『ヤバい経済学』 - スティーヴン・D・レヴィット / スティーヴン・J・ダブナー

今更読んだ。確かに名著だった。交絡や疑似相関といった専門用語を使わないまま、その概念を説明していることに好感を感じた。難しい問題を簡単に説明するというのは最も成しがたい理想ではないだろうか。イスラエルの保育園で遅刻に罰金を科したらむしろ遅刻が増えたという話、相撲の八百長は対戦データを見れば明らかになるという話、本の多い家庭の子供は何故成績が良いのかという話など。どれも面白かった。(序盤の方が特に面白かった。)

90年代にアメリカの犯罪が減った理由は、その20年くらい前に中絶が合法化され、片親・貧困家庭の子供(=犯罪者予備軍)がそもそもこの世に生まれてこなかったからだという、少しタブーに踏み込んだ話が書いてある。その調子で切り込んでいくのかと思ったが、しかし終盤の教育についての話では結局、人種間の平均知能に差がある事については触れられなかった。敢えて触れなかったのだろう。物事を別の角度から見てみようというのが趣旨で、タブーに触れるのが趣旨じゃないからだ。どちらかと言えば全体的に希望を持たせるようなマイルドな内容になっている。

原題は『Freakonomics』、日本語版のタイトルは少し微妙な気がする。


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