『統合失調症がやってきた』 - ハウス加賀谷・松本キック

 それにしても素晴らしいタイトルだ。
 前から気になっていたが50%OFFになったタイミングで買った。ほとんど当事者であるハウス加賀谷による著。相方の松本キックによるパートが一部分だけある。

 こう言っていいのか分からないけどすごく面白かった。一センテンスが短くて平易な文章。理路整然としていてすごく読みやすい。むしろ頭いいんじゃないかと感じる。
 全体通しても短いので数時間で読めると思う。

 ある日、ぼくたちはテレビ局までオーディションを受けに行った。リハーサル室に通され、番組の担当者さんの指示に従ってネタを始めた。
 ぼくがボケるたびに笑いが起こった。数名いたスタッフさん全員が笑っている。いい感触で、ネタを終えた。ぼくは審査員の感想を期待した。
 すると、真ん中に座っていたディレクターさんが口を開いた。
「うーん、面白いんだけどね。坊主の子、もうちょっと抑えてもらえないかな?電話かかってきちゃうから」
 一瞬、なんのことだか理解できなかった。理解した途端に怒りが込み上げてきた。
 つまり、障害者はNGだと言いたいのか!
 テレビ出演を想定したネタ見せだし、病気のことは一切触れてもいなかった。なのになぜ?

 見世物小屋やサーカスなどで障害者がやっと居場所を見つけ、当人は幸福に働いていたのに、ある時良識ある人たちが「障害者を見世物にするな!」と怒鳴り込んできて唯一の居場所を奪われてしまう、というような話を何度か読んだことがあった。それと似たような話だ。あまり腫れ物に触るように扱われても当人からすると迷惑なのかも知れない。

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