年だけが息を弾ませながら駆けていく。
少年の右手には一枚の金貨が握り締められている。
少年はこれから映画を観にいくところであった。
街はずれにぽつんと建つ古い映画館。
少年の父親もそのまた父親も
その映画館で夢のひとときを過ごしてきた。
そこは、現実には存在し