真実の盗撮事件簿 十一 市会議員田中孝季氏との出会い

 警察も議員も県婦連も当てにならない。そんな苛立ちの中でも私達は引き続き盗撮被害場所を特定していた。

 和歌山市内では、H温泉・スーパー銭湯U、貝塚のS湯と特定が進むにつれ、被害者が増え続ける一方で対策する手立てがない。

 拙い文章で集め始めた署名も中々集まらない。
私自身苛立ちだけが溜まる中、人づてに私の活動を知った市議の田中孝季氏から突然電話を頂いた。受話器を耳から遠ざけても声がハッキリ聞えるほどの元気良さと過去誰も耳を傾けなかった問題だけに市会議員という立場から話を伺いたいと申し出てくれたのだから即答したところ「平松さんがよろしいのならお伺いします。」との返事を頂いた。

 もしかしたらいい風が吹くかも・・・
そんな事を考えながら待っていると、ドアが開く音がしたので階段を降りると、元気な声で「先程は突然の電話ですみませんでした。田中孝季です。」と挨拶を受けた。

 田中さんは私より若く、大きな声と敏速な行動力、前向きな熱意と強い誠意に好印象を感じたことから、包み隠さずすべての経緯をお話した。田中議員は、被害の実態と警察の対応に驚き、また事の重大性かつ早急な対策の必要性を求められることから「平松さん、一緒に検討し共に盗撮犯罪と戦いましょう。」と心強く言ってくれたのだ。その日を境に、私達の活動に活気が出た。市議として心強い味方が加わり、条例制定に向け大きく前進した。
また私の作成した簡単な署名文に付け加え説得力のある説明文を作成して頂けた。
 
「和歌山県盗撮防止条例制定」
近年、社会環境が複雑・多様化する中で県民性を脅かす犯罪については、規範意識の弱化、国際化・情報化の進展、性意識の変化等の発生の要因に加えその手口が巧妙で多目的かつ複雑化の傾向にあり、これらの犯罪の発生を軽減、抑制していく為の行政的な諸対策のあり方が大きな問題である。
平成14年6月現在 和歌県下の温泉・スーパー銭湯・海水浴場(脱衣所・浴室・トイレ等)で盗撮されたと思われる数百本のビデオが県下のビデオ販売店を始め全国で販売されています。又、現行の法律では『軽犯罪法・迷惑防止条例』の範囲内(微罪)でしか処罰できないのが現状です。こうした許す事のできない現状を認識いただき、県民総参加による防犯意識の向上、相互協力による地域の取り組み及び総合的な地域づくりの発展を図る一方、これらの犯罪に関する者に対する厳しい処罰が必要と考えます。そこで「和歌山県盗撮防止条例を願う県民の会」では、下記目的の為の署名運動に皆様よりご署名を頂き和歌山県知事に対して条例制定の為に提出致します。何卒ご理解の上ご協力の程宜しくお願い申し上げます。

目的
一、和歌山県下で通常衣類を着けないでいる場所での撮影及び盗撮に類似する行為の禁止等に関する条例の制定。
二、和歌山県下での盗撮ビデオ等類似する商品の販売禁止等関する条例の制定。
三、上記に順ずる関係条例の制定。
和歌山県盗撮防止条例制定を願う会
 
 この署名運動を展開するにあたり「なぜ平松総合調査事務所の名前を使用しなかったのか?」と聞かれることがよくあったのでここでも少し答えたいと思う。その理由は、和歌山県警の妨害が当初から考えられた為、あえて社名の使用を外したのである。

 それともうひとつ「売名行為」と思われるのも気分が悪いので、あえて社名を消し「和歌山県盗撮防止を願う県民の会」として、署名運動を展開したのだった。

 それは利益ではなく、私を信じ気の遠くなる膨大な作業を共にしてくれたスタッフや関係者、それと盗撮被害に遭われたすべての被害者のために、そして二度と盗撮はさせないという強い誓いの元に条例制定に向けた署名運動の展開を実施した。

追記
署名運動を行った結果、私の所だけで1000名近い方が声を上げてくれた。
田中氏のグループと合わせたらもっと凄い数になっていた。
求めていることは当たり前で必要なことなのだから、集まらないはずはない。 

署名活動をしていただいた方には本当に感謝しかない。
今でも署名してくれた方の名簿はうちにある。 その理由は後ほど説明するが私にとっては大切な宝物の一つでありこれだけの方が求めてくれるとは思わなったからね。


 


 


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