シェア
「あなたに見て欲しいものがあるの」 いっしょに暮らし始めたばかりの部屋で 彼女が剥いてくれたリンゴを食べていたとき、 背中越しに彼女の声が聞こえた。 「何?」 男が振り向くと、彼女はさっきまでリンゴを剥いていた 果物ナイフを手に男に近づいてきた。 「な、何をするんだ」 慌てる男に、彼女は宥めるように言った。 「大丈夫、そこに座って見てて」 そういうと持っていた果物ナイフで自分の首を切りつけた。 首をぐるりとあまり深くない傷が走ったが 不思議と血は出なかった。 声もなく、た